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ロンパウ

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第二章

「鄭成功の頃も清代もね」
「疫病が多くて」
「毒蛇も多くて」
「そういうのが厄介で」
「だからだったんですね」
「そうだよ、とにかく百歩蛇にも注意するんだよ」
 この毒蛇にもというのだ。
「わかったね」
「わかりました、僕達も噛まれたくないです」
「死にたくないですから」
「そうします」
「それは絶対に」
「そうしてね、特に今度ね」
 楊先生生徒達にあらためて言った。
「山に行くけれど」
「はい、山がですね」
「一番危ないですよね」
「毒蛇が多いんですね」
「百歩蛇も」
「うん、僕達が行くのはパイワン族の村だけれど」
 こうも言う先生だった。
「あの人達は山の上の方にいるらしいんだ」
「確かあれですよね」
 生徒達はここでこう先生に言った。
「パイワン族は台湾の先住民の人達ですよね」
「所謂本省人で」
「その中の高砂族の人達ですよね」
「日本の統治時代はそう呼ばれていたね」
 実際にというのだ。
「あの人達はね」
「その高砂族のうちの一つで」
「山の上に方に住んでいるんですね」
「そうした人達ですね」
「高砂族の人達は独特だよ」
 楊先生は漢民族だ、本省人である。生徒達も殆どがそうだ。
「山の険しい方に住んでいるせいか運動神経が凄くてね」
「野球とかですよね」
「凄いですよね」
「日本でも活躍した人いましたよね」
「うん、確か郭源治とかね」
 先生は野球も好きなのでこの選手のことも知っていた。
「あの人とかがそうだよ」
「運動神経が凄くて」
「スポーツが得意なんですね」
「大戦中でも強かったそうだね」
 台湾は大戦中は日本領だったので当然ながら日本人として戦った。李登輝元総統も陸軍将校として戦った。
「高砂義勇軍といってね」
「何か聞いたことがあります」
「あの日本軍の中でも特に強かったんですよね」
「もう日本の人達が驚く位に」
「そこまで強かったんですよね」
「そうだよ、それで文化もね」
 先生はそちらの話もした。
「独特なんだよ」
「高砂族独自のですね」
「文化があるんですね」
「じゃあパイワン族もですか」
「独自の文化があるんですね」
「先生は生物専門だからそっちは詳しくないけれど」
 それでもだというのだ。
「あの人達もそうらしいね」
「独自の文化があるんですね」
「パイワン族の人達の」
「そうなんですね」
「そう聞いてるよ、それも見られるよ」
 そのパイワン族の文化もというのだ。
「今度ね」
「楽しみですね、そのことも」
「一体どんなものか」
「見たいですね」
「是非」
「僕もだよ、じゃあ毒蛇とか虫とかには注意して」
 そのうえでというのだ。 
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