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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第4章
停止教室のヴァンパイア
  第94話 裏切者と災禍の盟主と真相

 
前書き
大分間が空いてしまいました!?
次からは前みたいなペースになると思います。 

 
ビチャビチャ。
「ん、なんだ?この辺やけに水浸しだな?」
ギャスパー達を助け、みんなの所に急いでいたんだけど、道がやけに水浸しになっていた。
今日は一日中晴れだったのに?
って言うか、会談前にこの道を通った時はこんなに水浸しじゃなかったぞ。
「これ、千春姉が戦った跡…」
「千春さんが?」
そう言えば、千春さん、水を操る神器(セイクリッド・ギア)を使ってたな。
ドバァッ!
『っ!?』
「ガハッ!?」
いきなり水飛沫があがる様な音がしたと思ったら、男が飛んできて木に叩き付けられた!
「クソッ!十二新星(デュオデクテッド・ノヴァ)でもないのにこんなに強いのかよ!?」
男の視線の先には明日夏や千秋が着ている様な戦闘服みたいなのを着た千春さんがいた。
「まあ、十二新星(デュオデクテッド・ノヴァ)の知り合いはみんな掛け値無しの化け物みたいに強いからなぁ。自分で言うのもあれだけど、十二新星(デュオデクテッド・ノヴァ)になってない=弱いって認識は捨てた方が良いよ」
千春さんが不敵に笑いながら男に近付く。
「あ、イッセー」
「チッ、オラッ!」
千春さんが俺達に気付いてこちらに顔を向けた瞬間、男がナイフを手に千春さんに襲い掛かった!?
「なっ!?」
「あ、個人的には接近戦の方が得意なんでね」
けど、千春さんは片手であっさりといなして、男の勢いを利用して後ろに投げ飛ばしてしまう!
「さて、念の為聞くけど、災禍の盟主(カラミティ・キング)について知ってる事は?」
「ケッ、知るかよ!」
「……だよなぁ」
そう回答するのが分かってたのか、千春さんは肩を竦めて、それ以上何も聞かなかった。
その後、男を拘束し、潜んでいたはぐれを全て討伐し終えた千春さんも連れてみんなの所に急ぐ。
道中、双方で何があったのかを話す。
どうも、このテロの首謀者は旧魔王レヴィアタンの末裔だと言う話だ。
部長から旧魔王の事を聞くと、旧魔王は種の存続よりも戦争継続を主張して現魔王と対立し、冥界の隅に追いやられたらしい。
「ところで神楽、あんたの仙術で魔術師達の存在を襲撃される前に察知できたんでしょ?」
千春さんが神楽にそんな事を聞いてきた。
「……はい。事前に察知して、当初は千秋ちゃん、小猫ちゃん、鶇さんが魔術師達の相手、私がギャー君を安全を確保できるギャー君の部屋に連れていく、燕ちゃんがみなさんに知らせに行くって事で行動しようとしたんですけど…」
「……行動しようとした矢先に魔術師達がいきなり部室に現れて…」
「いきなり現れた?」
「……はい。それで慌てて応戦しながらギャー君の部屋に逃げ込む事になったんですけど…」
「……待ち伏せされてて…」
それでやられて捕まったって訳か…。
「そのいきなり現れたって言うのは転移してきたって事なの?」
「……たぶんですけど」
「それにしては、速過ぎるって言うか、なんの兆候も無かったけど…」
「つまり、瞬間移動みたいに現れたって事?」
「……そんな感じです」
旧校舎への女魔術師達の侵入方法について考えるけど、誰も何も分からなかった。
「ま、考えてもしゃあなしだし、今はとっととみんなと合流するか」
千春さんの言葉に頷き、移動の速度を速める。


「ハァッ!」
眼前の魔術師を斬り倒し、周りを見渡す。
「クソ、キリがねえな…」
木場達が倒したのも含めれば、結構な数を倒している筈だが、全然減っている気がしない。
「チッ!」
後ろから複数人の気配を感じ、振り返って構える!
