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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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九校戦編〈下〉
  九校戦八日目(8)×対三高戦とその後について

新人戦、モノリス・コード決勝戦。選手登場に、客席が大きく沸いていたというか戸惑いにざわめく観客が多かった。野次馬的な好奇な目に曝されていて、幹比古はフードを深く被っているが、レオは両膝にあるホルスターの重みでも堂々と歩いているが、やはり顔を隠そうしているがマントなので襟を立てて顔を隠そうとしていた。

「なあ一真、ホルスターを隠すというのは俺も賛成だが格好がおかしくないか?」

「レオのは何となく理解しているつもりでいるけど、何故に僕は半世紀前に使われた魔法使いのローブを今使うのかい?」

「使い方は説明した通りで、レオのはホルスターを隠すためとジョージ対策のためのマントであり、幹比古のはメタルメモリの特性を持った防御用ローブとなっている。それに俺も似たような格好だからな、俺的には一条をどう倒すかを考えている」

方向性を言った事で納得したのか、フードで隠さないで堂々としていた幹比古だった。俺は黒の戦闘服にグラサンであり、レオと幹比古も似たような仮装をしている。俺を除けば防護服の上から着ているけど、三人共防護服以上の服装をしているので何とも思わなかったがレオは何となく思っていた事が現実になっていた。

「アハハハハ・・・・お、おかし~。何アレ、何アレ!アハハハハハハハハハ・・・・」

レオが思っていた事が、ここで起きていたのでエリカは客席からの大爆笑をしていた。

「エリカちゃん、ちょっと・・・・」

美月が恥ずかしそうに何度もたしなめて、哄笑はようやく失笑レベルに落ち着いてきた。エリカと美月だけだったが、深雪達は他の席でエイミィ達と一緒に応援をしていた。

「・・・・笑い声はエリカかしら?」

「私も笑ってしまうくらいだけどあれが一真君の策であれば、笑わない方がいいよね~」

「まああの格好からすればマントとローブだと思うけど、半世紀前にあったファンタジー系の小説に出てくる魔法使いのようだね」

「・・・・まああの格好はしょうがない」

「あれが一真さんの策であれば、目的は何でしょうか?」

上から深雪、エイミィ、スバル、雫、ほのかの順に言っていたが、ここでエリカが言う場面に戻すとしようか。

「あ~、笑った笑った。だから一真君のやる事は、予想から斜め上に行くのよね」

「・・・・エリカちゃんの方が注目集めてたよ、今」

楽しそうに嘯くエリカの隣で、美月が恥ずかしそうに縮こまっていた。

「ゴメンゴメン。チョッと、ツボに入っちゃって。もうバカ騒ぎしないから、機嫌直して、美月?」

「もぅ・・・・お願いだからね?」

周りの席から突き刺さっていた視線がフィールドの方へ戻ったのを肌に感じて、美月はようやく顔を上げていたが直接目で確認する勇気がなかっただけだ。

「でも何だろうね、アレ」

草原ステージは遮蔽物が無いから、観客席から直接フィールド全域が見渡される。しかしそれでも距離があり過ぎて細かい部分が観えないから、他のステージと同じように大型ディスプレイが各選手を映し出している。一高陣地を映した画面には、一真の黒い戦闘服にレオのマント姿に幹比古のローブ姿を凝視していたエリカだったが、まるでお手上げのように首を振った。

「ダメ。あたしじゃ何が目的か分からない。一真君の事だから、ハッタリとか使わないタイプだと思うんだけど。深雪達は前にいるから、そっちに行けばよかったかも」

「精霊はいつも通り吉田君に群がっているけど、それ以外は分からない」

眼鏡を外した美月はそう言うが、最近眼鏡を外すようにしたのは見えないモノを見える美月だけが出来る事なので、訓練として眼鏡を外して見ようとしていた。時代錯誤か場違い感があるレオと幹比古の衣装にざわめいていた観客が多かったが、嘲笑や冷笑の類はほとんど見られなかった。観客達の意識は、半世紀前に使われたであろうマントやローブを一体何に使うのか?という好奇心だった。対戦する三高は好奇心だけでは済まされない。

「ただのハッタリじゃないのか?」

チームメイトであるディフェンダーの一人が言ったが、一高との対戦のみだけ人数が三名から六名となっている。なので本来の三人は決まっていたが、残りの三名は主にディフェンスとしてモノリスの周辺にいた。

