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ドリトル先生と森の狼達

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第三幕その四

「いい感じだね」
「毎日よく食べてよく寝ているよ」
「山の中でね」
「まあ時々下に降りたくなるけれどね」
「興味があるからね」
「あっ、人のいる場所には降りない方がいいよ」
 トミーは二匹にこのことを注意しました、トミーも王子も先生に教えてもらって動物の言葉がわかるし喋られるのです。
「そこで畑を荒らしたらね」
「うん、駆除されるよね」
「その時は」
「山にいたら大丈夫だけれど」
 それでもというのです。
「畑を荒らしたら村の人達に退治されるよ」
「畑を荒らした悪い奴として」
「そうなるよね」
「だから気をつけてね。それと狐君鶏好きだね」
「大好きだよ」
「村の鶏を襲うことも駄目だよ」
 そうしたこともとです、トミーは狐に忠告しました。
「村の人達も大切に育ててるからね」
「その鶏を襲うとだね」
「村の人達も怒るから」
「怒って山に銃を持って入って来てだね」
「大変なことになるからね」
「それでだよね」
「そう、気をつけれね」
 くれぐれもという言葉の調子で、でした。トミーは狐にお話しました。狐も素直に頷いています。そしてでした。
 猪もです、こう言うのでした。
「僕達は山にいた方が幸せだね」
「うん、そうだよ」 
 王子が猪に答えました。
「そのことは間違いないね」
「山を降りて村に入れば」
「色々と警戒されるしね」
「村は村の人達の場所だから」
「うん、そうした場所だから」
 それ故にというのです。
「入らない方がいいよ、あまりね」
「僕も銃で撃たれなくないしね」
「そうだよね、君にしても」
「あんな物騒なもので狙われたらたまったものじゃないよ」
 それこそというのです、猪にしても。
「だからね」
「うん、気をつけてね」
「そうさせてもらうよ」
 こう約束するのでした。
「僕もね」
「それが何よりだね」
「そうだよね、山は僕達の世界だけれど」
「村は村の人達の世界だからね」
「山に住んでいる人達もいるけれどね」
「あれっ、いるんだ」
 先生は猪の今の言葉にです、目を瞬かせて問い返しました。
「この山にも人が」
「それがどうかしたのかな」
「いや、まさかと思うけれど」
 先生はあの人達のことを思い出しながらです、猪に尋ねました。そしてその人達の名前をここで出したのでした。
「山窩の人達かな」
「山窩って?」
「あっ、知らないのかな」
「いや、山の中のお寺に住んでいる」
「ああ、お坊さんだね」
「うん、そうした人はいるよ」
 この辺りにというのです。
「ここにもね」
「そうした意味なんだね」
「何か先生が興味のある人いるのかな」
「いるけれどそうした人達じゃないんだね」
「その山窩とかいう?」
「うん、そうした人達じゃないのならいいよ」
 猪に穏やかな声で答えました。 
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