「ドラゴン・ショット!」
『グワァッ!?』
振り返った瞬間、目の前にいた三人の魔術師を魔力弾が吹き飛ばした。
「ようやく来たか」
魔力弾が飛んできた方角を見ると、イッセーを先頭に部長や姉貴、囚われていたであろうギャスパー達がいた。
「みんな、無事か!」
「ああ!」
イッセーの呼び掛けに答えながら、イッセー達に近寄る。
部長はギャスパーを連れてサーゼクス様達が張っている結界の下へ行く。
「状況は大体千春さんに聞いた。要するに魔術師達が出てくるゲートが閉じるまでここを守れば良いんだな」
「話が速くて助かる。来るぞ!」
「おお!」
イッセー達を交えて、再び乱戦に突入する。
戦力が増えた事で少しは楽になったが、迎撃するたびに新たな魔術師が現れて、戦況は一向に好転してない。
「リアス部長!イッセー先輩!」
そんな中、ギャスパーが叫ぶ。
「……僕は……僕は…先輩の様な男になりたい…!僕を拾ってくれた部長の期待に応えたい…!だから……だから…」
ギャスパーは神器(セイクリッド・ギア)の力を抑えている腕輪を掴む!
「僕も仲間の為に戦います!」
そう叫び、腕輪を外した!
その光景を見た部長が慌ててギャスパーに静止の叫びをあげる。
「お止めなさい!?お兄様、ギャスパーを止めて!?お兄様!!」
だが、サーゼクス様はただギャスパーを見てるだけで止めようとしなかった。
そうしている内にギャスパーの双眸が輝きだす!
「僕だって…!僕だって!男なんだァァァ!!」
『ッ!』
輝きはどんどん増していき、ギャスパーを中心に眩い光がこの場を包み込んだ!
「あらあら?」
「あ?」
「一体何が…?」
「……分かりません」
光が止むと、停止していた副部長、アーシア、会長、副会長が動ける様になっていた!
「ギャスパーが暴走した停止状態を打ち消したって事?」
「ついでに奴さん達の転移ゲートも停止させちゃったみたいだよ」
そいつは朗報だな。
これで敵が現れる事も無い。
「やりやがった!スゲーぞ、ギャスパー!」
当のギャスパーは力尽きたのか、倒れそうになっていた所をアーシアに支えられていた。
そこからは副部長、会長、副会長も交えて、残りの魔術師達の掃討に掛かった。
「さて、そろそろ遊びは終わりにしようか」
魔術師達を倒していると、アザゼルの声が聞こえ、そちらを見ると、アザゼルとカテレアが距離を取って対峙していた。
アザゼルは懐から紫色の宝玉の付いた槍の様な短剣を取り出した。
「……それは!?」
「戦争なんぞよりよっぽどマシな俺の趣味だよ。こいつは堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)、俺の開発した人工神器(セイクリッド・ギア)だ」
人工の神器(セイクリッド・ギア)って、そんな物を作ったって言うのかよ!?
短剣の宝玉が光り輝き出し、アザゼルは静かにその言葉を発した。
「……禁手化(バランス・ブレイク)!」
光がアザゼルを包み込む。
「堕天龍の鎧(ダウン・フォール・ドラゴン・アナザー・アーマー)」
光が止むとそこには黄金の全身鎧(プレート・アーマー)を着込んだアザゼルがいた!
人工の神器(セイクリッド・ギア)を作るだけじゃなく、禁手(バランス・ブレイカー)までもかよ!?
『いや、ありゃぁ、一種の暴走させた状態だな。たぶん、戦闘後に人工神器(セイクリッド・ギア)はぶっ壊れるな』
それでも、あそこまで行けば十分な完成度だと思うがな。
『つうか、このオーラの感じ、ファーブニルか?』
ファーブニルって、龍王の一角の黄金龍君(ギガンテイス・ドラゴン)ファーブニルの事か?
『そっ、そのファーブニル』
なんだって龍王の一角が堕天使の総督に?
『まあ、それなりの対価を支払ってんじゃねえのか』
契約って訳か。
アザゼルは光の槍を手にカテレアに手招きをする。
「さあ、来いよ」
「っ、舐めるな!」
挑発に乗ったカテレアが猛スピードでアザゼルに迫る!