「奴はジョージの事をよく知っているが、早撃ちの時に対戦をした名無しとの対戦時、『不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)』を使ったからか。それ対策なのだろうだろうが、何でどう使うかまでは分からない」

「確かに僕の魔法は貫通力が無いし、まさか早撃ちの時の相手が彼だと知ったから対策したように見える。それでも布一枚で防がれるようなものじゃないし、彼がハッタリで考える対策をしてこないと思う」

「そういう風に思わせる作戦かもしれないぜ?」

「その可能性も無い訳ではない、が・・・・」

歯切れの悪い一条のセリフに、智謀を自負していないが悔しさで一杯であった吉祥寺。

「・・・・分からないな。まさかこの期に及んで隠し玉を用意していたなんて・・・・」

「全くの無警戒ではないが、一高戦のみ人数が増えた所でリスクがあるのはあちら側だと思っていた。だが人数が多ければ多い程、奴は冷静に対処してみせたから今迷いがあったら見切られてしまう」

吉祥寺の迷いを断ち切る為であるが、まだまだ俺の実力が分からないが一条は少し強い語調で言い切った。だからと言って、一条自身に戸惑いが無い訳がないが、観客にとって好奇心の元は対戦相手にとって警戒心の元である。選手達や応援席からは知る術は無いが、スタンドがざわめいた理由はもう一つあった。本部席近くのスタンドにいる来賓に驚いていた。

「九島先生に青木副社長!このような所へ如何なされました!?」

いつもであれば、大会本部のVIPルームでモニター観戦していた烈と青木に秘書林が突如来賓席に姿を見せたからだ。

「たまにはこちらで見せさせてもらおうと思ってな」

「それにアンタらはいずれはクビされる者であるが、私達がいたとしても不正がないかを見に来た事です」

ストレートに言った事で、大会委員会のメンツらはビクビクしながらしていたが不正という言葉に更にビビらせた。試合開始前の時間は、選手の心の中に最も速いのが渦巻く時間であるからか。俺らは最終ミーティングとして念話で作戦を言っていたが、三高の奴らは試合開始まで静かにしていた。自信があっても、どれだけ勝算があるとしてもこちらは十割の確率で勝てる。あちらは例え人数が増えたとしても、第一条件を果たすために接近戦をしようと考えていたな。

『最後の作戦だが、役割としては第一条件であるモノリスの鍵を撃ち込むまで砲撃戦をする。俺は本体ではなく、分身体であり本体は影の中か遥か上空にいる』

『俺の役割は、吉祥寺選手をこちらに呼び込む事か』

『一真が第一条件クリアしたら、僕は吉祥寺選手を倒すよ』

という念話をしていたら、試合開始時間となったので合図と共に前に向いた。両陣営の間で砲撃があったが、一条と俺は遠距離魔法攻撃をしていた。観客は大喜びをしていたが、まさか一高の俺が砲撃戦が出来るとは知らなかった事だった。そんで第一高校の応援席は意外感で言葉を失っていた。両陣営の距離は約六百メートルで、森林ステージや渓谷ステージに比べると距離が短い。

「全く、俺が砲撃戦得意なのは深雪らぐらいしか知らん事だろうな」

『実弾銃の有効射程であれば、突撃銃では厳しい間合いでありますが一真様の眼は狙撃銃並みのスコープを持っています』

俺は二丁拳銃スタイルで、片方は魔法を無効化させていてもう片方はレールガンの威力を抑えたので一条は干渉装甲で無傷となっていた。一条は準決勝では汎用型を使っていたが、決勝は特化型のを使っていた。一条は片手で攻撃を仕掛けていたが、攻撃力は益々差が広がると思っていた。一条の「射撃」が一発一発に打撃力を秘めているのに対して、俺の「射撃」は片方防御しながら片方攻撃をしていた。

「何という攻撃だ、片方は術式解体だが片方は電気を使った電撃砲か?」

「分からない、だけどあの威力は随分と抑えている。あっ・・・・モノリス付近にいたウチの選手三名が戦闘不能になった!?あんな遠距離で攻撃してきた!」

片方攻撃をしていたが、一瞬の隙を見て少し左に向けてから三高のモノリス付近にいたディフェンス三名を風と精神系統のデスサイズで戦闘不能にした。一条は後ろにいた三名が戦闘不能になった事を知らずに、歩みを止めないでいたが情報強化だけで防ぎきれない事は一条本人でも分かっていた。防御は意識しなくとも、魔法師が無意識に展開している情報強化の防壁では防ぐ事は出来ないのか、衝撃が身体に襲ってくる。

