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夢のような物語に全俺が泣いた

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最後まで

過去、俺の師は言った。

「戦いに身を置くものに、安息な死は期待するな」

突然放たれたその言葉に、俺は答える。

「死ってのは身近にあるもんじゃないのか?
ほら、寿命とか事故とか」

「馬鹿者。武術家ならば戦場に駆けろ。
そして知れ。幾多もの戦場を駆け巡り、軈ていく先は強者の道なのだ」

「強者ねぇ…あんまり興味ないんだけど」

「そんなお前にこの言の葉を残してやる。
”死を以て己が望みを欲するならば、其に見合う力をもて”」

その二日後、師は他界した。
その日から狂うように修練を重ね、試合、喧嘩、組手等…己の身体を痛め付けるように駆け巡った。
何時しか俺の欲しいものが見つかるかもしれない。
そんな願いのもと、俺は何時しか壊れてしまったのかもしれない。
だが――――


「あああああああああ!!!!」

――漸く見つけた俺の欲。
今この戦いの先に見える微かな希望。
満身創痍であっても尚、その希望に手を伸ばさんともがく。
醜くても、格好悪くても、それでも生き残るのであればそれは確かな力なのだろう。
故に、俺は生きることを望む!

「無名・燗掌(かんしょう)!」

相手の懐に潜り込み、胸元を目掛けて掌を突き上げる。

「追撃…朱雨(しゅうう)!」

浮いた相手の身体に数激の打撃を与え、足を掴んで地面に叩きつける。

「ファイヤーボルト!」「サンダーボルト!」

「無名・幹線(かんせん)!」

放たれた魔法に向かって近くにいた敵を二人、掴んで投げる。
投げられた敵は魔法と接触し、燃焼と感電を味わった後に爆発した。

「数だ!数で押せば余裕だ!」

「無名・翔波垂線!!」

囲みながら接近する敵に対し、水面蹴りの要領で地面の砂を蹴り飛ばす。
砂煙が立ち上がると同時に蹴り飛ばされた砂が敵の目に入って錯乱を起こす。

「無名・瞬影!!」

煙で身を隠しながら一人づつ敵を倒していく。
当て身、足払いでバランスを崩させ、体重を乗せた鋭い突きや蹴りで確実に仕留める。

「ど、どうなってんだよコイツ…」

「あああああああああ!!!!」

「こんなの聞いて――」

「ああぁ!!」

「ぐばっ…が…」

棒立ちになっていた男の顔を、雄叫びをあげながら飛び膝蹴りで地面に打ち倒す。
そのまま地面に叩きつけられ、男は気を失った。

「はぁ…はぁ…がふっ…げほっげほっ!おぇ…」

傷だらけの体での全力行使。
流した血の量は分からずも大量であり、観衆がいたのなら、欲やったと誉められる勇姿だろう。
たがしかし、そんなことで終われるほどに今の現状は良くない。

未だに敵の数は多い上に、俺自身の逃げ場はないのだ。

「……きる」

作戦などに意味はなく。

「生…る」

ただただ強行突破のみ!

「生きる…生きる…生きる生きる生きる生きる生きる生きる生きる生きる生きる生きる!
うあああああああああ!」

生への終着。
自分の持てる全てをぶつけてでも生き残ることに執着する。
だが――

”グササっ…グサッ!”

「が……あぁ…?」

顔を下げれば俺の腹から血に塗れた槍先が3本。
枝のように映えているそれは、槍で疲れたのだと言うことを知覚できる。

「ごぼっ……」

ドパドパと吐血し、勢いよく抜かれた槍の傷口からも鮮血が舞う。

「今だ!殺せぇ!」

カヌゥが号令をかけると同時に、他の奴等も一斉に走り出す。

「…く…そ…」

もう既に何も見えない。
音も、感覚も全て…立っているのかもわからない。

意識が落ちる中、最後に聞こえた言葉は――

「良く頑張ったな…」

――だった。

 
 

 
後書き
何かグダグダ感がぱない 
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