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インフィニット・ストラトスGM〜天空を駆ける銀狼〜

作者:
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妹を助けろって……無理でしょう……

結局、次の日に一年四組に足を運ぶ事にした。両手にはトーナメント戦の申込書を携えて。

コンコン。

ドアを一応叩き、ドアを開けると一斉に視線が私に集まった。いや、私の後方?振り返ろうとする前に後ろから声をかけられる。その聞き慣れた声に振り返らずとも相手が分かった。

「やっと見つけた。優里、僕とトーナメント戦 一緒に出てよ」

息が切れているところを見ると走り回って、私を探してくれていたらしい。振り返ると私は申し訳なさそうに指を合わせて、モジモジとする。

「その……シャル?」

「うん?何?優里」

「その、すいません。私、もう組む相手を決めているんです」

「…………そうなんだ」

途端、目が虚ろになるとシャルは回れ右をしてトボトボと歩いて帰って行った。最後に背中から黒いオーラが見えたのは気のせいですよね。そうですよね。これはフォローとして何かシャルにおごらないといけないかなぁ……と思っているとまたしても後ろから声をかけられた。

「あの……誰、か。探して、……いるの……?そうじゃあ、……無いなら……そこ、のけた方が……いいよ?入る人の邪魔……だから……」

「あっ。それは失礼しました」

「い、え……」

その親切な少女に私は質問する。

「すいません。此方に更識簪さんっていらっしゃいますか?トーナメント戦でパートナーになって欲しくて」

「………し」

「え?」

「私……」

目の前の少女を思わずガン見してしまう。
更識会長と同じ色の髪に同じ瞳。顔つきも何処と無く似てる……さすが姉妹といった感じだ。ただ、髪の長さとメガネは違うけど。マジマジと見られて、恥ずかしかったのか更識さんは私から顔をそらす。私は更識さんに申込書を渡しながら、自己紹介をする。

「私、一年一組の那珂優里って言います。私と組んでくれませんか?」

他の生徒も意外だったらしく、ヒソヒソと話し合う。

「那珂優里ってあの?」

(…………あの???)

「織斑君とデュノア君を二股かけている」

(二股ッ!?)

「それに最近では同性にも手を出し始めたらしいよ」

「…………」

「あの……?」

散々な言われように私はガクッと肩を落とす。周りから見れば、まぁそう見える光景だった事を思い出し 反論出来ず押し黙る。むしろ、反論した方が疑われるのでは?という考えもあった。その二つの理由により押し黙ってしまった私はボゥ〜と何も考えずに一点を直視する。そんな私を見て、戸惑ったのか更識さんは顔を覗き込みながら あの……?と声をかけてくれる。

「あっ。すいません、私の印象って悪いんだな〜と思って」

「?そん、な……事……無いよ?あそこの人……た、ちとか……ファン……って、言ってた……」

そう言われ、更識さんが指差す方へ向くとののさんと同じ匂いがする人たちがこちらを見てニヤニヤしていた。
(…………)
そろ〜と更識さんに視線を戻すとさっき見た光景を消そうと頑張る。

「まぁ、一晩考えてみてください。それからでもいいですから」

「………」

「では、また」

私は振り返ると手を振りながら、帰っていく。

♦︎

【那珂優里】と書かれたその申込書を私は眺めながら、いつものようにアニメを見ていた。灯りを消した部屋の中、布団をかぶり 小さなテレビでお気に入りのヒーローアニメを見る。それが私の日課だったのだが今日はそれにこの申込書が加わった。

(…………那珂、……優……里……)

その名前はもちろん知っていた。
ーー不思議なISを使う異色の転校生やら和風コスプレ少女とか噂は絶えず。最近ではファンクラブも出来たらしく、あの織斑一夏やシャルル・デュノアとは違う意味で注目されている人物だろう。

(それに……)

転校して間も無くの時、専用機持ちにして中国候補生の凰鈴音とイギリス候補生のセシリア・オルコットを破ったという。そして、ラウラ・ボーデヴィッヒが暴走した時に食い止めたあの技はこの学園一の攻撃力を持つと教師などで囁かれている。そのISと彼女が繰り出す技は今までのISでは見たことが無く、そのISを作ったのは自分の父親。しかもコアから。そして、何より身体を張って相手を守る姿に多くの生徒が心惹かれたらしく。そんな理由の為、情熱的なファンが多いのだろう。
ところで、そんな有名人の彼女が何故自分を相手に選ぶ理由がわからない。組む相手にも困ってないはず、なのに……何故?

「はぁ……」

知らぬ間に溜息が出ていたらしい。テレビの電源を消して、目をつむる。

考えても仕方ないかぁ……寝よ。

♦︎

(あぁ〜ぁ。優里に断られちゃった……)

僕はトボトボと廊下を歩く。その廊下の先、ドタバタと足音が聞こえる。顔を上げると視線の先に廊下をものすごいスピードで走っていく優里と一夏。その後を箒、セシリア、鈴、ラウラがISを展開して追いかける。って………

(優里!?)

えっ?なんで、さっき僕と別れたばっかりじゃあ……。もしかして……。
嫌な考えが頭をよぎる。
まぁ、とりあえず。優里達を追い掛けようか。

♦︎

「一夏!貴様、私と組むのではないのか?もしかして、またシャルルと組むのか!?」

「なんですって!?」

「箒も鈴も何か勘違いしている!!俺は優里にお願いしようとしてただけだ」

「また。優里さんですの」

「まぁ、嫁は私と組むに決まっているがな」

「ごめんなさい。ラウラさん、私もう相手決めてるんです」

「なんだと!?優里、貴様 私の嫁としての自覚があるのか」

「そんなもの持ちませんし、持ちたくもありません」

「なっ!?」

なんとか追いついてみると一夏に滲み寄っている三人と優里にグサっと刺されて倒れているラウラだった。
(何……このカオス……)

「あっ!シャルです〜。シャル〜〜」

「……」

僕を見つけて、無邪気な声を上げて走ってくる優里。でも、僕はそれどころではなかった。その可愛い優里の後ろには僕を睨む無数の痛い視線。それとなんだろう……、優里がいつもと違う……。
(………完全に僕のせいにされてるね……)
ドンと僕に抱きつく優里。僕は少しよろけながら、優里を受け止める。

「えっと……。優里……、もう用事は済んだの?」

「はい。ちゃんと、申込書を渡してきました」

そう言って、笑う優里。その笑顔に鼓動が早くなるのを感じて、照れ隠しで顔を逸らして話す。

「そう。なら、良かった。ねぇ、優里って………」

「那、珂………さん……居た………」

僕の声を遮ったのは、その弱々しい声だった。その声を聞いた途端、優里はその女子生徒に向かって走る。

「あっ!更識さん、どうしたんですか?」

「…………これ」

「?これって………」

優里に紙を渡すと更識さんと言われた女子生徒は回れ右をして走り去って行く。優里はその紙をしばらく見つめると振り返ると僕の手を握る。

「さぁ、シャル。部屋に戻りましょう」

「うん。じゃあ、皆 バイバイ」

その後は部屋に戻って、いつもの様に過ごした。

 
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