「一条の『プリンス』もやるけど、一真君もやるわね」

「歩みを止めないで、三高選手三名を戦闘不能にしましたが、あの距離からの狙撃は普通の魔法師でも無理かと」

画面を見ていた真由美と鈴音は、普通に見ていたが周辺にいるスタッフはとても驚いていた。

「何という胆力」

「彼の本来の実力が出たようね、織斑君カッコ良すぎでしょ」

三年生の男子生徒が唸り気味に呟いて、女子選手の一人はチームメイトと一緒に見ていたがとても興奮していた。たまにカウンセリングしてくれたり、医療室と化するので女子生徒にはもう補欠だとは思っていない存在と化していた。

魔法の威力もそうだが、攻撃を受けているのにプレッシャーの中で正確射撃をする精神力に、上級生達は度々驚きの声を発していた。真由美、十文字、鈴音、あずさ、服部の顔色もまだ余裕を持っていたが、まだまだ挨拶代わりな射撃なので一歩近付く事で攻撃と防御の両方を持つ一真だけが出来る事で余裕していた。

吉祥寺は三高陣地内で、一高選手やスタッフとは別の意味で驚いていた。俺が今使っているのは、無効化を隠すために術式解体とエレメンツを最小威力で攻撃していた。一瞬頭に過る事は敗北だったが、既に三名は戦闘不能となっていたので雑念を追い払おうとしていた。デバイス調整技術がどれほど優れていたとしても、調整過程は試合には影響しないが試合を左右するのは調整が終わった後の結果だけだ。

「既にモノリス付近にいたメンバーは戦闘不能になっちゃったけど、打ち合わせ通り僕も動くよ」

「おう、後は任せろ」

自分がいつの間にか、相手より格下だと言う事実を気付かずに一条の背中を迂回してから一高陣地に駆け出した。吉祥寺が自陣から飛び出す事で、試合は第二段階に突入した事だったが、観客達の意識は俺と一条の攻防に釘づけとなっていた。人々は、強力な魔法を絶え間なく的確に放ち続ける一条の技量にため息を漏らすが、それ以上の感嘆を一条の魔法を撃ち落とす無効化=術式解体へ向けていた。

「一真君の術式解体にも驚く所だけど、深雪は違うんだね」

「そうね。お兄様のお力はこれくらいで驚く訳にはいかないわ、ただでさえ術式解体の事を知らない観客が多いから。規格外の想子(サイオン)保有量を要求しますから、専門の研究者であっても目にする機会は少ない魔法」

「知識は無くとも、想子(サイオン)の可視化処理が施された大型ディスプレイでは、激しく輝く想子(サイオン)の砲弾が空中に顕現した空気圧縮の魔法式を撃ち抜き消し飛ばす所を見ているからか。幻想的なようで興奮を誘う映像だよね、想子(サイオン)を視覚的に認識できる僕ら魔法師や観客の中に素質がある者なら、空中に乱舞している想子(サイオン)の嵐に圧倒されるよね!」

「あ、三高の吉祥寺選手が動いた事で一真君が徒歩から疾走に変わったけど、相変わらず規格外な速度だねえ~」

俺は今、一条の攻撃を撃ち落とすのに集中していたがゼロにより三高陣地から吉祥寺が動いたと来たので、徒歩からカメラでも追い付かない程な速度を持って的確に圧縮空気弾を放ってくる。でも俺の速度が速いのか、攻撃が当たる前に地面に当たっているので俺にはノーダメージだ。空気圧縮弾の回避というのは、普通の魔法師でも出来るのは難しい。なので一条本人も少し焦りが見えた事で、攻撃と防御の二面作戦であちらは少し衝撃を受ける。

「(何という速度と精密射撃何だ!俺が精密射撃をしようとしても、あちら側はまるで最初から来る事が分かっているかのような防御だ)」

距離が近くなる程、あちら側に有利となるがそれは間違いである。距離が近くなる程、攻撃が精密になるがその分俺も攻撃しやすい距離となっていく。残り五十メートルとなっても、一条の攻撃を捌いていたが撃ち落とし損ねたとしても当たってもノーダメージなので問題ない。

