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魔法少女まどか☆マギカ こころのたまごと魂の宝石

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第2話

あたしはたまごを持っている女の子、鹿目さんと話がしたかったんだけど、今は友達とそれから仲の良い先輩と一緒に屋上に居るらしい。流石に邪魔するのは悪いから、あたしはさっき会ったキャラ持ちの先輩、呉キリカさんと一緒に中庭でお昼を食べながら話をしていた。

「ねえ。何で日奈森さんは四人もしゅごキャラが居るの?」

「何でって言われても、なりたい自分が沢山あったからとしか・・・」

「へ〜、欲張りだな。」

「うぐっ・・・」

「ちょっとレン。」

「でも、本当の事だろ。」

キリカさんのしゅごキャラ、レンは大人しめなキリカさんとは違って明るい性格だ。きっと、それがキリカさんのなりたい自分なんだろう。

「ねえ、日奈森さんもしゅごキャラが産まれてから、変わった事があった?」

キリカさんがそう言ってきた。

「はい。ラン達が産まれたのは、あたしが小学生の頃だったんですけど。その時のあたしって、口下手で、素直じゃなくて、人見知りで。なのに周りからはクールでカッコいい一匹狼と勘違いされて・・・」

「そ、それは大変だったね。」

「っていうか。どうやったらそんな風に勘違いされるんだ?」

キリカさんは同情してくれるっぽいけど、レンは疑問に思っていた。いやでも、あたしだって何でこうなったのか分かんないって。けど・・・

「でも、ラン達が来てから本当の自分を前に出して行けるようになっていって、クラスの皆とも仲良くなれたんです。」

「そうなんだ・・・私と一緒。」

「キリカさんも?」

「うん。私、昔親友に裏切られた事があって、人間不信になってたんだ。でも、ある人が困っている時に親切にしてくれた。それで、もう一度他人を信じてみようと思ったんだ。だから、まず始めにその人に自分から話しかけて友達になろうとおもったの。でも、やっぱり他人は怖くて無理で。そんな時に願ったんだ。あの人に話し掛けられる私になりたいって。」

「そうやって産まれたのがレンなんですね。」

「そう。おかげで、クラスにも何人か友達が出来たし、再会した親友とも仲直り出来た。」

「それじゃあ、その親切にしてくれた人とも・・・」

仲良くなれたんですよね。そう続けようとしたら、急にキリカさんが落ち込み出した。

「ねえ、あむちゃん。」

「これって・・・」

「もしかして〜。」

ラン、ミキ、スゥ。言わなくても分かる。これはきっと・・・

「まだ、その親切な人と仲良くなれて無いの?」

「ぐふっ・・・!」

ちょっとダイヤ!分かってても言っちゃダメだって!全くこの天然キャラは!!

「キリカ!大丈夫か!!」

「だ、大丈夫・・・」

「でも、どうして?キャラチェンジすれば楽勝だと思うんだけど。」

キャラチェンジっていうのは、しゅごキャラの力で一次的になりたい自分になること。キリカさんなら他人と友達になる事が出来る自分って事になる。でも、それならランの言う通り楽勝なハズなのに。

「実は、キャラチェンジしても何故か出来ないんだ。」

へ?キャラチェンジしても出来ない?どう言う事?

「あの子を前にすると、何故か緊張しちゃって・・・」

「ええ!キャラチェンジしたのに!?」

「どう言う事だろ?」

「他の人達とは、仲良くなれたんですよねぇ?」

ホントどう言う事?
そうやって私達が頭を悩ませていると、レンが言った。

「私には答えが分かっている。」

「ホント!」

「それはズバリ!キリカが彼女に向ける想いが友情ではなく愛情。つまり恋心だからだ!」

そうやってレンはビシッと何処かを指差す。って、恋心おおおおおおおおおお!?

「だ、だから違うって!ほら、私とあの子は女の子同士だし、だからきっとそういうのは・・・」

「いや、間違い無く恋心だ!」

「違うよ!!」

今更だけど、その親切にしてくれた人って女の子なんだ。でも、女の子同士か。アハハ・・・

「あれ?あむが何か黄昏てるけど、どうしたかい?」

「実はあむちゃん。皆とは仲良くなれたけど、ほとんどの子達からは今だにカッコいい女の子だって思われてるの。」

ちょっとダイヤ!何余計な事言ってんの!!