ズシャァァァッ!!
「フハハ♪」
勝負は一瞬だった。
アザゼルの槍の一閃によって、カテレアは切り裂かれた。
「‥‥‥‥新世界の創世‥‥‥‥そこに貴方は必要無い!」
カテレアが最後の足掻きとして、手を触手の様に伸ばして、アザゼルの左腕に巻き付かせた!
さらに、カテレアの体に怪しげな紋様が浮かび上がる。
「三大勢力の一角を屠れるのならば、この身が滅びようとも意味がありましょう!!」
まさか!?自爆による道連れか!?
「自爆か?フン、御免被りたいね。取引としちゃあ安過ぎる!」
ズシャッ!
な!?躊躇い無く腕を切り落としやがった!?
「お前なんざ!」
「あっ、ああぁぁぁぁぁっ!?!?」
アザゼルが投げた槍がカテレアの額を貫き、断末魔をあげながらカテレアは消滅した。
「せいぜい、腕一本が良いところだ」
そう言う中、鎧が解除されて宝玉だけになり、アザゼルは切り口の止血をしながら宝玉を手に取る。
「まだ改良の余地がありそうだな。もうしばらく俺に付き合ってもらうぜ、龍王ファーブニル」
そう言って宝玉にキスをするアザゼル。
「……自分の腕を…!?なんて奴だ…!」
アザゼルの振る舞いに呆気に取られているイッセーの肩に手を置く。
「とにかく、後は残党だけだ」
「あ、ああ」
「蹴散らすぞ!」
「おお!」
その後、戦闘を再開し、みんなで残りの魔術師達を殲滅する事ができた。
ドゴンッ!
「っ!?」
「な、なんだ!?」
突然の衝撃音に驚き、そちらを見ると、クレーターができており、中からアザゼルが這い出てきた。
どうやら、誰かに撃墜された様だが。
「……ってってって。俺もヤキが回ったもんだぁ。……ヴァーリ」
アザゼルの視線を追えば、そこにはヴァーリがいた!
「悪いな、アザゼル。こちらの方が面白そうなんで」
「チッ、どうやら裏切者ってのは…」
「ヴァーリ!テメェか!?」
俺達がヴァーリの事を睨んでる中、アザゼルは服の埃を手でほろい、ヴァーリと同じ高さまで飛ぶ。
「なあ、ヴァーリ、一つだけ聞きたいんだが?」
「ん?」
「うちの副総督のシェムハザが三大勢力の危険分子を集めている集団の存在を察知していてな。渦の団(カオス・ブリゲード)と言ったか」
渦の団(カオス・ブリゲード)、それが今回のテロ組織の名前か。
「っで、そのまとめ役が無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス」
オーフィスッ!?おいおい、とんでもない名前が出てきたな。
先日、ヴァーリがイッセーにした自分が世界で何番目に強いかって言う質問で間違い無くトップに君臨するであろう存在、神も恐れたドラゴン。
「確かに俺はオーフィスと組んだ。だが、俺もあいつも覇権だの世界だのに興味が無くてね。力を利用しようと、連中が勝手にくっ付いて来ただけだ」
「なるほどなぁ。てっきり、カテレアと仲良くつるんだのかと思ったぜ。魔王の座を奪われた者同士でな」
魔王の座!?
その言葉を聞いて動揺を現す俺達!