「最初の攻撃はレールガンの威力抑え気味バージョンで、今のは風によるものだな」

「そうですね先生。魔法の発動兆候と透明の空気弾の両方を五感で把握し切れているのは、一条なら無理でも一真さんなら朝飯前でしょう。一真さんが持っている心眼で何とかなっているようですから」

「そのようだな、あそこにいる御仁も分かっているとは思うんだが『私がどうかしたかね?』あ、何でもありません」

突然烈からの念話が来たので、響子はクスクスと笑いながら念話に応じたのだった。フィールドを迂回して一高モノリスの横手を目指していた吉祥寺は、途中にてあと少しで到着するはずがレオに行く手を遮られた。ディフェンダーがここまで前進して来る事が、既に戸惑いを覚えていたが吉祥寺はレオに向かって不可視の弾丸を放とうとした。

「オリャ!」

「なっ?」

視線の先に広がったのは、レオが脱ぎ捨てたマントが広がった事でそのまま硬化させたので盾という役割を持った。

「あのマントにそういう使い道があっただなんて、これじゃ『不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)』が使えない!」

「貰った。ウオリャァァァァァアアアア!」

レオがエレメンツビットを抜いてから、刀身が浮かんだ事で風と打撃力強化となった事で空飛ぶ刃を移動魔法で躱す。そこへ突然突風が発生したので、吉祥寺は加重系魔法で自分の身体に掛かる慣性を減らし、風に逆らわず飛ばされる事で風撃のダメージを緩和した。

「とても厄介だ・・・・何だあれは!」

黒い盾から出て来たレオは、左右にある金属で出来たホルスターから薄い金属板が次々と出て来た。所有者を守護するような盾と攻撃特化のための銃口があるもので、今まで智謀として見てきた吉祥寺でも見た事のない武装で驚いていた。それを見たエリカと美月は何を思ったのか、まるでIS展開をした沙紀のような感じだと思った。

「マントをああいう風に使う事もだけど、まさかあのホルスターを隠すためなのかな~」

「あのホルスターから出て来たのは、まるで沙紀さんが使うIS武装にそっくりです」

厄介な武装が出て来た事で、『不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)』の照準をレオの後方にいた幹比古へ合わせようとする吉祥寺。まず邪魔な援護射撃を潰そうという判断であったが、灰色のローブに目の焦点を合わせてから放った事で倒したと思った吉祥寺。

だが倒れる事なく立っていた事に、驚愕を覚えた吉祥寺と一高本部にいた真由美達だった。吉祥寺の頭上から襲い掛かるエレメンツビットの刃に気付いて、回避不能なタイミングに目を閉じたが刃が来る事はなく目を開けるとレオに向けて攻撃をした一条。

「将輝!」

助かったという謝辞を省略したかのように見えたが、吉祥寺は救い手の名を呼んだ事でレオは戦闘不能だと誰もが思った。敵の策に落ちた吉祥寺を、俺に攻撃を続けていた事で援護射撃で助け出した。吉祥寺が前を向いたらやられたはずのレオが、まるで遮蔽物が出来た壁の中に居た事でノーダメージだと知った。

「何で!?将輝の攻撃は確かに当たったはず、なのになぜ立っていられる!?」

「そりゃそうさ、俺はこのシールドビットによって守られているからな」

壁から出て来たレオに対し、『不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)』を放っていたが全てシールドビットによって守護されていた。それを見た三高ディフェンスも加勢をしに来たが、それが裏目に出る事とは誰も思わなかった。レオは黒い盾となったのをマントへ戻してから着るが、ホルスターは隠れていた事で狙いが分かった吉祥寺と残りのディフェンス。

「まさかあれはハッタリじゃなくて、あのホルスターを隠すためだったんじゃねえのか?」

「僕もそう思いたいけど、今はあの二人を倒す方が先決だ。それに彼も動いてなさそうだから、第一条件クリアしないでもらいたいね」

吉祥寺への視線で注意が逸れた一瞬を狙って、俺は一条に向けて距離を縮めようとしていた。すぐにでも間合いが詰められそうになったという焦りで、脅威が襲った事は実戦経験した兵士が持つ脅威に対する直感。規定違反を越えた威力となってしまった圧縮空気弾が十六連発で俺に向けられていた。

