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とある異世界の交差物語(クロスオーバー)

作者:鉄龍王
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第29話  黒の剣士、決着をつける

 
前書き
遅くなって大変申し訳ありません!!(DO・GE・ZA)

1ヶ月前から話の流れを試行錯誤を繰り返していたらこんなに時間が掛かってしまいました(泣)

こんな駄文ですが、どうか見ていってください!

それではどうぞ!! 

 




「ひゃっはははははははははははははははははははっ!!!それじゃ早速ぅっ!彼女にも来てもらおうか!キリト君にとっては久しぶりの再会だろ!?暖かい拍手をたのむよぉッ!?」



―――ブォンッ―――




須郷…オベイロンの耳触りな狂った笑い声が止んだ後、俺の目の前に魔法陣が展開された


「ハイ!3ッ!2ッ!1ッ!バアアァァンッ!!」


オベイロンの声と共に魔法陣(そこ)から彼女が現れた。いくらヤツの説明を受けても、やっぱり信じられなかった。だけど、今俺の目の前にいるのは装備している防具と武器は最後に会った姿とは全く違った。蒼い鎧を纏ってその手には血の様に紅い槍を構えながらまるで俺を親の仇を見る様な鋭い目で睨む彼女の名は……


「サチ……ッ」


俺がSAOで出会ったかつての仲間…“月夜の黒猫団”の槍使い(ランサー)であり、俺がみんなを守ると言って守れなかった少女……無意識での行動だった。

無意識だと自覚していたが何時の間にか俺の手は彼女(サチ)に触れようと思わず伸ばしていた





だが次の瞬間……!




---ブンッ---





「っ!!」



殺気を感じた俺は後方に飛んで距離をとった。痛みを感じる首元を触ると僅かに斬られた感触があった。サチが振るった槍の一閃が俺の首元に赤い線を走らせた。

SAO()の頃の彼女は戦いに不向きなくらい心優しい少女だった。そんな今のサチの目は鋭く、憎しみに満ちていた。そして彼女が口を開いた言葉は…


「キリト………死ね!!」


「っ!!サチッ!?」


サチの突然の猛攻に咄嗟の判断が取れなかった俺は一瞬の内に胸、両肩、両腕、両足ダメージを受けてしまった。サチの殺意が本物だと感じ取った俺は自分が目を大きく開いていることを自覚した。そんな俺の表情が気に入ったのかオベイロンは狂ったように笑い出した


「ひゃっははははははははははははははははははははははっ!!いい!いいね!!いいよキリト君!その表情だよ!!君の様なただゲームしか能がないくせに『自分は勇者だ英雄だ』と粋がってるクソガキが絶望するその顔!!ゾクゾクしてたまらないねぇっ!?」



何がそんなに面白いのか知らないが、須郷(オベイロン)は楽しそうに耳障りで狂った笑い声を響かせた。その一方、彼女……サチは鋭い槍の刺突を繰り返しながら俺に向かってきた。それに何とか防ぐが俺は彼女(サチ)に決定打を与えることが出来ない。



「……キリトッ!!……」

「ぐ……っ!サチ!目を覚ませ!!」

「無駄無駄ぁっ!!今の彼女は僕の忠実な駒!君の声なんて聞こえないよ英雄くぅぅぅんっ!!!」

「……あああぁっ!!」

「ぐぁっ!!」

「キリト君!!」

獣のように吠えるサチの横薙ぎの一閃を受けたキリトは腕に激しい痛みを感じ、少し距離を置いた。そんな彼を悲痛な眼差しで叫ぶアスナの声が響いた。


キリトはサチに刺された胸を抑えながらある疑問を感じた


(何だこの痛み……たった今刺されたたからってこの激痛はありえない。SAOの時はこんな痛みは無かったのに……!!)


そんなキリトの疑問を見抜いたのかオベイロンは嫌な笑みを浮かべながらキリトの疑問に答えた


「ひひっ!痛いだろ?今やこの世界は僕が支配してる神だからねぇっ!だからこそ、君たち虫ケラ(プレイヤー)の感覚も僕の思うが儘なんだよ!!」

「な……に………?」

「ふふふ、何を言ってるか分らないって顔だね?だったらその感覚を今味合わせてあげるよっ!!」

そう言ったオベイロンは右手を天へとかざした次の瞬間…

「システムコマンド! ペイン・アブソーバ、レベル10を7に変更!」

 オベイロンが叫んだその瞬間……

「っ?……ぐぁっ!!」

俺の身体の傷口から、突き刺さる様な鋭い『痛み』が上り、思わず片膝をついた

「キリト君!?」

俺の反応が面白かったのかオベイロンはまた説明を始めた

「ひひひ、これはVR世界で発生する『痛み』を抑えてくれるペイン・アブソーバを弱めるコマンドシステムさ。尤も、その痛みをレベル2以下にするとショック死してしまう可能性が出るけどねぇ!!」

「ぐ……っ!…すごう……貴様ぁっ!!」

「くくくくく、キリトくん……僕ばっかり気にしていいのかい?」

「っ!!」

オベイロンの言葉と共に後ろからの殺気を感じた次の瞬間……!








