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ドリトル先生と森の狼達

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第五幕その十

「山犬君達のうんこじゃないね」
「実際わし等は滅多に毛まで食べないからね」
「うん、そうだね」
「毛が混ざっている糞になると」
「君達のうんこじゃないね」
 先生は腕を組んで不思議なお顔になって述べています。
「ちょっとね」
「そうだね」
「そのうんこは」
 それはといいますと。
「まさか」
「まさか?」
「まさかって?」
「先生、急に様子が変わったけれど」
「どうしたの?」
「何かあったの?」
 動物の皆は先生の様子が変わったのを見て尋ねました。
「一体」
「どうかしたの?」
「そのうんこに」
「一体」
「奥に行こう、ひょっとしたら」 
 先生が言うことはといいますと。
「僕達は思わぬ生きものに会えるかもね」
「思わぬって」
「どんな生きもの?」
「まさかヒバゴン?」
「いや、あれは比婆山だよね」
「そうじゃないよ」
 そうした動物ではないとです、先生も言います。
「別にね」
「じゃあ一体」
「どんな生きものなのかな」
「一体ね」
「その生きものって」
「気になるね」
「是非行こう」
「ここからもっと奥だから」
 長老さんがまた先生達に言います。
「道中気をつけてな」
「有り難う、足元とかにもね」
「森の生きものは皆先生のことを知ってるし」
 それにとです、長老さんは先生にさらにお話しました。
「日本の生きものは別に凶暴でもないしな」
「そうした生きものは少ないね」
「蝮を踏んでいきなり噛まれたりしないとな」
「あと熊君を怒らせたりだね」
「ああ、先生はそんな人じゃないね」 
 熊を怒らせる様なことはしないというのです。
「そのことは見たらわかるよ、まあ足元にね」
「注意さえしたら」
「先生達は大丈夫だよ、まあ蝮君達も先生を知っているから」
「踏まれる前にだね」
「あっちで避けてくれるさ」
「蝮君達からもお話を聞きたいね」
「僕は蛇苦手だから」
 ここで言ったのはホワイティでした、少し怯えた感じになって。
「老馬さんの背中か先生の肩のところにいるよ」
「うん、ホワイティはその方がいいね」
 先生もこうホワイティに言います。
「蛇は鼠の天敵だからね」
「うん、だからね」
 ホワイティはまた言いました。
「そうするよ」
「安全の為にね」
 ホワイティはそうするとなってでした、そして。
 一行は山犬の群れとも別れてでした、森のさらに奥に進みます。その中で。
 先生は前を見てです、その目を輝かせて言うのでした。
「本当に若しかしたら」
「また言うね、先生」
「目の色が違うよ」
「もうきらきらしててね」
「勇んでるね」
 動物の皆がその先生に言います。
「普段以上に」
「この目は珍しい生きものを見る目?」
「いや、新種の生きものを見に行く目かな」
「そうだね」
「むしろね」
「そちらだね」
「うん、僕達は本当にね」
 先生はその皆に言うのでした。 
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