「しまった。レギュレーション違反以上の威力を出してしまったから、このままだと奴を殺してしまう」

対抗魔法の術式解体だと思わせていた無効化は、魔法式を吹き飛ばす技術だと思われているので俺はこのまま防御に徹した。魔法式にも強度があるのは知っているが、干渉力の強い魔法式とはその構造を維持しようとする力が強いサイオン情報体である。一条程の術者が作り出す魔法式を、技術的に分解ではなく単なる無効化で消し飛ばしている光景は、並みの魔法師では一日掛けても搾り出せない程の想子(サイオン)を圧縮する必要がある。

「おいおい、一瞬で十六発来るとはな。だがこれも策通りと考えていいのかもしれんな!」

無効化=術式解体では間に合わないのを承知で、迎撃を十四発終えた所で最後の二発を直撃コースで受けた。

『一真君!』

『一真さん!』

『織斑君!』

それぞれの観客席にいた一年女子の声から、君付けとさん付けで誰かは分かるが受けた事で身体が横転しながら一条へと向かう。ルールを逸脱した出力を出してしまい、一瞬の事だったので審判も気付いていないと思っていたが気付いていた。だがこれも一真の策だと知っていたので、レッドフラッグを挙げていない。一条が立っていた場所から後方へ行ってしまってから、一真はチャンスだと思い影に潜った。

「何だと!影に潜った奴の狙いは俺らの攻撃ではない・・・・まずい!」

そう考えていた時には既に遅しで、回復魔法を使った事で全回復となってから敵陣モノリスに到着してから鍵を撃ち込んだ。コードを読み取った事で、第一条件をクリアとなった事だから俺は風を使い空を飛んで見せた。

そして先程のお返しだと思い、ダウンバースト威力調整バージョンを一条頭上から落ちてきた風の塊を受けたのだった。その冷たい風が、スタンドに向かっていき戦闘中だった吉祥寺とレオに幹比古も振り返りと様子見だった。

そして倒れ込んだ事で、俺は上空から降りてきてから選手と審判と観客と応援団というこの場にいる全員が見つめる中で、一条が地面に崩れ落ちていて上空から見ていた一真の姿を確認した。

「何?今のは一体何が起きたの?」

すっかり狼狽しきった声と表情で、真由美は左右にいた者達に訊ねた。答えは返って来ないが、鈴音もあずさも答えられないがしばらく考えた結果を言った鈴音。

「・・・・恐らく一条選手の攻撃を受けた後、回復魔法で全回復させてから影に潜って第一条件であるモノリスのコードを読み取ったのでしょう。そして第二条件である選手を戦闘不能にさせる事で、織斑君はエレメンツの一つである風を使い、威力抑え気味でのダウンバーストをしたのではないかと」

「ダウンバーストは本来だったらルール違反になる程のを、人を気絶するくらいのを威力にした訳か。本来なら地面に衝突した際、四方に広がる風が災害を起こす程だから失格になるかと思ったわ。流石はエレメンツ使いの一真君だけど、一条選手の攻撃で倒された事も代わり身の術という訳ね」

代わり身の術と言った事で、一条選手付近には丸太が転がっていたのでそれを言った真由美だったが、忍術をアニメか漫画だと思っていた生徒も少なくない。が、現実に起きてしまったので、忍術と見てもいいと感じた。

「一真様の回復魔法に、代わり身の術とは相変わらず見ても驚くものだな」

楽しそうに見ていたが、周囲の耳を気にしながら言っていた山中軍医少佐だった。

「一瞬で全回復させてしまう回復魔法をしたのであれば、誰にも見えなかったでしょうね。自己修復術式と同じ速さではありますけど、その後からが忍術ですわね」

「回復魔法は一真様しか出来ない魔法であって魔法でないモノぐらいは知っているが、人間離れした頑丈な身体を持ちながら忍術である代わり身の術を使ってから敵陣モノリスの鍵を撃ち込んだ」

「一条選手が気付いた時には既に遅しな状態となり、モノリスが解放されて第一条件クリアの照明弾が上がってから、一真さんは上空からのダウンバーストという事ですか。フラッシュ・キャストを使わずに、風と精神干渉系統でのデスサイズは我々以外は系統外だという事ぐらいでしょ。蒼い翼やCBでの技術を秘匿しときたい理由もですが、あのビットに関しては秘匿する程ではないと思ったのでしょう」

