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我輩は逃亡者である

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番外編
  番外編 クッキング

ある日くーちゃんがふと言った。

「料理を練習しましょう」
「え?くーちゃんどうしたの急に」
「いえ、何だかんだで今日まで食いつないできましたが私含めてここにいる人でまともに料理できる人がいません!」
「あーそうだね、おれもウェイパー使ったものくらいしか作れないし」

はてさて、でも料理をつくるったってなにを作ろう?簡単なところからとってカレーとか?

「そうだねぇ、束さんもくーちゃんも女の子だし練習してみようか!カレーよりもうちょっと和食作ろうよ!」
「何故です束様?」
「そんな気分だから!」
「なんか失敗しそうだ…!」

結局、ご飯とお味噌汁に焼き魚と卵焼きをつくることとなった。そうして必要そうな材料を買いに行ったのち調理が始まった。

「取り敢えずご飯炊きますか」
「炊飯器ですしこれは出来ますね、束様米をといでください」
「米をとぐ…?はっはっは、お米に切れ味はないから研いでも意味ないよくーちゃん!」

束先輩そこからか…!?この時点で、おれ=くーちゃん>束先輩という式が成り立った。

「米を洗うってことですよ、水でそそいである程度水が白くなくなるまで洗ってください」
「そういうことね!任せろかーくん!」
「水は米から指の第一関節あたり…?かーくんさん指の第一関節はどこでしょうか?」
「…どこだろう?手の平側から数えるのかな?」
「まあ、そういうことにしましょう。どちらでも大差なさそうですし!」
「そうだね!束先輩洗えたー?」
「おうともさ!」

じゃあくーちゃんが水を入れて…炊飯器にセット!よし次は魚焼こうか。

「焼き魚って何で焼きますっけ?」
「フライパンでいいのではないでしょうか?」
「かーくん、くーちゃん。アジの開きだけどいいー?」
「じゃあちょっと洗ってから焼きますか」
「火をつけておきますね」
「じゃあ束さんが洗うよ!」

そして束さんが洗ったアジをそのままフライパンに乗せると…バチバチいい始めた。

「かーくんさん、束様なにか音が…きゃっ!?」
「アジが燃えたー!?水、水を!?」
「うわー!?ちょ!かーくん高温の油に水はまずッ…くーちゃん避難だ!」

え…?束先輩の忠告も遅くコップの水をかけたおれは――

「うわぁぁぁ!?あつ!熱い!?油が跳んでくるッ!」
「…かーくんさんと油が跳ね踊ってますね」
「あー、ようやく収まったよ。かーくん大丈夫?」
「な、なんとか…」
「油に火が引火しなくてよかったよ…」

なんで燃えたのか調べたところ洗った後の魚の水をよくきってなかったのが良くなかったらしい。

「よ、よしまだアジの開きは2匹分あるからそれを成功させて3人で食べよう!」

そうしてアジの開きはところどころ焦げながらも美味しそうに焼くことに成功したのであった。

「次は…お味噌汁をつくろっか!」
「あれってお湯に味噌とかして具を入れればよかったですよね?」
「味噌汁という名前からしてそうかと思いますが…」

そのまま味噌汁に関しては水を沸騰させ味噌を溶き豆腐を入れ乾燥ワカメを…

「くーちゃん!それを丸々いれたらダメだ!」
「はい?」

制止むなしく一袋丸々お味噌汁に投下された乾燥ワカメ。…みるみる内に味噌汁がワカメ一色となった。

「乾燥ワカメって見た目のわりに水にさらして戻すと結構な量になるんだよ」
「…すみません」
「よし!ワカメを引き上げよう!」
「え?でも引き上げて捨てるのは勿体ないよかーくん」
「いや、捨てずに洗ってから海草サラダにしましょう、レタスぐらいあったはずですし」
「おーいいね!そうしよう!」

ほら、くーちゃんも落ち込まないで。米を研ぐを知らなかった束先輩や油と踊ったおれよりありがちな失敗だって。

「はい…そうですね!私はレタス取ってきます!」
「じゃあワカメ洗おうか束先輩」
「よし!はい、ボール!」
「できればザルください」

そんな感じで一品増やしつつお味噌汁も完成。

「最後は卵焼きです」
「卵焼き…何度か挑戦して失敗したままです」
「束さんは」
「挑戦してすらいませんもんね」
「ぐふぅっ!」
「じゃあ卵ときましょうか」
「かーくんさん卵片手で割れるんですね!」

炒飯つくるのに割ってたら出来るようになってたんだ。
さてフライパンを熱して油を少し垂らして…

「ここからが、問題」
「取り敢えず薄く伸ばしつつ垂らしてクルクルーって丸めたら出来たはずだよ?」
「私がやってみます!」
「くーちゃんまず火力を落とそう、そこから始めよう」

そうして出来た…スクランブルエッグ。まあでも美味しそうだ。

「は、始めて焦がさずに出来ました!」
「やったね!くーちゃん!束さんも嬉しいよ!」
「まーある意味一番まともにこれが出来たね」
「さて、ご飯もそろそろできてるだろーし盛り付けて食べよっか!」

炊飯器を開けてみると…

「ちょっと水多かったかな?第一関節の場所が違ったか…」
「少し柔らかくなってしまいました…」
「まー食べれるよ、問題ないない!」

そうして全てを盛り付けてちゃぶ台へと運んでそれでは!

「「「いただきます!」」」
「うん!くーちゃんのつくったスクランブルエッグ美味しいよ!」
「はい!ありがとうございます!アジもちゃんと火も通っていて美味しいです」
「うーん、味噌汁が何か違う…?」
「あ、ホントだね…あっ!出汁だよ、出汁をとってなかったんだ!」
「出汁ですか…?」
「あーそういや味噌汁って出汁必要でしたね…くーちゃん、味噌汁は味噌とかとく前に出汁ってのをとるんだよ。次回はちゃんとそこもやってみよう」

何かそうしないと味噌の味しかしない名前通りの味噌の汁になってる。うん、他は美味しく出来てるや。

「やーアジの一匹目の時にはどうなるかと思いましたがどうにかなってよかった。くーちゃんスクランブルエッグはもう火力だけ注意してたらできるね」
「はい!ようやく焦げてないものをつくれるようになってよかったです。」
「今度はハンバーグとかつくってみるのもいいねー」
「束先輩が焼いてる途中でハンバーグ爆散させるとこまで読めた」
「ちょ!?」


――たぶんこの食事が美味しいのは皆で作って皆で食べてるからだろうと思いながら食べる3人だった。 
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