「俺の名はヴァーリ・ルシファー」
『っ!?』
その名に驚愕する現魔王や悪魔のみんな。
いや、他のみんなも驚いていた。
「俺は死んだ先代魔王の血を引く者でね。前魔王の孫である父と人間の母の間に生まれたハーフなんだ」
「真の魔王の血縁でありながら半分人間である故に偶然にも白い龍(バニシング・ドラゴン)を宿す事ができた、か。まったく、冗談みたいな存在だよ、お前は」
「奇跡と言う言葉は俺の為にあるのかもな」
そう言う奴の背中から四対八枚の悪魔の翼が現れた。
「こいつは過去現在、そして、未来永劫に於いても、最強の白龍皇になるだろう」
最強、確かに、魔王の血筋による膨大な魔力と白龍皇の力を持ったこいつは強さに於いてはデタラメな存在だろうな。
「兵藤一誠」
「っ!」
「運命と言うは残酷だとは思わないか?」
「……何ぃ?」
「俺は魔王の血を引きながらドラゴンの力を得た最強の存在。なのに、君はただの人間。悪魔に転生するまでの君はあまりにも普通の高校生だった。つまり、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)以外、何も無い。つまらん。あまりにつまらな過ぎて笑いが出たよ。ライバル同士の神器(セイクリッド・ギア)とは言え、俺達の間には天と地以上の開きがある。いや、あり過ぎた」
「……だからどうした…!」
「いっその事、君をここで殺して、次の宿主に期待した方が良いかもしれないな?」
「っ!?」
この野郎ッ!言いたい放題言いやがって!
ヴァーリの言葉に俺達は身構えようとした瞬間、場違いな声音の声がその場に割り込んできた。
「そう結論を急ぐ事は無い、ヴァーリ」
声がした方を見ると、一人の男がこちらに歩み寄って来ていた。
その男の事をヴァーリを除く他のみんなが訝しんでいる中、俺だけが呆気に取られていた。
金髪の端整な顔立ちの中年の外人の男。
「やあ、Boy♪あの時、私が言った通り、また出会えたね♪士騎明日夏君♪」
あの時と同じく、フレンドリーな話し方。
その男は先日、ユウナ、ライニーと再会した日に、二人と出会う前に出会った、この町の観光をしていたと言っていた男だった。


な、なんだ、あの男、明日夏の知り合いなのか…?
ヴァーリが裏切者で、実は魔王の血筋で、運命がどうのと、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)以外俺には何も無いなんて嘲笑って、頭の中が色々とこんがらがっていた所に変な男が現れたせいで、余計頭がこんがらがってきた。
当の明日夏は呆気に取られている様子だった。
「ッ!」
って、明日夏が持っていた刀を逆手持ちにして構え、男を睨み付ける!
「おやおや、いきなり物騒だねぇ。あの時の真摯な君はどこに行ってしまったのだね?」
「……何者だ!」
「質問に質問で返すなんて、無粋だねぇ。ただの観光者だよ、Boy♪」
「ただの観光者がこんな所にいるはず無いだろ!何より、俺はあんたに名前を名乗っていない!」
「おっと、これは!私とした事が、ミスをしてしまうとわ!?」
大袈裟に驚いているけど、ぶっちゃけ、絶対に驚いていない!
明らかにわざとだ。
そう思ってしまう程、あの男の態度が白々しい。
明日夏はその態度にますます、イライラを募らせていた。
「まあ、良い。では、名乗らせてもらおうか。私はレイドゥン。レイドゥン・フォビダーと言う。以後、お見知りおきを」
そう言って、深々とお辞儀をする男、レイドゥン。
「そうだ、Boy。君のお姉さんにはこう名乗った方が良いかな?」
「?」
千春さんがレイドゥンの言葉に訝しんでいた。
「災禍の盟主(カラミティ・キング)と」
「っ!?」
その名を聞いて、千春さんは目を見開いて驚愕していた。
俺達も千春さんからその存在の事を聞いていたから、相当驚いてしまう。
「……冗談ならさっさとそう言いな。手加減できなくなるよ?」
苦笑いを浮かべながら、千春さんは身構える。
「いやいや、冗談ではないよ。そうだろ、ヴァーリ」
「俺に嘘を言っていなければ、事実だな」
ヴァーリは淡々と答える。
「そう言う事だよ」
満面の笑顔を向けてくるレイドゥン。
「……今まで散々コソコソしてたクセに、なんだって今になって自分から姿を現したんだ…?」
千春さんの質問に奴は愉快そうに答える。
「いやなに、協力者であるヴァーリが名乗り出たのだから、私もそうしようと思ったのだよ♪それに、いつまで経っても、私についての情報を掴めない君達を見て退屈になってきたのでね。ちょっとしたサービスと退屈凌ぎだよ♪」
「……退屈を凌ぐ為に名乗り出るとか、イカレてるのか、バカなのか。自分で自分の首を絞めるなんて、実はMとか?」
「そうだね、狙われる立場と言うのを楽しんでいる節があるのだから、私にはそう言う性癖があるのかもなしれないね♪」
こいつ、コカビエル以上にマジでイカレてやがる!?