フラッシュ・キャストや他の技術に関しては、四葉家や蒼い翼やCBが秘匿したい技術があるが独立魔装大隊の秘匿な事は、記憶共有者である事やCBの武装が使える事が秘匿である。俺が持つ魔法は、圧倒的な力を持ちながらもそれを威力抑え気味だったので、普通に注目が浴びる程だろう。

それに蒼い翼特別推薦枠を持つ者にとって、一条家の者を倒す事は容易い事なので、実力を見せた事が今である事の方がいいと思った。国防軍としては、一真を敵としたくないし元部下なのだから、敵対勢力にならない限りは内心ホッとしている部分があった。

「左右のデバイスは、エレメンツをフル活用する事を知っている事は一部の者だけでしょう。あれで高校生だというのは、流石に隠せないとは思いますわ」

「世の中間違いだらけであるが、我らも似たようなもんだろう。歳と肉体年齢を誤魔化しているのは、我々以外でもかなりの数でいるがエレメンツ使いは一真様以外だと少数でしかいない。ウチの隊にいる者で、エレメンツメモリを使える者はいるだろうか?」

「エレメンツは使えなくとも、私にはISという兵器がありますからそれには及びません。それに一真さんが創ったメモリも本来なら、高校生の大会で出す代物でもありません」

二人は試合よりも上空にいる一真を見ている。吉祥寺はパニックになっていたが、俺が上空から降り立ってから一条のヘルメットを取った事で戦闘不能と化した。そして吉祥寺と残りの雑魚を片付ける為に移動してきたが、一条が倒れていて俺には何ともないというのがあり得ない光景だった。

「将輝が負けた!?」

「嘘、だろう。一条が負けただなんて・・・・」

決して起こらないはずの出来事だったが、チームとして負ける事はあっても一条が倒される確率はゼロのはずだった。だが俺の力を見誤ったかのように、俺は残りの敵を排除するべくデバイスを抜いた。

「吉祥寺、避けろっ!」

ディフェンスが後ろを向いたら、俺が攻撃をしようとしていたので反射的に避雷針の魔法を使った。レールガンを使ったが、避けられてしまったので幹比古の雷撃を放つがそれを短い草に、放たれた電撃を吸い寄せた事で攻撃を躱すがレオのライフルビットにより空気弾をお見舞いしてやった。

『やっぱり一真は凄いや、倒されたと思ったら忍術を使うだ何て』

『まあな。だがこれで第一条件クリアしたから、あとは敵を倒す事だけを考えるだけでいい。レオは何で倒すんだ?』

『そうだな~、ライフルビットでの攻撃もいいから躱している間に、刃を叩き込むか』

俺ら三人の念話をしている間に、吉祥寺とディフェンスの選手を挟んだ状態となった。三人ともコンディションは良好と見えているが、三対二となっているので相手が余程強い魔法を放っていても負けは確定となる。幹比古のターンとなったので、幻術により分身させといてから両手操作の大型携帯端末形態デバイスのコンソールに長いコマンドを打ち込んだ。そしてデバイスから離した右手を、足元の地面に叩き付けた。

通常の汎用型デバイスは、二ケタの数字と決定キーの三つのキー操作で起動式を展開する。上位機種、特にスマホ形態の高性能機種にはショートカットを備えたものがあるので、使用頻度の高い魔法を選んで一操作で魔法発動できるようにしてある。

幹比古が操作したキーの数はたったの五回で、本来の幹比古であれば十五回であるがエレメンタルメモリのお陰か、それともゼロを搭載されているのか。五つの魔法を同時操作したので、古式であっても速度は現代よりも短い。五つの魔法を逐次展開と同じ発想の技法で、一つの魔法を発動中に次の魔法を展開させた。

「はっ!」

「叩き付けた手で発動させた!彼は古式だから、速度は現代よりも勝っているはず」

「それは俺が術式を補助する技術を使っているからな、幹比古が使っているのは古式魔法だが発動速度を勝る事など容易い」

地面の表層を振動させた事で、バランスを崩した吉祥寺に向けて地割れが起こった。吉祥寺は加重軽減と移動の複合魔法で空中へ逃れようとしていたが、吉祥寺の足は地面を離れずにいた。さっきまで避雷針の役割をしていた草が、足首に絡みついていたからだ。植物を動物のような操る魔法を吉祥寺は知らないので、未知なる魔法に心が揺さぶられる。

