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美しき異形達

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第五十五話 最後の戦いその三

「ティラノサウルスは」
「まさに最強の称号だ」
「恐竜の中でも一番強いっていうな」
「その力でだ」
 まさにというのだ。
「貴様を倒す」
「そう言うよな、やっぱり」
「貴様を倒す」
 また言った、そのうえで。
 薊はその棒に炎を宿らせてだった、そうしつつ。
 怪人との間合いを詰めた、他の少女達も同じだった。
 菖蒲はティロサウルスの怪人にだ、こう言った。
「貴方の相手はね」
「貴様ということだな」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「そうさせてもらうわ」
「わかった」
 これが怪人の返答だった。
「では戦おう」
「それでいいのね」
「構わない、ただだ」
「ただ?」
「覚悟は出来ているな」
 戦い死ぬ、それのというのだ。
「既に」
「最後の戦いをする覚悟は出来ているわ」
 菖蒲は己の剣を構えつつ怪人に答えた。
「けれどね」
「しかしか」
「死ぬ覚悟は出来ていないわ」
「生きるつもりか」
「ええ、貴方を倒してね」
 これが菖蒲の返事だった、そして。
 闘いに入る、八人の少女達はそれぞれ最後の戦いに入った。
 伯爵はその死闘を見守る、そうしつつ。
 自分と同じ様に戦いを見る、しかし見守っているのではなく楽しんで見ている教授にだ、こう言ったのである。
「流石の卿も組織からの処罰は受けないか」
「これでもj法律はルールは守る主義でね」
 教授は肩を竦めさせて伯爵に答えた。
「法律やルールの抜け道は見付けるがね」
「そうだったな、卿は」
「だからだよ」
 それで、というのだ。
「組織が決めたのならね」
「従うのだね」
「そうだよ」
「では卿はこの戦いの後は」
「この娘達、その子孫にも何もしないよ」
「そして怪人もだね」
「造らない」
 二度と、というのだ。
「このことも約束するよ」
「若し破れば」
 その約束をだ、伯爵は教授に念押しをした。
「わかっているね」
「異次元空間の牢獄に千年かな」
「それだけの処罰が卿を待っている」
「千年とは厳しいね」
「卿にはそれだけしないとね」
「効果がない」
「そう、だからだよ」 
 そうした重い処罰も有り得るというのだ。
「そう言っていくよ」
「わかった、ではね」
「この戦いで最後だよ」
 伯爵は教授にこのことを告げつつだった、少女達の戦いを見守っていた。少女達は果敢に戦っていた、だが。
 恐竜の怪人達、その強さは。
 鈴蘭はエラスモサウルスの怪人、黒蘭はアンキロサウルスの怪人とそれぞれ闘っていた、その中で。 
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