どこまでも愉快そうに答えるこいつを見てそう思ってしまった。
「……答えろ。あの時の接触は偶然か?それとも…」
「もちろん、意図的なものだよ♪」
「チッ、我ながらマヌケだぜ!」
「そう悲嘆する事はない。あの時のBoyの行動は正しい物だったと思うよ♪」
レイドゥンはとことんフレンドリーな態度で明日夏に接するが、それがかえって明日夏をイラつかせていた。
「さて、私の登場で話の腰を折ってしまったが、どの様な話をしていたかな?おお、そうそう、今代の赤龍帝があまりにも凡人過ぎて、つまらないと言う話だったね。だがね、ヴァーリ。まだ、結論を出すのは早いと思うよ」
「っと言うと?」
「確かに宿主のスペックも大事だが、神器(セイクリッド・ギア)に大事なのは想いの強さだと私は思うのだよ。神器(セイクリッド・ギア)は想いに答えて進化するからね。そこにいる聖魔剣使いの彼みたいな独自の進化をする物もある。それに、元はただの高校生でも、闘争の場に出れば、何かかしらの才能に目覚めるかもしれないよ。そうだ、一つ物語を語ろう」
レイドゥンは急に何かを語り出した。
「これはとある神器(セイクリッド・ギア)所有者の少年の物語。昔々、ある所に幸せなとある一家がありました。父、母、そして四人の兄弟の六人家族で、家族仲睦まじく暮らしておりました」
四人の兄弟って、まさか!?
「ある時、四兄弟の長子の少年は神器(セイクリッド・ギア)の力に目覚めました。その力は少年の日常の中では異形の物でした。そこで少年はその力をうまく隠せる様に使いこなす為の努力を行っていました。ある日、とある人気の無い森でその特訓を行っていた少年の前にとあるはぐれ悪魔が不幸にも現れたのでした。当然、神器(セイクリッド・ギア)以外に戦う術が無い少年ははぐれ悪魔に食われてしまう運命しかありませんでした。だが、幸運にもとある賞金稼ぎ(バウンティーハンター)によって少年は救われたのでした。そして、それを切っ掛けに少年はその賞金稼ぎ(バウンティーハンター)と懇意な関係になりました。さて、その賞金稼ぎ(バウンティーハンター)の協力で順調に神器(セイクリッド・ギア)の力をコントロールできる様になってきたある日、悲しい事に少年の両親が不幸な事故で亡くなってしまったのでした」
やっぱり、この話って!
「少年は下の兄弟達を養う為に賞金稼ぎ(バウンティーハンター)になる事を決意する。知り合った賞金稼ぎ(バウンティーハンター)のツテで賞金稼ぎ(バウンティーハンター)となり、瞬く間に力を付けていき、今では同業者や裏の人間の間では知らない者はいない程の実力者となりました。めでたしめでたし」
語り終えるなり拍手をするレイドゥン。
「いかがだったかね?とある神器(セイクリッド・ギア)所有者の少年が闘争の場に出る事で戦いの才能を開花させた物語は?」
「要するにそれって冬夜さんの事なんだろ!」
「Yes!その通りだよ、赤龍帝君♪ 神器(セイクリッド・ギア)以外は普通の少年だった彼は賞金稼ぎ(バウンティーハンター)になった事で三狩王(トライ・イェーガーズ)の一角、魔弾の竜撃手(デア・フライシュッツ・ドラグナー)と呼ばれる程になった。君だって、闘争の場に出れば、もしかしたらだよ?」
冗談じゃねえよ!好き好んで戦いの場に出る気なんてねえよ!