現代魔法しか知らなければ、どうなっていたかは知らんが地割れが吉祥寺の足元に到達した所で、草が地面に引きずりこもうとして居た事を感じ取った吉祥寺はこれが錯覚だと思わないで全魔法を跳躍へと注いだ。

「そんな錯覚をするから、幹比古の術にハマった様子だな。跳躍をしたと思えば頭上からの雷撃を躱せる程、余裕が無くなっている」

絡まった草を引き千切り、必要以上に高く跳び上がるが、上空で待っていた俺によって電撃を起こして、避雷針を吉祥寺の頭にセットしたレオのビットにより雷撃がヒットしたのだった。幹比古が連続発動したのは『地鳴り』『地割れ』『乱れ髪』『蟻地獄』である。『雷童子』はディフェンス選手に降らせたが、間一髪の所を避けたと思ったらレオのビットにより逃げ道が無くなった事で、レオの一撃でディフェンスと吉祥寺も倒れた事で試合終了のコールが鳴った。

「・・・・勝った、わよね?」

「・・・・勝ちました、ね」

独り言のような真由美の問いかけに、独り言のような口調で鈴音が答えた。それが合図ともなって、歓声を上げた事で一高スタッフ全員が歓声を爆発させた。一高生の無秩序な叫び声が、渾然一体となり地響きと化してスタンドを揺るがす。それは無邪気で純粋すぎる感情の発露、勝者を讃えると同時に敗者を打ちのめす裁きの槌音。しかし無慈悲なお祭り騒ぎは、すぐに鎮火された。

「・・・・お兄様!?」

「やっぱ凄いね一真君は!あの一条を倒しちゃうんだもの!」

「流石だね、もう拍手をするしかないよ。僕もだけど、これは皆が一丸となって拍手するしかないね!」

泣きながら口を押えていた深雪だったので、一高生徒はお祭り騒ぎから拍手喝采となって第一高校のスタンドを越えて、敵味方関係なく激闘を終えた選手を分け隔て無く讃える拍手へと変わった。会場全てが、暖かな拍手に包まれながらだったけど、拍手のシャワーを浴びながら俺達は客席近くまで歩いていた。レオと幹比古は歩いていたけど、俺だけは空中から観客席にいる深雪の頭を撫でてから応援してくれた一高生徒に向けて手を振ってからレオと幹比古がいる地点に降りた。

「やっぱり俺らの力は、高校生を逸脱しているのかな?」

「まあそうだろうよ、エレメンツビットにガイアメモリを使うための武装一体型。それに試作型のホルスタービットが、魔法師が使えるかどうかだよな」

「それでも一条の攻撃を受けた衝撃を全て吸収したとはいえ、レオの場合だとまるで二年前に大型二輪にはねられて以来何だろう?」

「え!そうなのかい?衝撃吸収したとはいえ、大型二輪にはねられた衝撃を喰らった事があるというのかいレオ」

「何で知っているのか知らないが、実はそうなんだよな。二年前にな、後ろにガキンチョがいたから避けるに避けられずに覚悟を決めてドンッ!だったんだが。無傷とは行かず、肋骨三本にヒビが入っちまったのさ。今回そう言われたのであれば、マシだと一真が言いたいのだろうな」

俺はまあなと言ってから、圧縮空気弾はシールドビットにより防いだが本来であれば硬化魔法で防げずに攻撃を生身で凌いだのだろう。立ち上がるのが時間が掛かったが、ここは外史であり何が起こるか分からない世界だ。それに幹比古も唇を切っていたが、今の幹比古はメタルメモリの効果を持ったローブだったので無傷となっていた。

「一真もあの時は驚いたが、大丈夫なのか?圧縮空気弾の二発を受けたから、俺みたいに防御してなかったからな」

「あああれ?十六発の圧縮空気弾が来た事は知っていたが、その内の二発を浴びてしまったが身体が一条の方に転げ回った。だがそれはチャンスだと思い、そのまま影に入ってから回復魔法で全回復したからな。そんでモノリスのコードを読み取った所で、一条をダウンバーストで終わらせた」

「やっぱ一真は凄いや。ダウンバーストやデバイス無しでの電撃を喰らわせたのは、いつも通りエレメンツ使いがフル活用されたらしいけどあの時は回復魔法か。相変わらずだね、でもこれで優勝だよね!」

