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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第4章
停止教室のヴァンパイア
  第89話 大天使と出会います!

 
前書き
歴代の女性赤龍帝の鎧もアニメでリアスが着たみたいな女性的なフォルムなのかな? 

 
「……神社って悪魔にとって超アウェーじゃね…?」
放課後、朱乃さんに呼ばれて、現在、長い石段を登っていた。
「いらっしゃい、イッセー君」
「あ、朱乃さん」
鳥井が見えてきたところで、巫女服姿の朱乃さんに出迎えられ、一緒に石段を登る。
「ごめんなさいね。急に呼び出してしまって」
「いえいえ。それで、部長は?」
後から部長も来るらしいので、聞いてみる。
「サーゼクス様との最後の打ち合わせの後、こちらに来るそうですわ」
「朱乃さんも一緒に行かなくて良いんですか?」
「ある方をお迎えする仕事がある物ですから」
「ある方?」
とか、話している内に石段の頂上に着いた。
「……こ、これ以上は…」
「うふふ、ここは悪魔でも大丈夫ですわ。裏で特別な約定が取り交わされておりますのよ」
そう言われ、意を決して、鳥井を潜るが、特に何も無かった。
その後、辺りを見渡すと、立派な神社の本殿が建っていた!
「へえー、こんなところにこんな立派な神社があったんだ?」
「先代の神主が亡くなり、無人だったのですが、リアスが私の為に確保してくれたのですわ」
へえー、部長がねー。
「また会ったな、兵藤一誠」
「え?あ!」
突然、俺に話し掛ける声が聞こえた為、そちらの方を見ると…。
「アルミヤさん!?」
そう、先日のエクスカリバー強奪事件でゼノヴィア達エクスカリバー奪還の為にこの町にやって来た教会の戦士(エクソシスト)の一人で、成り行きで一緒に戦ったアルミヤさんだった。
「もしかして、朱乃さんが迎えてた人って、アルミヤさんの事だったんですか!?」
「うふふ、いいえ、違いますわ」
「私はその御仁の付き人だ」
「そうなんですか?」
すると、朱乃さんが迎えてた人って一体?
「彼が赤龍帝ですか?」
「ッ!?だ、誰だ!」
声がした方を向くと、金色の輝きが視界を覆い尽くした!
光が止むと、背中から十二枚の金色の翼を出した、端整な顔立ちの青年がいた!
なにより、頭上に輪っかがあった!?
「はじめまして、兵藤一誠君。私はミカエル。天使の長をしています」


朱乃さんの先導の下、俺とアルミヤさんとミカエル…さんは神社の本殿へと移動する。
座る俺は改めて、天使の長であるミカエルさんを見る。
この人が天使の長!超大物じゃねえか!?
そんな人がどうして…?
「ッ!?」
な、なんだ!?身体中がピリピリする!?
目の前のミカエルさん…?いや、この人じゃない。
アルミヤさんでもない。
パァァァァァ。
「ッ!」
突然、部屋の中を光が照らしだすと、宙に一本の剣が現れた。
「兵藤一誠君」
「は、はい!」
「これは龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)のアスカロンです」
りゅ、龍殺しって!?って言うか、この波動って、聖剣じゃ!?
「龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)とは、龍退治を生業とする者及びそれに関連する武具の総称です」
このピリピリ感じるヤバい波動はそれか…!
「実はこれを貴方に授けようと思いましてね」
「え!?俺に?」
「赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に同化させると言った方が正しいでしょうか」
同化?そんな事ができるのか?
「歴代の中でも最弱の宿主と噂の貴方にとって、良い補助武器になるのではないかと思いまして」
……最弱…。
……これでもいろいろ努力してるんですけどねぇ…。
……いえ、認めますけどねぇ…。
「でも、どうして?」
「大戦後、大規模な戦こそ無くなりましたが、ご存知のように三大勢力の小規模な鍔迫り合いは今でも続いています」
あれで、小規模な訳ね…。
「この状態が続けば、いずれ皆滅ぶ。いや、その前に横合いから他の勢力が攻め込んでくるかもしれません」
一誠「他の勢力?」
ミカエル「三大勢力の他にも、神話体系は存在しますので。今度の会談は好機だと思っているのですよ。三大勢力が手を取り合い、無駄な争いを無くす為のね」
「争いを…?」
「過去の大戦の時、一度だけ皆が手を取り合ったことがありました。赤と白の龍が戦場を掻き乱した時です。あの時のように再び手を取り合えるよう、貴方に、赤龍帝に謂わば願を掛けたのですよ」
ミカエルさんは満面の笑みで仰る。
「イッセー君、ここは有り難く頂戴しましょう」
「あ、ああ、はい。朱乃さんがそう仰るなら…」
俺は聖剣アスカロンに近付く。
でも、聖剣に触れて大丈夫なのか?
「特殊儀礼を施している。悪魔の君でも問題は無い」
聖剣に触れるのを渋っていると、アルミヤさんがそう言ったきたので、少しだけ安心する。
「……聖剣と同化って、そんなこと出来るのか?」
『神器(セイクリッド・ギア)は宿主の想いに応える。お前が望めば叶わんこともない』
「俺が…望めば…」
宙に浮遊する聖剣の柄を左手で握る。
アルミヤさんの言う通り、特になんも問題が無かった。
『相棒、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に意識を集中するんだ!』
「おう!」
赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を出し、ドライグに言われた通り、籠手に意識を集中させる。
『波動を聖剣に合わせろ!』
そうした瞬間、聖剣と籠手が赤く光り輝く!
「なッ!合体しやがった…!」
光が止むと、甲の先端から聖剣の刀身が生えた籠手になっていた!
「これで用事は済みましたね。では、私はこれで」
「あ、あの!俺、貴方に聞きたい事があるんです!」
「生憎、今は時間がありません。会談の席か、会談後に伺いましょう」
「必ず、お願いします!」
「ええ、約束します、兵藤一誠」
そう言い、ミカエルさんは光を発しながら、消えていった。
「では、私も失礼する。また会おう、兵藤一誠、姫島朱乃」
アルミヤさんもそう言い、ミカエルさんの跡を追う様にこの場から立ち去って行ってしまった。