「……御託はそれだけか?」
明日夏が低い声音で尋ねながら刀を構える。
「No!まだ、話は終わっていないよ。今の話は彼、士騎冬夜君を中心にした物だが、この話、別の男を中心にする事で大分変わるのだよ」
「……何?」
「昔々、ある所に一人の男がいました。男はある日、とある少年を見付けました。少年は強力な部類に入る神器(セイクリッド・ギア)を持っていました。男はこのままなんの変哲の無い日常に埋もれさせるのはもったいないと思いました。そこで、男は少年のいる町にいたとある賞金稼ぎ(バウンティーハンター)にあるはぐれ悪魔の情報を与え、そして、そのはぐれ悪魔に少年を襲わせました」
な!?じゃあ、冬夜さんは意図的にはぐれ悪魔に襲われたってのか!?
「だが、はぐれ悪魔の情報を掴んでいた賞金稼ぎ(バウンティーハンター)によって少年は救われました。男はこれで彼は賞金稼ぎ(バウンティーハンター)になる為のツテを手に入れた。次は賞金稼ぎ(バウンティーハンター)なる理由を与えなくてはと思いました」
賞金稼ぎ(バウンティーハンター)になる理由って、冬夜さんのそれは明日夏達を養う為にって言うもの。
それを与えるって、冬夜さんがそうする事になったそもそもの原因は!?
「男は少年が非常に家族想いだと言う事を知り、それを利用しようと考えました」
まさか!?
「ある日、少年の両親を…」
レイドゥンの語りを聞いて、明日夏、千秋、千春さんの瞳からみるみる光が失っていく。
「事故に見せ掛けて、殺したのでした♪」
その部分だけを非常に楽しそうに語った。
明日夏達の両親は事故じゃなく、意図的に殺された。
「結果、少年は下にいる兄弟達を養う為に無事に賞金稼ぎ(バウンティーハンター)になり、男の期待以上に実力を付けていきましたとさ。めでたしめでたし」
なにより、明らかに詳し過ぎる!
「ちなみに、男は周りからはこう呼ばれていました」
明日夏達に激しく睨まれながらも奴は愉快そうにその名を口にする。
「災禍の盟主(カラミティ・キング)と♪」


……頭の中を怒りと憎しみ、憎悪の感情で埋め尽くされていく…。
こんな奴の都合で…。
体中からかつて無い程の緋色のオーラが溢れ出す。
父さんと母さんは殺され…。
隣にいる千秋から吹き荒れる風もかつて無い物だった。
「良いよ♪良いよ♪良い憎悪だ♪」
俺達は…。
「もっと私を憎みたまえ!怒りたまえ!」
こいつの手の平で踊らされていた…。
「さあ、もっとォォッ♪」
『黙れェェェェェェェッ!!!!』
俺と千秋が怒りで駆け出そうとした瞬間、姉貴が俺達の前に出て俺達を制止させる。
「とりあえず、二人共落ち着きな。そのまま突っ込んだら、何されるか分かんないよ」
姉貴に言われたのと、さっきの叫びで少しは吐き出せたのか、なんとか踏み止まる。
だが、今にも腸が煮え繰り返そうでしかたがない!
「ん〜、残念」
あのまま突っ込んで来て欲しかったのか、少しだけ残念そうにしていた。
「……少し聞いていいか?」
「ん、何かね?」
「……何が目的だ?」
「目的?」
「……冬夜を強くしてどうしようって事だよ。自分の手駒にする?ハッ、もしそうなら諦めな!冬夜はテメェになんか従わないよ。むしろ、自分の首を絞める事になるだけだよ」
「………」
姉貴の言葉を聞いて押し黙るレイドゥン。
「クックック、ハハハ、アハハハハハ!!」
だが、突然、高笑いあげだした!
