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K's-戦姫に添う3人の戦士-

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1~2期/啓編
  K4 警姫・プリトウェン


「何故だ…何の覚悟もない人間を守って…別のギアが立ちはだかる? 認めない、認めない! 風鳴翼がそんな不条理を認めるものかぁ!!」

 風鳴サンが巨人のっぽいサーベルでハイウェイを抉りながら一直線におれたちに向かってくる。
 やべえ。出ろ! さっきの魔法陣っぽいバリア!
 ――よし、出た!

「「うおおおおおおおおおおお――っ!」」

 青い巨大剣で斬られてもバリアは揺るがない。イケる。イケるぞこれ!?

「さっき言ったこと、訂正しろ!」

 気がでかくなったおれは、一番イラッと来たさっきのことを叫んだ。

「なん…だとっ!?」
「響ちゃんに覚悟がない? むしろ普通の女子高生がそんなん常備してるほうが怖ぇだろうが! 響ちゃんにダメ出しする前に、まずアンタが一般常識身につけろ! 世間知らずの箱入りアイドルがああああ!」

 おれの気合がドームの強度に繋がるのか、また風鳴サンは吹っ飛んだ。今度はちゃんと着地したけど。その拍子に変身? が解けたみたいだ。よっし。

「なぜ…」

 遠いけど風鳴サンが唇を噛んでるのが視えた。

「なぜ…意志のない……り、…の……奏はあんなに…ロボロになっ……まで、やっと…にした…に」

 くぅ。何言ってるか遠くて聞こえねー。しゃあない、近くに…っど!?
 ひ、響ちゃん、止めるならもっと優しく止めてくれよお。肩外れるかと思った。

「もう、いいよ、啓」
「いいって何でっ。訳分からんこと言われて、訳分からんまま死ぬとこだったんだぞ!? 立派に殺人未遂じゃんか!」
「いいってわたしが言ってるの!!」
「っ…」

 響ちゃんは知ってる。響ちゃんが本気で怒ったらおれは逆らえないって。それが惚れた弱みか、一人だけ「立花」じゃない引け目かは、おれ自身分かんねえけど。

「ごめん、なさい」

 情けなくシュン垂れるおれを見ても響ちゃんは笑わず、おれの頭をわしゃわしゃした。ガキじゃねえんだから。
 ダメだ、男として見られてねえ。いや、弟をそんな目で見る響ちゃんもヤだけどさ。

「翼さん!!」

 響ちゃんが風鳴サンに駆け寄って一生懸命に叫んだ。っと、とりあえず追っかける。

「わたし、自分が全然ダメダメなのはわかっています! だから、これから一生懸命頑張って、奏さんの代わりになってみせますッ!」

 息を殺して返事を待つ。

 今のが響ちゃんのいっぱいいっぱいだ。これでダメ出し食らったらどっからもアプローチでき……


 バシィィン!!


 ……は?
 殴った? この人今、響ちゃん殴った? 平手? ビンタ?
 ~~っざけんじゃねえぞこのアマ!

「やめて!」

 響ちゃんがおれの右腕にしがみついた。くそ、殴り返そうとしたのを悟られた。

「何で庇うんだよ! 今こいつ響ちゃんのこと殴ったのに!」

 この女は、響ちゃんが持てる全部を一生懸命訴えたのに、それを殴りやがったんだ。同じ目に遭わせなきゃ気が治まらねえ。右がダメなら左で――

「そこまでにしておけ、お前ら」

 だああ!? なんかスゴイ力で上に引っ張られた。足がバタバタ宙を掻く。

「おじさま……」
「げ、弦十郎さん……」

 離せ、離せよオッサン! おれは猫の仔かっちゅーの!
 なんて暴れてたら、あーー! 勝手に装甲がなくなった。何でここで消えるんだよ、まだこの女に一発入れてねえのに!

「らしくないな、翼。ろくに狙いもつけずぶっ放したのか。それとも――」

 司令サンが歩いてって、リディアンの制服に戻った風鳴サンを支え起こした。

「――立花君」
「「は、はい!」」
「すまん、弟のほうだ。改めて本部に来てもらえるか」
「おれがシンフォギア使ったから、っすよね」
「察しが良すぎるのも考え物だな」

 司令サンが苦笑した。
 横で支えられて俯いてる風鳴サンは――泣いてた。
 な、泣いたって許してやらねえからな!






 ――てなわけで。
 またまた来ました。特異災害対策機動部二課(もう暗記しちまった自分の脳が嫌だ)。

 んで、おそらく響ちゃんも受けたであろうメディカルチェックを受けてから、響ちゃんも待つ待合室に急行。

「響ちゃんっ」
「検査終わったの?」
「うん。――風鳴サンは?」

 きょろきょろ。――いねえな。よし。

 響ちゃんと一緒に待ってたらしい司令サンに、例の紅い結晶を返してもらった。トップ用の留め具を付けてペンダントにしてくれてる。ありがたや。

「これ、セーイブツなんすか? 旅行先でたまたま手に入れただけなんすけど」

 答えたのは検査室から出て来た櫻井サンだった。

「間違いなくね。キミが世界で最初に発見した、第7号聖遺物。その名も“プリトウェン”。アーサー王伝説に出てくるアーサー王が、実際に使ってた盾」
「へえ……ってえええええ!? ええ!? ナンデ!? おれ発掘も考古学もしたことない!」
「その辺こそアタシたちが知りたいわぁ。啓君、それ、どこでどう手に入れたワケ?」

 少ししか会ったことがないおれでも分かるほど、櫻井サンの目の奥は凍てていた。

「おれの中学、修旅は2年生で外国行くんす。んで、おれ、自由行動の日、アーサー王の墓があるって言われてる土地に行ったんです」
「アーサー王の墓……英国のグラストンベリー・トールか」
「そこならアーサー王ゆかりの品がぽろっと出るのもアリかしら」
「いえ、その、それがですね。おれ、このシンフォギア? ってヤツ、現地の人から貰ったんです。おれが墓碑の前にいた時、話しかけられて。日本語で。だからつい答えちゃったっていうか。そんで何故か、その人が別れ際にコイツ渡して行っちゃったんですよ。それからずっと、何となく手放せなくて持ってたんすけど…」

 そー…

 うわコワ! 司令サンもコワイけど、櫻井サンのコワイは別種の「コワイ」だ。蛇に噛まれる5秒前って感じ。

「――では立花啓君。キミに折り入って頼みがある」

 来た。むしろ待ってましたな司令サンの台詞。

「響君と共に、我々に協力して、ノイズと戦う力を貸してくれないだろうか」
「姉ちゃんがやってるみたいに?」

 響ちゃんをチラ見。
 響ちゃんはおれの視線に気づくと苦笑した。笑顔に元気がない。やっぱ風鳴サンに食らったのが効いてる。カラダにも、ココロにも。

 あー思い出したらむかっ腹立ってきた。結局一発入れてねえし。人の姉ちゃんを何だと思ってやがるかあのアイドル様様はよぉ。

「――いいですよ別に。やってやりますよ。あの人がいつまたおれの姉ちゃんを殺そうとするか分かったもんじゃないし」

 おれの目が黒い内は、響ちゃんにゃ傷一つ付けさせねえ。 
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