「へえー、朱乃さんとアルミヤさんとミカエルさんがここであの剣を?」
「ええ。アスカロンの仕様を変更する儀礼を行っていたのですわ。特に聖剣についての造詣が深いアルミヤ殿のサポートは大変助かりましたわ」
あの後、朱乃さんが生活していると言う境内のお家の和室に来ていた。
「……あの、一つ聞いても良いですか?」
「なんでしょう?」
せっかく、二人っきりだし、俺は以前から朱乃さんに聞きたかった事を聞く事にした。
「……コカビエルとの戦いの時、あいつが言ってましたよね?」
「ッ!?」
あの時、あいつは「俺の邪魔をするか?バラキエルの力を宿す者よ?」と言い、それを聞いた朱乃さんが「……私を…あの者と一緒にするな!」と激昂した。
「……朱乃さんて、堕天使の幹部の…?」
「……そうよ。私は堕天使の幹部バラキエルと人間との間に生まれた者です。母はとある神社の娘でした。ある日、傷つき倒れていた堕天使の幹部であるバラキエルを助け、その時の縁で私を宿したと聞きます」
……そんな複雑な家庭事情を抱えていたのか朱乃さんは。
「……あの…すみません。俺、なんか、変な事を…」
バサッ!
「ッ!?」
すると、徐ろに立ち上がった朱乃さんが後ろを向いて着物を下ろし、背中を露出させると、翼が生えた!
しかも、片方が悪魔の翼ではなく、堕天使の黒い翼だった!
「そ、その翼!?」
「ええ、悪魔の翼と堕天使の翼、私はその両方を持っています。この穢れた翼、これが嫌で、私はリアスと出会い、悪魔になったの。でも、その結果生まれたのが堕天使の翼と悪魔の翼を持ったおぞましい生き物…。……フフッ、この身に穢れた血を宿す私にはお似合いかもしれません…」
「……朱乃さん…?」
……自嘲する朱乃さんは、とても悲しそうな響きの笑いをする。
「……それを知って、イッセー君はどう感じます?……堕天使は嫌いよね?貴方とアーシアちゃんを身も心も傷つけ、命までもを奪い、大切な貴方の街を破壊しようとした堕天使。良い思いを持てるはずが無いわね…」
「……はい。俺は堕天使が嫌いです…」
「………っ……」
「でも、朱乃さんは好きです!」
「え!?」
それを聞き、朱乃さんはとても悲しそうな表情になるが、俺は構わずに続けてそう言った。
「すみませんでした。なんか悪い事聞いちゃって。もー俺ってホント無神経で…」
「そう言う事ではなくて!?私は堕天使の…」
「関係ないっスよ!」
「わ、私は堕天使を憎んでいる貴方に嫌われまいとして必要以上に親しく近付いていたのかもしれないのよ…?」
「朱乃さんはそう言う人じゃないです!」
「いいえ、きっとそう。私は最低な女だわ…」
「違います!俺にとって朱乃さんはいつだって優しい先輩ですから!」
「……っ…!」
「あ、ああ、いや、えっと。俺は堕天使は嫌いですけど、朱乃さんがたとえ何者でも、俺にとって朱乃さんは朱乃さんであって!オカ研の最強の副部長であって!ええと、なんつーか上手く言えないけど、今の話を聞いた後でも、俺、朱乃さんが変わらず好きですから!なんで、特に問題は無いんじゃないかと。……あ、あれ?何言ってんだ俺…?」
「……殺し文句言われちゃいましたわね…。……そんな事言われたら本気になっちゃうじゃない…」
やば!朱乃さんが泣き出してしまった!?俺、傷付ける様な事言ってしまったのか!?
「や、やっぱ変なこと言っちゃいました…?もっと気の利いた事言えたらいいんスけど。俺、ホントダメだなぁ…。すみません朱乃さ…っ!?」
いきなり、朱乃さんに押し倒されてしまった!?
「うぇ!?あ、朱乃さん…?」
「……決めましたわ。私、決めました」
「き、決めました…?」
「ねえ、イッセー君?」
「はい…?」
「三番目で構いませんわ♪」
「三番目…?」
「そう、三番目。割りと良いポジションだと思いますわ♪なにより……浮気って感じで燃えますの♪」
……あの、一体、何のお話でしょうか…?
「イッセー君、もっともっと甘えてくれてよろしいんですのよ♪」
「ええぇっ!?」
「部長の代わりに膝枕もしてあげますわ♪」
「ひ、膝枕!!」
「イッセー君、私の事、朱乃って呼んでくれる?」
「せ、先輩をそんな馴れ馴れしく呼べませんよ…!」
「一度でいいからぁ…お願いぃ…」
「……あ、朱乃…」
「ッ!嬉しいイッセー!」
ぬおおッ!!朱乃さんが抱き付いてきて、身体に胸が押し付けられる!?
密着して初めて分かるこの素晴らしき感触ッ!!
「ねえ、これから二人の時は朱乃って呼んでくれる?」
か、可愛い…!脳がどうにかなってしまう…!
うっ、うははぁ!!部長に続き憧れのお姉様ぁ!!かはぁ!!感無量だぜぇ!!
「うふふ♪リアスの特権、一つ奪ってしまったわ♪うふ、何かいけない事をしている気分♪イッセー君、気持ちいい?」
「はぁい!最高ですぅ!」
最っ高の寝心地だ~♪
「あ、でもこの場面、部長に見られたらぁ…」
「部長が何かしら?ねえ、イッセー?」
……………。
ゆっくりと朱乃さんの膝から頭を上げて、声が聞こえた方へと振り向くと、紅色の魔力を迸らせる部長が仁王立ちしてるぅぅぅっ!?
「ぶっ!?ぶぶ、ぶ、ぶぶぶ、部長ォォォッ!?!?」
こ、殺される!?
「あらあら、うふふ♪」
「こ、これはですね!?そ、その、あ、ああ、あっああ、ちょ…」
「油断も隙もないわ」
「ふぃててててて!?!?」
部長に頬をおもいっきりつねられてしまう!?
「……剣は受け取った?」
「も、もらいふぁしたぁ!」
「……ミカエルは?」
「帰りまひたぁ!」
「……ならもうここには用は無いわ。帰るわよ」
「あ、はい……」
ようやく、解放されたぁ…。
「……一番候補の部長が羨ましいですわ♪」
朱乃さんが何かを言っていたが、よく聞き取れなかった。
「あ、あのぅ、じゃあ朱乃さん!ぶ、部長ぉぉぉ!?」
「うっふふ♪」
踵を返して去っていった部長の跡を慌てて追い掛けていると、背後から朱乃さんの笑い声が聞こえてきた。


