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オズのベッツイ

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第十一幕その二

「是非ね」
「そうですか、それじゃあ」
「前も言ったけれどウーガブーの国に入ったら楽しみにしていて」 
 その時はというのです。
「心ゆくまでおもてなしさせてもらうから」
「フランス料理にイタリア料理ですね」
 ナターシャがアンの言葉に応えました。
「そちらですね」
「それとドイツ料理ね」
「ウーガブーの王宮のシェフさんが作ってくれる」
「本当にどれも凄く美味しいの」
 その人が作ってくれる三国のお料理はというのです。
「だからね」
「そのお料理をですね」
「楽しみにしていてね」
 こう皆に笑顔で言うのでした、そしてウーガブーの国までの道中は。
 とても平和でした、皆歩きながらお喋りも楽しんでいます。
 その道中で、です。恵理香はふと気になってでした。
 ベッツイにです、こう言いました。
「間に合うんですよね」
「ええ、そのことは安心して」
「それならいいですけれど」
「この調子ならね」
 ベッツイは穏やかに微笑んで恵理香に答えます。
「結婚記念日まで充分よ」
「間に合って、ですね」
「おじさんとおばさんにジャムを届けられるわ」
「それならいいです」
「安心していいわ、この道中は私の知る限りは何もないから」
「ええ、これといってないわよ」 
 アンも恵理香に言ってきました。
「怖い場所も危険な場所もね」
「クレバスとかもですか」
「ええ、ないから」
 それで安心していいというのです。
「何も心配はいらないわ」
「わかりました、それじゃあ」
「そういうことでね、ただね」
「ただ?」
「歩くことは歩いていくわ」
 このことは続けるというのです。
「この調子でね」
「歩かないとですね」
「間に合うものも間に合わないから」
 それで、というのです。
「歩いていくわよ」
「わかりました、このまま」
「ええ、歩いている速さはいいから」
 元気でしかも整っている煉瓦の道を歩いているからです。その旅の速さはかなりのものです。そしてその歩みの速さでなのです。
「順調にね」
「行ってですね」
「まずはウーガブーの国よ」
 その国にというのです、そして。
 一行はどんどん進んでいきます、真実の池からウーガブーの国は離れていてもです。
 順調に近付いていました、夜はしっかり寝ていてもです。
 朝早く起きてです、チーズとパンを食べつつです。ジョージはベッツイに言いました。
「このまま行けば」
「ええ、もうすぐね」
「ウーガブーの国ですね」
「そう、どうも私が考えているよりはね」
 むしろ、という口調での言葉でした。
「早く着きそうよ」
「それは何よりですね」
「早いなら早いに越したことはないわ」
 この場合は早いとなります。速く歩いて早く着くのです。
「ウーガブーの国に着くことも」
「ええ、あの人も治るし」
 アンも言ってきました。
「それでね」
「ジャムもね」
「そう、ジャムも出来るから」
 その人が元気になってです。
「貴女にとってもいいことよ」
「本当にそうよね」
「この場合は早いに越したことはないわ」 
 今この時はだというのです。 
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