「しかも、中学生になってからは良く女の子に告白されるようになっちゃたの!」

「二年生になってからは後輩も加わってさらに凄い事になったね。」

「あむちゃん、モテモテなんですぅ〜。」

あんた達まで・・・だから余計な事を言うなああああああ!!

「ほら見ろ!女の子同士の恋だってアリじゃないか!!」

「か、仮にそうだとしても、それをあの子が受け入れてくれるとは限らないよ!もし、それで気持ち悪いとか言われたら・・・私、散り果てちゃうううううううう!!!」

「「「「散り果てるって何!?」」」」

「要するに、キリカはその子と一番仲良くなりたい。だからこそ、一番嫌われたく無いと言う事ね。」

私達が困惑する中、ダイヤは冷静にキリカさんの心情を分析していた。

「うん。でも、どうすれば・・・」

「そう言う時はレンが産まれた時、あなたが何を願っていたのかを思い出すといいわ。」

「私が、何を願っていたのか?」

「そう。あなたはどうしてなりたい自分を思い描いたのか。それを思い出す事が出来れば、あなたは輝く事が出来るわ。」

「輝ければ、私はあの子と友達になれるのかな?」

「それは、あなた次第よ。」

一見無責任な感じだけど、ダイヤはしっかりキリカさんの事を考えている。あたしも、ダイヤのアドバイスには何度も助けられた。

「あ、そう言えば。」

「どうしたの、日奈森さん?」

「実は、私のクラスにもう一人キャラ持ちの子が居るんです。まだ、たまごですけど。」

「本当!?」

「同胞が増えるのは、喜ばしい事だ。」

「それで放課後、しゅごキャラの説明をしようと思っているんですけど、一緒にどうですか?」

「いいよ。それと日奈森さん。私に敬語は使わなくていいよ。」

「え?でも、先輩ですし・・・」

「先輩後輩の間柄じゃなくて、友達になりたいの。それじゃ、ダメかな?」

「そういう事なら大丈夫です。じゃなかった、大丈夫。よろしく、キリカ。」

「よろしく、あむ。」

こうして、転校生初日。あたしに新しい友達が出来た。




そして放課後、私とキリカは鹿目さんにしゅごキャラの事を説明しようと思ったんだけど・・・

「え?もう帰った?」

「ええ。」

鹿目さんの仲良しグループの一人、志筑仁美さんによれば、鹿目さんは既に仲良しグループのもう一人のメンバー、美樹さんと一緒に帰った後らしい。

「二人は最近、巴先輩と一緒に行動することが多いんですわ。」

「そうなの?でも、何で志筑さんだけ仲間外れ?」

「分かりませんわ。にしても、仲間外れですか・・・」

「ご、ごめん!変な言い方して!」

「いえ。これは仕方の無い事かもしれません。」

「え?どう言う事?」

「実は、まどかさんとさやかさん。最近よく無言で見つめ合っている事が多いんです。まるでそう、以心伝心しているかのように。そうつまり・・・二人の間に禁断の愛が育まれているのですわ〜!!!」

「いや、何でそうなるの!?」

禁断の愛って・・・それじゃあその巴先輩が一緒な事の説明がつかないじゃん!

「日奈森さん。今日転校してきたばかりのあなたに聞くのも変だと思いますけど、こう言う時ってどうすればよいのですか!」

「どうすればって・・・まあ、二人が互いを好きなのなら問題無いとは思うし、暖かく見守るしか・・・」

「そう、ですわよね。」

私の答えでやっと志筑さんは落ち着いてくれた。と、思ったら違った。

「私、決めましたわ。明日、お二人に私はお二人がどんな関係だろうと友達でいると伝えます!」

「いや、まだ二人がそ言う関係と決まった訳じゃ・・・」

「それでは日奈森さん。また明日。」

「ちょっと!話を聞いて!!」

結局、志筑さんは変な勘違いをしたまま帰っていってしまった。まあ、しゅごキャラの説明は明日すればいいとして、今日はこの後どうするかなあ。そう考えていると、ランが提案してきた。

