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ハリー・ポッターと蛇の道を行く騎士

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第九話 マグルの学校

 英国も春休みが終わって学校が始まる頃になったある日、今日もエメ達は各自が自宅で自由に過ごしていた。
 今日は3人とも本を読んで1日を潰す予定らしく、全員が図書館に集まって来ていた。とはいっても読んでいる本にそれぞれの性格の差が著しく表れている。
 まず、エメが読んでいるのは魔法に関する本で、あらかじめそれなりの知識は身につけておこうという真面目さや計画性が伺える。
 次にふみ。既に普通の本を読み尽くしてしまっているふみは、禁書を読み漁っているのが最近の現状だ。
 最後にほのかなのだが──

「うわ~~ん!! エース~~~!!!!」

 ──周りには山のように漫画が大量に散らばっていた。
 日本のアニメや漫画にはまっているほのかは大量の新作漫画などをわざわざ日本から取り寄せて貰っている。
 影響を受けやすく、名台詞や感動したものをよく真似ようとする。気まぐれでもあるので長続きはしない。

そんな3人のもとへロタロタが手紙を持ってやって来た。手紙を送ってきたのはエメの叔父だ。
 手紙を読んだエメは同封されていた書類ごとふみに渡して後を任せる。
 久し振りに連絡が取れたと思ったら、またこちらに何の相談もなく余計なことをしているのだ。
 ふみとほのかは魔法の学校に通うまであと1年以上あるからその間はマグルの学校に通わせるという内容だ。それもわざわざ家に近くない学校を選んである。
 もちろん叔父である源臥《げんが》にも考えがあってのことだった。
 3人の他者への興味の薄さを危惧してはいたのだ。その為人付き合いする機会を増やそうと、ふみとほのかを学校に入れさせたのだ。目的が人付き合いを増やすことで、学力に関しては心配していないので、9月からではなく春休みが終わったら入るようにしてある。
 家の近くだとすぐに帰ってしまうことが容易に想像出来たので、寮生活でもしっかり人と関わらせる為遠くの学校を選んだ。
 いろいろと考えていて調整にも苦労しているのだが、エメ達からしてみればそんなこと知ったことじゃない。


◆◆◆


「よろしくお願いしますっ!!」

「……よろしく」

「はい、よろしくね2人とも」

 ふみとほのかが通う学校は、マグルの学校でありながら魔法使いが就職していた。
 任務で数年前からこの学校に来ていたらしく、今年度の終わりまでいるらしい。
 情報操作や魔法使用の痕跡のごまかしなどいろいろやってくれるそうだ。


◆◆◆


 ふみとほのかが学校に通い始めてはや数日。
 ほのかはともかくとして、以外なことにふみも既にクラスに馴染んで溶け込んでいた。

 数日ぶりに2人だけで昼食を食べようと一緒に行動していたら、偶然イジメの現場に出くわしてしまった。

「……あ。……まずい、かも」

 現状を把握したふみがさり気なくほのかから離れる。直後、ほのかの周辺で爆発が起こる。

「ふざけるなーーー!!」

 連鎖的に爆発を引き起こしながら、いじめっ子達に向かって走り出したほのか。明らかなまでに暴走している。





 でっぷりとした体型で、ダドリーと周りの子に呼ばれるリーダーらしき少年を蹴り飛ばしたほのかは、そのまま取り巻きの子達と乱闘を始める。

「うわっ!?」

「何だコイツ?」

「いてっ!!」

 そのまま戦い続けていれば、年上で複数人いる少年達が勝ったのだろうが、リーダーの少年が「パパとママに言いつけてやる」と言って逃げ出したので、他の子達もいっせいに逃げ出した。
 ボロボロの格好で転がっていた少年が立ち上がって礼を言う。
 立ち上がった少年の身長は、年頃の男の子の平均と比べると大分小さい。

「あ、ありがとう…でも、ダドリーに逆らっちゃダメだよ」

「?」

 疑問符を浮かべるほのかとふみにハリーと名乗った小柄な少年はダドリーの両親がどういう奴らなのか詳しく説明する。
 説明は具体的で実体験が伴っており、久し振りに真面目に話を聞いてくれてまともな会話をしたハリーは、嬉しくなってドンドン饒舌に喋った。最後はただの愚痴と不満をぶちまけるだけになっていたが、結局諦めたように締めくくるハリーの胸元をほのかが突然掴み、喝を入れる。

「“力”に屈したら 男に生まれた意味がねェだろう? 立てよ!! 男だろう!!」

「……ああ、……またほのかの悪い癖が始まっちゃった……」

 絶妙なタイミングで漫画やアニメの名台詞が口から飛び出すほのか。
 ほのか自身が影響を強く受けているので、ここぞという時に使いたがる。
 すれた性格をした者でない限り大抵の者は、ほのかの言葉に後押しされて、影響を受けた行動をする。
 タチが悪いのは、ほのか自身は話の流れを半分位しか理解しておらず、天性的な感と本能で適切な言葉を発し、会話を成立させてしまっている事だ。
 ほのかは影響を与えている自覚が無いので、今回のように大事になりそうなときや収拾がつかなくなってきたときの後始末は大抵ふみがやっている。
 兄の手を煩わせないようにしようと思って始めたことだったが、意外とノリノリでやっていたりもする。エメの作業が減っているのも事実なので問題はない。


 この日を境にほのかとふみはハリーと友達になった。 
 

 
後書き
これで一章は終わり。 
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