「いや、失敬。私が君達にちょっかいを出したのには深い理由、目的のあっての事だと思っているのがおかしくてね♪」
……なん…だと…。
「目的なんて無いのだよ。いや、しいて言えば、暇潰しだな」
「……暇…潰し…?」
「そうだよ。そもそも、私は彼にそこまでの期待などしていなかったのだよ。たまたま強力な神器(セイクリッド・ギア)を持っていたので、ほとんど軽い気持ちで賞金稼ぎ(バウンティーハンター)になってそこそこの実力のある者になれば良かったなと言った感じなのだよ。さっき言った計画も穴だらけだった訳だし、彼が賞金稼ぎ(バウンティーハンター)になれなかったらなれなかったらで別に良いと言った適当な物だったのだよ。暇さへ潰せれば良かったからね。だが、結果は知っての通りだよ!いやはや、適当な暇潰しもバカにならない物だな♪」
ただの暇潰しで……父さんと母さんを…俺達を…。
「ふざ…」
「ふざけるなァァァァァァァッ!!!!」
「姉貴!?」
再び叫び声をあげて突っ込もうとした瞬間、姉貴が叫び声をあげて駆け出していた!?
「ッッッ!!」
一瞬で肉薄し、奴の首目掛けて姉貴は手を伸ばす!
そのまま行けば、強化された握力による柔術で奴の首は折られるはずだった。
「っ!?」
だが、姉貴の手は奴の首に届く事無く、なぜか手前で制止していた!?
「良いスピードだよ♪だが、まだ私には届かないね」
ドゴゥ!
「っ!?」
姉貴の腹に強烈な膝蹴りが入れられる!
「フッ!」
ドガァ!
そのまま、拳を振り下ろしによる打撃で姉貴は地面へと叩き付けられる!
「フフフ♪」
「っ!?」
さらに奴は足で姉貴を仰向けにして、首を踏み付ける!
「姉貴!」
「千春姉!」
「落ち着きなさい、明日夏、千秋!?」
部長の制止の声が聞こえるが、俺達は止まる事無く、駆け出す!
「さあ、来るんだ♪」
「このォォォッ!!」
「ハアァァァッ!!」
俺達は奴に一気に近付き、俺は緋色のオーラで強化した猛虎鉱爬山を、千秋は風の推力で威力を上げた蹴りを同時に放つ!
『なっ!?』
だが、姉貴の時と同様、奴の手前で俺達の攻撃は止まってしまう!?
それどころか、体が奴から強引に離されようとする!?
「磁石は知っているだろう?」
『ッ!?』
「違う極同士だと引かれ合い、同じ極同士だと反発し合う物だ」
まさか!?この現象!
「斥力!」
「Yes!不可侵の膜(リジェクト・ヴェール)、私の持つ神器(セイクリッド・ギア)、能力は君の察した通りだよ♪」
『っ!?』
それは一瞬の出来事で、俺達は奴の発した斥力により、宙へと放り出されていた。
『ッ!』
俺達はなんとか体勢を立て直し、うまく着地する。
「クソッ…!」
「さあ、もっと来たまえ♪」
……楽しんでやがる。
俺達が奴への憎悪で怒り、憎しみ、掛かってくる事を楽しんでいやがる。
……これも奴にとっては暇潰しって訳か。
「よし、こう言う設定で行こう」
突然、ヴァーリの奴が言葉を発し、みんな奴の方を見る。
「兵藤一誠、君は復讐者となるのだ。俺が君の両親を殺そう」
『っ!?』
こいつ!?いきなり何を!?
「親を俺の様な貴重な存在に殺されれば、多少は重厚な運命に身を委ねられると思わないか?君の両親だって、老いて普通に死んでいくつまらない人生よりよっぽど劇的だ。さっき話に出ていた士騎冬夜も親の死によってそれだけの力を得られた訳だからね。うん、そうしよう♪」
……ふざけんな…!
どいつもこいつも…!
「……いい加減に…」
「……殺すぞ、この野郎…!」
「っ…!?」
イッセーの冷たい声音と殺意に思わず黙ってしまう!
「……なんで俺の父さんと母さんや明日夏達の両親がテメェらの都合に合わせて殺されなくちゃならねえんだよォォォォォォォッ!!!!」
『Welsh Dragon Over Booster!!!!』 
 

 
後書き
新しい敵オリキャラの災禍の盟主(カラミティ・キング)ことレイドゥン・フォビダーの登場です。
明日夏にとってはラスボスみたいな存在の予定です。 
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