「ねえ、あむちゃん。今日はこれからキリカちゃんの手伝いをするとかどうかな?」

「キリカの手伝い?それってもしかして・・・」

「そう!」

「キリカさんがその親切にしてくれた人とお友達になるためのお手伝いですぅ〜。」

「いや、あんまり余計な事はしない方がいいと思うんだけど。」

「何を言ってるの、あむちゃん。」

私が止めようとすると、ダイヤ達が反論してきた。

「困っている生徒が入れば手を伸ばして助ける!それが聖夜中生徒会でしょ!!」

「唯世くんも言ってたでしょ。転校しても、あむちゃんは生徒会の仲間だって。」

「だからあむちゃんも、胸を張って頑張るのですぅ〜。」

「皆・・・そうだね。」

「それじゃあ、聖夜中生徒会見滝原中学支部、出動ー!!」


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放課後、私とさやかちゃんはいつも通りマミさんとキュウべえに連れられて魔法少女体験ツアーに参加し、魔女の住処である結界に来ていた。今回の結界の中はまるで人形劇の舞台。そこでライオンと鳥のパペットのような姿をした使い魔が私達を待ち受けていた。

「それじゃあ、行くわよ。」

マミさんは早速、普段指輪の状態になっているソウルジェムを本来の姿である卵型の宝石に変化させ、魔法少女へと変身する。そして、愛用の武器であるマスケット銃を次々と出して、舞うように使い魔を倒していく。
本当に、凄いなあ。私もあんな風になりたい。そう思っていた時だった。

「あれ?」

「どうしたの、まどか?」

「今、たまごが動いたような?」

「ホント!?って事はもう直ぐ生まれるの!?」

「二人とも、先に進むわよー!」

いつの間にか、マミさんがこの辺りの使い魔を全部倒していた。

「あ、今行きまーす!」




その後、私達は順調に進んで行き、結界の一番奥に居る魔女の所までたどり着いた。今回の魔女は白い布を何枚も絡め合わせて作ったようなヒト型の魔女だった。その両腕には右と左に使い魔と同じ形のライオンと鳥のパペットが嵌められている。
早速、魔女が動き出した。左手の鳥の嘴を槍のようにマミさんに向かって突き出してくる。マミさんはそれを避けるとマスケット銃の柄で魔女を殴りつける。側頭部にそれを食らった魔女はそのまま吹き飛ばされた。すると、魔女は立ち上がって両手のパペットの口を開けて、そこからエネルギー弾を撃ってきた。でも、その技は使い魔も使っていたからマミさんは読んでいて事前に回避する。そして、魔女の胴体に向かってマスケット銃を撃った。弾丸は魔女の胸を貫いた。でも、それに構わず魔女はエネルギー弾を撃ち続ける。マミさんは何度もマスケット銃を撃って魔女の胴体を穴だらけにする。それでも、魔女は全く倒れる気配を見せない。その様子を見てマミさんは焦り出す。

「何よあいつ。不死身だって言うの!?」

さやかちゃんもそれを見て焦っていた。どうしよう。魔法少女の魔力には限りがあるから、このままだと押し負けちゃう。せめて、ほんの少しでもマミさんのサポートが出来たら・・・

“助けたい?”

その時、私の頭の中に声が響いた。

「え?今の・・・?」

「どうしたの、まどか?」

「今、頭の中で声が・・・」

“あの子を助けたいの?”

また、あの声が響いた。これって、もしかして・・・

「うん、助けたいよ。マミさんが大変なのに、じっと見てるだけなんて出来ない。」

“それじゃあ、助けたい子を助けられる子に・・・”

すると、私の鞄の中からたまごが浮かび上がり、私の目の前まで来た。そして、中心にギザギザのヒビが入ると上下に割れる。そこから出てきたのは、ピンクの髪をツインテールにして、フリフリのピンクの衣装を着た小さな女の子だった。

「キャラチェンジ!」

その子が頭の中で聞こえたのと同じ声でそう言うと、私のツインテールを留めているリボンが赤から白くて長いものに変わった。さらに、私の手には花の装飾のある弓が現れる。

「もしかして、あなたが妖精?」

「妖精?そうじゃないよ。私はしゅごキャラ。」

「しゅごキャラ?」

「そう。エイミーって言うの。よろしく。」

「うん。よろしく、エイミー。」

「まどか、何と話してるの?」

「へ?何って、エイミーだよ。私のたまごから産まれた。ほらここに居るよ。」

「へ?何処?」

私はエイミーを指差すけど、さやかちゃんは首を傾げる。もしかして、エイミーの事が見えてない?