「死ね。キリト」








「がぁっ!!」












サチが持つ紅い槍が俺の胸を貫いた












「いやああぁっ!!キリト君!キリト君!!」

アスナの悲痛な叫びが俺の耳に届いた。だけどサチの槍で貫かれ、倒れた俺はそのまま床で磔状態にされた。動きたくても体が思うように動かなかった

「ひひひひひ!惨めだねキリト君!!まるでピンで留められた標本じゃないか!」

俺の姿に満足したのかオベイロンはアスナに近づき、彼女の髪に触れて匂いを嗅ぎ出した

「すぅぅっ……ああ、いい香りだ。現実世界の明日菜くんモノを再現するのに……酷く苦労したんだ。この努力は評価してほしいねぇ…」

「い、いやぁ……!」

「や、やめろ………須郷!!」

オベイロン…いや、須郷の行動に涙を流して怯えるアスナを見て、無理にでも動こうとした。だが……

「無理しない方がいいよキリトくん?ランサー!」

「ハイ。マスター…」

須郷の命令を実行するためにランサーと呼ばれたサチは俺に刺していた槍を強く捻った


「っ!?ぐあああああっ!!」


俺の体に激しい激痛が襲い、動けなくなった。そうしている間に須郷はアスナが流す涙を舐めながら彼女の体を汚い手で弄り始めた

「…っ!!あ、甘い!甘いよ!!君の涙がこんなに甘いなんて!!もっともっと僕の為に泣いてくれよアスナ!!」

「い、いやぁ…っ……きりと、くん……!」

「須郷!貴様……!!きさまぁっ!!」



這い蹲ってでも俺は前に進んだ

「殺してやる!お前だけは、絶対に殺してやる!!!」

今の俺の感情は憎しみしか無かった。アスナを汚す目の前の須郷(げどう)が…彼女を助けられない俺自身が!!だけどそんな俺の言葉も行動も須郷には届かなかった


「ひひひ!あんまり出来ないことは言うもんじゃないよ?英・雄・くん?ひゃははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

「い、いやあっ!」

「くそ!くそおおおおおおおおおおっ!!」



須郷の笑い声、アスナの悲鳴、俺の叫びがこの空間を響かせ、俺の意識は闇に堕ちた

























---逃げ出すのか?---



違う、現実を認識するんだ。オレは何も出来ない。なんの力も無い男なんだから



---屈服すると言うのか。かつて君が否定したシステムの力に?---



仕方ないじゃないか…奴はゲームマスターで俺はただのプレイヤー……最初から(プレイヤー)(ゲームマスター)に敵う道理なんて無かったんだ



---それは、あの戦いを汚す言葉だ……---



汚す?何の事だ?ただ事実を言っただけだぞ?



---違うな。あの時、あの戦いで君のその(おもい)は確かにシステムを上回った……その時私は悟ったのだよ。システムを上回るのは人間の意志の力、思いの力だと……未来の可能性を紡ぐのは、人間の意志の力だ……その可能性を悟らせたのは、我々の…あの戦いがあったからだ---






おまえは・・・






---君にすべてを託した仲間(とも)の為にも……-――







―――立ち給え、キリト君!---














アスナを弄っていた須郷は後ろの気配を感じて後ろを見ると胸に槍を刺したままユラリと立ち上がるキリトがいた

「やれやれ、技術班の無能どもが……妙なバグが残ってるじゃないか…」

 須郷が溜め息を吐きながら向きを変え、キリトを殴ろうとするがそれを難なく掴み取った。

「………………あ?」

予想外の行動だったのか須郷は首を捻らせた。そしてキリトは吠えた

「こんな痛み……黒猫団(ギルド)の皆を守れなかった痛みと比べたら…!」

須郷の腕を掴んでいたキリトはそのまま殴り飛ばした

「がぁっ!!」

そして何かの不具合が生じたのかキリトを一方的に攻めていたサチが突然動きを止め、そのまま立ち尽くしていた

「こんな痛み…………サチとの約束を守れなかった胸の痛みと比べたら…!!」

「な、何を…!」

「こんな痛み……アスナを守れなかった苦しみと比べたら…!!」

「ひ、ひいいっ!?」





「何でもない!!」





「キリト君……」

「き…りぃ…とぉ……」

力強く立ち上がり、強く言い放ったキリトの姿にアスナだけではなく、意識が無いはずのサチまでもが涙を流していた。先程までの悲しみの涙ではなく、喜び…歓喜に満ちた涙だった。そしてキリトは次の言葉を口にした