「にしても疲れたな、そろそろ俺らは切り上げるとしようやレオに幹比古。最後に使ったのは、頑丈な肉体ではなく魔法力と技術力となったな」

俺らは肩を組みながら、腕を振りながら歓声に応えるようにしていた。深雪らを発見したので、再び声をかけながら撤収した。新人戦優勝のパーティーは総合優勝のパーティーまでお預けとなった。理由は色々あるが、一つ目は本来なら三種目優勝のはずが四種目目であるモノリス・コードでも優勝を果たした事で、競技優勝と新人戦決勝を決めた三人が選手控え室に戻ったら、一気に倒れ込むという事があったからだ。

ドンチャン騒ぎやらパーティー所ではない程に、疲労感が出ていたという事情だった。それと明日のミラージ・バットの準備でそれをやっている時ではないのが、大きい事だが深雪のデバイス調整をするのが俺だという事だ。

一高新人戦優勝により、一高と三高の総合ポイントは更に差が開いていた。その差は本来だと百四十ポイントのはずが、名無しにて三種目出場し優勝を果たしたのでどのくらい差が出ているというのはそれ以上の差が出ている。

ミラージ・バットの配点は一位が五十ポイント、二位が三十ポイント、三位が二十ポイント、四位が十ポイントとなっている。明日の予選と最終日決勝のモノリス・コードの配点だけは、いつもの競技より二倍となっているからか。

「全くモノリス・コードが終わったら、これがあったとは忘れていたな」

「お兄様には余計な不可かもしれませんが、明日のミラージ・バットの成績次第で最終日を待たずに一高の総合優勝が決まりますから」

「その通りで、選手とエンジニアはコスチュームとデバイスの仕上げ調整に余念がないが手の空いたメンバーが来たとしても仕事はもう終わらせている」

昨日のデバイス調整を一気に三人分をやってから、ウチの最新技術を見せただけあってかレオが出したビットについてを聞かれたがこれについては言えない。目視だけならいいと言っているので、再現しようにも無理だろうと思っているからだ。新人戦から本戦に鞍替えをしたとしても、深雪がミラージ・バットに出場する事は明白だったので準備だけはちゃんと完遂していた。

「一真君も無理をしないで休んでね、貴方は新人戦で散々選手兼エンジニアとしてやってきたのだから」

俺は怪我人ではないが、これ以上無理をすると明日やる事に差し支えるので休む事にした。しかし時計に緑のランプが光った事で、俺と深雪に蒼い翼やCB関連の者全てが通信機をはめたら、聞こえてくるのは無頭竜の荒れた声だった。それも一睡出来ない程、とても追い詰められた声でもあった。

「第一高校の優勝は最早確定的だ・・・・」

「馬鹿な!諦めると言うのか?それは座して死を待つという事だぞ!」

「このまま一高が優勝した場合、我々の負け分は一億ドルを超える。ステイツドルで、だ」

「これだけの損失、楽に死ねんぞ?ただでさえ今回の企画(プラン)は負けた場合の金額が大きすぎて本部が渋っていたのを、我々が無理に通したものだからな。良くて生殺しの『ジェネレーター』であり、適性が無ければ『ブースター』として死んだ後まで搾り取られる事になる」

テーブルを囲んだ男達は、悍ましい物を見る目で部屋の四隅にボンヤリと立ち尽くす四人の男を順番に窺い見た。何か映画で見た事があるサイボーグに見えるが、実際は強化人間なのだろう。

「この企画が無ければ今期のノルマを達成出来なかったとはいえ・・・・少し強引過ぎたか」

「そんな事を言っている場合ではなかろう!・・・・こうなっては最早、手段を選んでいる場合では無い」

「そうとも!最初から本命に負けてもらう予定で色々と手間を掛けたのだ。多少手荒な真似になっても今更躊躇う理由は無い。客に疑いを持たれた所で、証拠を残さなければ何とでも言い訳は立つ。この際、徹底的にやるべきだ」

「協力者に使いを出そう。明日のミラージ・バットでは、一高選手の全員に途中で棄権してもらう。・・・・強制的にな」

「運が良ければ死ぬ事はあるまい。さもなくば、運が悪かったというだけだ」

狂気を孕んだ含み笑いが、同意の印に投げ交わされた事で俺らもそろそろ全体的に動くとしようとしてから、久々に蒼太と一緒に話しながら寝たのだった。この事については明日の鍛錬での事務連絡にしようと思ったからだ。 
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