無言で石段を降りていく部長に置いてかれない様に着いていく俺。
……ううぅ、部長、やっぱり、怒ってる…。
部長の足取りは不機嫌その物だった。
ふと、部長が足を止める。
「……ねえ、イッセー?」
「は、はい!」
「朱乃は朱乃なのね?」
「はい…?」
「……朱乃は副部長。……けれど、朱乃なのね?……私は?」
「リアス部長です」
「……そうね…。私は部長だわ。でもリアスなのよ?」
「はい!部長は俺の主で!上級悪魔のリアス・グレモリー様です!」
「……なにが一番候補よ…!私が一番遠いじゃない…!」
部長が普段の気品に溢れた声音ではなく、極普通な女の子の声音で寂しげにそう言う。
「?あ、ぶ、部長!」
再び、部長は無言で石段を降り始めたので、慌てて跡に着いていく。
「明日はいよいよ会談だし、最終的な準備をしなくてわ。イッセー、貴方はどうするの?」
「学校に戻ります。ギャスパーの特訓もあるんで」
「……そう。じゃあ、ここで…」
石段を降りた所で部長と別れるが、その際に浮かべていた表情が酷く寂しげな物に見えてしまった。
「……部長…?」


「……部長のあれ、一体なんだったんだ?」
部長と別れてから学校に向かう道中、部長の浮かべてた表情の事が気になってしまっていた。
俺、なんか変な事言ってしまったのか?う~ん、分からん。
「よう、イッセー」
「ん?」
考え込んでると、声を掛けられたので、思考を中断して、声がした方を見る。
「あ、明日夏…って、ええッ!?」
そこには明日夏がいたが、一緒にいる少年と少女を見て、驚きの声が出てしまう!
「また会ったね、兵藤一誠君」
「フン」
「ライニーにユウナ!」
明日夏と一緒にいた二人は先日のエクスカリバー強奪事件の際にやって来た教会の戦士(エクソシスト)だった。  
 

 
後書き
教会側のオリキャラ、アルミヤ(ちょこっとだけど)、ライニー(本格的は次回)、ユウナ(ライニーと同じ)の再登場です。 
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