「システムログイン!ID……《ヒースクリフ》!!」

 俺の周りにはメニューウインドウが広がる。

「な、何だ?なんだそのIDは!?」

「システムコマンド、管理者権限変更。ID《オベイロン》をレベル1に!!」

そして須郷の周りのメニューウインドウが1つ残らず消えた

「ぼ、僕より高位のIDだと?ありえない!僕は支配者、創造者だぞ!この世界の王、神なんだぞ!」

何かにおびえる様に須郷は吠えるがその姿がキリトにはいっそ哀れに見えた。そして言い切った

「そうじゃないだろ?お前は盗んだんだ。世界を、そこの住人を。盗み出した玉座の上で1人踊っていた泥棒の王だ!」

キリトの言葉に額に血管を浮かべた須郷があるコマンドを叫んだ

「こ、このガキ…この僕に……神であるこの僕に向かって!システムコマンド、オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!!」

しかし須郷が叫んでも何も起きなかった

「言うことを聞け!ポンコツが!神の…神の命令だぞ!!」

 須郷が叫ぶ中、キリトはアスナとサチの目を合わせた

「アスナ、サチ……もう少し待っててくれ。すぐに終わらせるから」

「うん……」

「キリト…わたし…わたしは………」

「サチ…その話は後にしよう。今は……」

アスナ達と話した時は穏やかな表情だったが須郷を睨む今のキリトは怒りに満ちていた。そして…

「システムコマンド!オブジェクトID……《エクスキャリバー》をジェネレート!」

キリトがそう叫ぶと、空中から金色の刀身に華麗な装飾が施された剣が現れ、キリトの手に収まる。だが伝説の武器を呼び出したキリトの表情はツマラナイものを見ているようだった

「コマンド一つで伝説の武器を召喚か」

そう言うとキリトはエクスキャリバーを須郷に放り投げた。受け取った本人はそれを危うい手つきで受け止めた。

「決着をつける時だ。須郷……」

そしてキリトは地面に転がってるエリシュデータ(あいぼう)の柄頭を踏んで跳ね上げ、回転して落ちてくる愛剣を受け止め、背中の鞘に納めていたダークリパルサーを抜き構えた


「泥棒の王と、鍍金の勇者のな!…………システムコマンド!ペイン・アブソーバをレベル0に!!」

「な、何!?」

キリトの発言に須郷は後ろに一歩下がった。だがそんな行動をキリトは許さなかった

「逃げるなよ。あの男はどんな場面でも臆したことはなかったぞ。あの男……茅場昌彦は!」

茅場という単語に反応した須郷は動向を大きく開き、喚き散らした

「か、かや………茅場!?……そうか、あのIDは………なんで、なんで死んでまで僕の邪魔をするんだよ!アンタはいつもそうだ!何もかも悟ったような顔しやがって!僕の欲しい者端から攫って!」

喚く須郷にキリトは同情の眼差しを送った

「須郷……お前の気持分からなくもない。俺も負けてアイツの家来になったからな………だけど、俺はアイツになりたいとは思ったこと無いぜ。お前と違ってな!!」

「こ、この…………ガキがぁぁぁぁぁっ!」

出鱈目に剣を振り回す須郷だがSAOという戦場を駆け抜けたキリトにとってはチャンバラにしか見えなかった。キリトは斬り掛かる須郷の剣を二刀流を使わずに片手一本の剣で全て防ぎきった。

「くっそおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

そして癇癪を起した須郷が突きを放った瞬間、キリトは難無く擦れ違い様に須郷の頬を斬りつけた

「いッ!痛い!イタイ!!」

だが須郷のこの悲鳴はキリトの怒りの炎に油を注ぐ結果となった

「痛い?……今までお前の下らない実験で味わったSAOの皆の苦しみは………お前がアスナやサチに与えた苦しみは…………こんなものじゃない!!」


今まで抑えていたキリトの怒りが爆発し、二刀を構えた……


「受け止めろよ須郷……いや、泥棒の王……これが俺の最高のソードスキル………『スターバースト・ストリーム』だぁぁっ!!」






「ぎゃあああああああああああああっ……………………!!!」





常人の眼では追い付かない程の速度の剣戟十六連撃を須郷の腕、足、首、胴体全てを文字通りの『細切れ』にし、自称“妖精王”をALOから消滅させた




 
 

 
後書き
ハイ!キリト、ついにあの下種郷との決着をつけました!!

始めは全く出す予定がなかったサチですが、今後出番あるかもしれません…

それでは次回までお楽しみに!! 
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