「って言うかまどか。何か雰囲気変わって無い?何時もより堂々としてるような気がするんだけど。」

そう言えば、なんだか何時もより自信に溢れてるような感じがする。なんだか、私じゃないみたいで少し怖い。

「これで決めるわ!!」

そうしている間に、マミさんは必殺武器の大砲を出して構えていた。あれ?せっかくエイミーが生まれたのに、私出番無し?

「まどか、弓を構えて。」

「え?どうしたの?」

「あの怪物、本体は胴体じゃなくてパペットの方よ。」

エイミーがそう言うのと同時に、マミさんが大砲を発射した。

「ティロ・フィナーレ!!」

発射された砲弾は魔女の身体を木っ端微塵にする。でも、両手のパペットだけは分離してマミさんに襲いかかった。

「マミさん!!」

私は手に光の矢を出して弓につがえて発射した。

「シャイニーアーチェリー!!」

矢は魔女の左手だった鳥のパペットを射抜いたけど、右手だったライオンのパペットはそのままマミさんに突っ込んで行った。マミさんは大技を使った後だから対応出来ない。でも、その時・・・

ダァン!!

銃声と共に魔女の本体が撃ち抜かれた。魔女が倒された事で、周囲の景色がこの結界のあった場所、路地裏に戻る。

「今の、まさか?」

魔女の結界に入り込めるのは、魔女に餌として誘い込まれた人間を除けば魔法少女だけ。そして、銃を使う魔法少女に私達には心当たりがあった。

「ほむらちゃん!?」

私がそう叫ぶと、銃声のした方から魔法少女に変身したほむらちゃんが現れた。

「転校生!何で!?」

「どう言う風の吹き回しかしら?」

突然現れたほむらちゃんにさやかちゃんとマミさんは警戒していた。ほむらちゃんはマミさんの友達でもあるキュウべえの命を狙っていたから。

「でも、助けられたのも事実だから、一応御礼は言っておくわ。ありが・・・」

そうマミさんは言うけど、ほむらちゃんは無視してマミさんの横を通り過ぎて私の目の前に来た。

「どう言う事なの。」

「へ?」

「どうしてキュウべえと契約してしまったの!!!」

いきなり、ほむらちゃんが泣きながら物凄い剣幕で私の両肩を掴んできた。

「これじゃあ、これじゃあまた・・・」

「ちょっと転校生!何訳分かんない事言ってんの!!」

さやかちゃんがほむらちゃんを私から引き剥がそうとするけど、全く剥がれる様子が無かった。

「暁美ほむら。君は一つ誤解してるよ。」

その時、キュウべえがほむらちゃんに話し掛けてきた。

「どう言う意味よ。」

「彼女は僕と契約なんてしていない。」

「嘘よ!じゃあさっきまどかが使った力は何なの!!」

「そう思うなら、まどかの服装を見てごらん。」

「「「「服装?」」」」

キュウべえに言われて、ほむらちゃんだけじゃなくて私とさやかちゃん、それにマミさんも私の服を見る。そして、やっと私自身も気付いた。確かに、私のリボンは変化して手に弓を持ってるけど、服は見滝原中学の制服のままだった。

「何この中途半端な変身!?どう言う事なのキュウべえ!!」

私の代わりにさやかちゃんがキュウべえに聞いた。

「オリジナル魔法少女の変身には二段階あってね。今のまどかはその第一段階といった所だね。第二段階に変身すると、ちゃんと衣装も変化するよ。」

「もしかして、その第二段階になるのには修行とか必要だったりする?」

「それは分からないけど、オリジナル魔法少女の多くが第一段階止まりだね。」

つまり、私はまだ完全な魔法少女じゃないってこと?

「鹿目さん。」

その時、マミさんが目を輝かせて言った。

「早速修行よ!」

「マミさん!?」

「確かに、第二段階へのパワーアップには困難が付き物よ。でも、私たちなら乗り越えられるわ!」

「話を聞いて!!」

何だかマミさんは完全にノリノリになっている。

「ちょっと、いいかしら?」

その時、ほむらちゃんが話に入ってきた。

「オリジナルの魔法少女って、一体何なの?」


続く

 
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