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ドリトル先生と森の狼達

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第四幕その三

 皆で森の奥の方までの調査に出発しました、そして山の中を進みながらです。 
 王子がです、こう先生に言いました。皆リュックを背負っていて老馬とオシツオサレツの背中にはとりわけ多くの荷物があります。
「先生、皆から聞いたけれど」
「うん、密猟はね」
「なかったよ」
 こう先生にお話するのでした。
「僕が聞いた限りだとね」
「僕が調べた限りでもね」
 先生も王子に答えました。
「なかったよ」
「そうだよね」
「僕が調べた限りでもです」
 トミーも先生にお話します。
「なかったです」
「そんなことはね」
「はい、全く」
 それこそというのです。
「なかったです」
「僕達もね」
「村中調べたけれど」
「そんな話はね」
「影もなかったよ」
「全くね」
 動物の皆も先生に言います。
「それぞれの得意なことで調べて」
「見たり聞いたり嗅いだりしたけれど」
「なかったよ、そんなお話は」
「影も形もね」
「そうだね、じゃあ密猟はないね」
 先生はこのことがはっきりして笑顔で言いました。
「よかったよ」
「そのこと自体はね」
「よかったですね」
「うん、ただね」
 先生はこうも言いました。
「村の人達も森の奥まではあまり行っていないみたいだね」
「奈良県と和歌山県の境までは」
「そうみたいだね、どうやら」
 こう言うのでした。
「あそこまでは」
「けれど鹿さん達のお話では」 
「そうだね、あの辺りの鹿君達もね」
「減っていますよね」
「熊君達かな」
 先生は首を傾げさせつつ述べました。
「彼等がいてね」
「そうでしょうか」
「あと蝮に噛まれる」
 先生はこのケースについてもお話しました。
「そちらかな」
「その可能性もありますか」
「怪我をしたりね、けれどね」 
 それでもとです、また言った先生でした。
「自然環境を破壊するまでの数になると」
「そうそう怪我とかでは」
「減らないね。流行病の話もないし」
 鹿達のそれもというのです。
「そうなるとね」
「何らかの別のことがあって」
「鹿君達は減ったけれど」
「人でも獣でも病気でもない」
「自然環境が急に変わったっていうこともね」
 これもなのでした。
「ないから。じゃあ何かな」
「わからなくなってきましたね」
「ちょっとね、何かな」
 先生は首を傾げさせつつ言うのでした。
「調べてみようかな」
「そのことも」
「うん、それと村のお爺さんから聞いたことだけれど」
 先生はふとです、皆にこのことをお話しました。
「入ったらいけない山もあるから」
「あっ、何かね」
「村の人がお話していましたね」
 王子とトミーも先生に応えました、そのお話について。 
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