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オズのベッツイ

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第十一幕その九

「それは」
「そういえばマリューもね」
「職人ですよね」
「ええ、言われてみればね」
 そうなるとです、アンは恵理香にも言いました。
「そうなるわね」
「よく日本じゃそう言われます」
「職人芸は魔法に近い」
「神技と」
「そういえばマリューさんのジャムを作る手際は」
 ジョージはそのマリューさんの手のジャムを見て言いました。
「凄い速くその手際もよくて」
「マリューは普通のジャムもいつも作ってるわよ」
「それで、ですね」
「ええ、普通のジャムも絶品なのよ」
「だからなんですね」
「ジャムを作ることでウーガブーの国にマリュー以上の人はいないわよ」
 そこまで上手だというのです、マリューさんのジャムの腕は。
「多分オズの国でもそうはいないわ」
「だから神技、魔法なんですね」
 神宝も目を瞠ってマリューさんを見ています。
「何か凄い勉強になります」
「極めることってことね、その技を」
「そうなりますね」
「さて、それではです」
 そのマリューさんが言ってきました。
「これから」
「このジャムを」
「エメラルドの都に持って行って下さい」
 こうベッツイに言うのでした。
「そしてご夫婦を楽しませて下さい」
「わかりました、それでは」
 ベッツイはそのジャムを受け取りました、そのうえで。
 マリューさんに深々と頭を下げてお礼を言ったのでした。
「有り難うございます」
「また何かあれば何時でも仰って下さい」
「いいいんですか」
「はい、どうぞ」
 こうお話してでした、そして。
 ベッツイがジャムを受け取って鞄の中にしまったのを見届けてからです、アンは皆に笑顔で言いました。
「それじゃあね」
「ええ、ここに来るまでにお話してくれた通り」
「皆王宮に来て」
 こう皆に言うのでした。
「是非ね」
「それで、よね」
「皆王宮のシェフのお料理を楽しんで」
 笑顔での言葉でした。
「フランス料理にイタリア料理、それに」
「ドイツ料理ね」
「本当に凄く美味しいから」
 そのシェフの人のお料理だというのです。
「楽しみにしてね」
「では王宮に案内させてもらうわ」 
 ベッツイはこう答えてでした、そしてです。
 皆はアンに案内されて王宮に向かいました、そのうえで。
 王宮の中に入りました、ウーガブーの王宮は黄色い大理石のとても奇麗なものです。ですがアンはその王宮の中に入ってからです。
 皆にです、申し訳なさそうに笑ってこう言いました。
「小さいでしょ」
「この王宮が、ですか」
「ええ、小さいでしょ」
 こう皆にお話するのでした。
「この王宮は」
「そうでしょうか」
 ナターシャは首を傾げさせてアンに応えました。
「別に」
「そうかしら」
「確かにエメラルドの都の宮殿程大きくはないですけれど」
「あの宮殿はまた特別ですから」 
 恵理香もアンに言うのでした。 
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