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ハイスクール・DM

作者:龍牙
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23話

「ちょっと良いかな?」

「……何の用だ?」

 心底不機嫌と言う態度で木場に対応する四季。まあ、彼が不機嫌になった理由は昼休みと言う時間と明らかに四季の作ではない弁当……隣に居る詩乃さんの存在から察して欲しい。

 ……まあ、ぶっちゃけてしまうと詩乃さんの手作りのお弁当を詩乃さんと一緒に食べようとした所に一誠、木場、小猫の三人が現れた訳だ。

「……聞くまでも無いか、リアス・グレモリーの婚約の兼だろ?」

「え?」

「どうして、お前がその事を知ってるんだよ!?」

「オレも独自の情報網って奴を持ってるんでね」

 確かに情報網……通称『鼠』と呼んでいるそれは持っているが、今回はそれとは関係ない。そもそも、戦闘力だけならば十分に三大勢力に喧嘩を売れるが、アウトレイジは規模と言う点では飽く迄小さな集団に過ぎない。こう言った情報網は重要な物だ。

「だけどそれなら話が早い。五峰君、補欠部員として君も参加してくれないか?」

「断る」

 コンマ一秒の思考の暇も無い拒絶が返って来た。……木場としても四季の力ならばリアスの婚約破棄を賭けたレーディングゲームの切り札になると希望を託したのだが、完膚なきまでに打ち砕かれた瞬間だった。それならと詩乃の方に彼女の持つ強力な神器の力を借りようと協力を頼もうとしたが……口に出す前に止めた。
 四季から『口に出したら殴り飛ばす』と言う視線を殺気付きで向けられたから、である。下手すれば、最悪レーディングゲームにさえ出れないレベルの怪我を負わされる危険がある。流石に協力を頼むほどに勝ち目が薄いと思っているので、この期に及んで更に勝率を下げたくは無い。

「えっと……あのね、部長の眷属である以上「断る」いや、だから「断る」」

 木場の言葉を遮って告げられる拒絶の言葉。どう考えても説得の余地は無い。

「お前らには主を守る使命があるんだろうが、オレにはそんな物は無い。……大体、オレはお前ら悪魔の上層部とサーゼクスが嫌いだ。何より……」

 そう言った後、四季は目の前に居る三人を一瞥し、

「お前らを助けるメリットが無い」

 ……四季の立場としてはリアスのゲームに参加した場合のメリットが無い。寧ろ、絶対に受容れがたいデメリットが洩れなく付いてくる。……詩乃の情報が悪魔側に知られると言う最悪のデメリットだ。

「メリットって、お前……そんな物どうでもいいだろう!? 部長があんな奴と結婚する事になるんだぞ、それでも良いのかよ!?」

「別に。寧ろ祝ってやる」

 一誠が四季に噛み付くが逆にその言葉によって斬り捨てられる。四季のその言い分に流石にムッとする三人だが、木場が尚も何か言いたそうな一誠を押し留め、状況を説明する。

 規定では未成年者のゲームへの参加は禁止されているが、両家の会談で非公式の試合として執行される事になったらしい。……一種の模擬試合と言う事だろうか。
 だが、相手側の提案で参加経験の無いリアスに十日間の猶予が与えられたそうだ。

「そうか。精々有効に使うことだな、その期間」

 勝手に木場が説明している間に殆ど無視して昼食を終えた二人はのんびりと食後のお茶を飲んでいる。
 考えるのは敵の情報と一番伸び代が大きく神器の潜在能力の高い一誠を鍛える事。……十日では無理だろうが、禁手(バランス・ブレイク)まで行ければ勝てる可能性も有るだろう。

「部長の気持ちくらいは汲んで欲しい!? これが望まれたものじゃない事くらい……」

「分かった上で知らないと言っておく。大体、オレが協力しないことくらい理解しろ」

「……それを理解した上で頼んでいるんだ……」

 非公式の試合とは言え、悪魔の未来を賭けたゲーム。当然ながら貴族……特に四季の嫌う上層部の者達も観戦に訪れるのは間違いない。そんな中で、四季の力を見せるという事は多くの者達に目を付けられると言う事だ。

 ……先日、堕天使の勢力に過激派とは言え、大きな爪痕を与えた。特に幹部の一人であるコカビエルとその直属の部下の全員は良くて半殺しと言うレベルで。……その原因が目の前の二人だ。

 下手をすればその矛先が悪魔にも向くかもしれない。だが、それでも、

「お願い……ガァッ!」

「木場!?」

「木場先輩!?」

 尚も縋ろうとした木場が蹴り飛ばされる。

「消えろ、理解した上で言ってるなら敵対行為として判断させて貰うぞ」

 『対価はありません、メリットも有りません、でもデメリットは有りますがそれは覚悟して自分で何とかしてください』等と言う契約など結ぶはずも無い。『それは何処の不平等条約だ?』と問いたい。

「木場先輩」

「木場!? 五峰、テメェ!」

 慌てて木場に駆け寄る一誠と小猫の二人。一誠は駆け寄った後四季を睨み付ける。

「原因はそっちだろうが、こっちにはデメリットしかないのを分かっていてそんな協力を持ち出してきたんだからな」

「でも、残念ながら君が望むような対価を支払う事はぼく達には出来ない」

 はっきり言って木場達三人の持っている物では神器を含めた所で四季が協力したくなる対価など存在しないだろう。

「ぐっ……だったら、オレの秘蔵のエロ本をお前に……」

「要るかぁ! 詩乃が居るのにそんな物が居る訳ないだろうがぁ!?」

 一誠の対価が一番最悪だった。本人にしてみれば大真面目に自分の持ち物の中で一番大事なものを出した心算だろうが、四季には物凄く要らない。特に詩乃さんがいる今となっては。

「……イッセーくん……」

「……イッセー先輩、最低です……」

 しかも仲間二人にも白い目を向けられている。

「って、何でだよ!?」

「当たり前だ!」

「オレが持ってる物の中で一番価値があるんだぞ!?」

「……泣いて良いと思うぞ、赤龍帝」

 本気で神器の中でドライグが泣いていたりする。一誠はまだ正しく自分の神器の価値を理解していないのか、それとも取り出すと死ぬと分かっているからなのかは分からないが……。

「兎も角だ。お前らに対して好意での協力を期待するより、協力して欲しけりゃ……オレがデメリットを受容れた上で価値があるって思わせる対価を持って来い。もしくはデメリットを何とかしろ」

 四季の情に訴えかけると言う一誠達の取った手段は悪手だ。

「なんだよ、さっきからデメリットとか対価って、お前は好きでも無い相手と無理矢理結婚させられる部長が可哀想とは思わないのかよ!?」

「……あの部室の設備……。全部その実家から貰ったものだろ? オレ達アウトレイジは自由の為に権力は捨てている。部長さんの恵まれた生に対する対価の一つが恋愛結婚の権利だろ? 義務はいや、だけど家の力は利用したいってのは単なる自分勝手だろ?」

 一誠の言葉をそう言って斬り捨てる。貴族の義務と利益……四季としてはそれを理解している。

「で、デメリットは何とか出来そうなのか?」

「部長の力でも流石に他の貴族の方々の観戦を禁止することはできない。まして、魔王様に見せないって言う事なんて不可能だ」

「それが答えだ。不戦敗になりたくなきゃ諦めろ」

「また来るよ」

 内心で二度と来るなと思いながら立去っていく一誠達を見送る。まあ、お辞儀をしていく小猫には手を振っていたが。

「私は別に協力しても良かったのに」

「……あいつ等に下手な情けをかけても、付け上がるだけだぞ」

 詩乃なら無理矢理結婚させられるというリアスの婚約破棄に協力すると言い出すだろうから、今回は前以て会話に参加しないように頼んでおいた。
 リアスの評価は別にしても他の悪魔……特に貴族と言う連中の多くは下手に情けを見せると調子に乗ってくる。

「特に詩乃を一人にするって言う選択肢は早々取れない現状だからな」

 護衛の仲間達を置いておく事も出来るだろうが、何処で詩乃の事に気付かれるか分かったものではない。……何より以前の発作の事も有る。

(面倒な事になりそうだな)

 少なくとも、実戦経験のある相手にリアス達が勝てるとすれば、相手の経験と実力を上回るだけの力を持って勝利する……相手の想像を上回る強力な切り札を持ち出すべきだろうと考えている。一誠の成長か、四季と言う圧倒的なカードしか思いつかないだろう。

 そう思うと面倒を感じずには居られない四季だった。



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 さて、放課後の時間帯のオカルト研の部室。其処に四季達の姿も有った。部室に集まったリアス達が特訓のための合宿の事を話し合っている横で、ポーカーを楽しんでいると、其処に魔法陣と共に炎が巻き上がる。

 それを見てリアス達が嫌そうな顔を浮べる。浮かび上がるのは“紫とも黒とも見える闇色の炎”、リアス・グレモリーの婚約者であり生と再生のフェニックスとは正反対の死の炎を纏ったフェニックス家の三男……『ライザー・フェニックス』が現れる。

「また会ったな、愛しのリアス」

「何しにきたの、ゲームはまだ先のはずよ」

「その事だ。お前達へのハンデを……」

 ふと、ライザーの視線が四季達の方に止まる。内心、四季達のところに居る詩乃にライザーが目を付けてくれれば、四季が力を貸してくれる……最悪、共闘できる可能性があると思った。

「……お久し振りです、キングさん、クロスさん!」

「おう」

「ん? ライザーじゃねぇか、久し振りだな」

 90度に腰を曲げた綺麗な礼と共にカツキングとクロスファイヤに挨拶するライザー……何時の世もホストはそっちの系列の下に居るものである。

「おっ、久し振り、ライザー」

「おお、久し振りだな、シキ」

「知り合いなの?」

「ああ、オレのダチのライザーだ」

 和気藹々と会話するライザーとアウトレイジ達……その光景に唖然とするリアス達一同。同時に思った……このゲーム駄目かも、と。


 ライザー・フェニックス。フェニックス家の異端児にしてクリーチャー世界のフェニックス『暗黒王デス・フェニックス』をその魂の基盤に持つ悪魔。……現在、微覚醒済み。そして……四季の裏関係での友人の一人。





 
 

 
後書き
実は魔改造済みなライザー。しかも何気に友達だったりします。ライザー・フェニックスならぬライザー・デス・フェニックスです。
四季をゲームに出すならアウトレイジならではの理由が有れば良し。
この時点で二天龍よりライザーが強い気がしますが、それはそれ。 
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