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キョンシー

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2部分:第二章


第二章

 今度は高く跳ばせてみる。
「跳んで、また跳んで」
 すると高く跳ぶ。天井に着かんばかりである。
 自分の意のままに動くキョンシー達を見て満足する花蓮だった。そして跳ばせ続けているとだった。何とキョンシー達の札が。
「えっ!?」
 取れてしまったのだ。それを見てまずは目を皿の様にさせた彼女だった。
「お札が!?」
 するとだった。彼等は花蓮の方に一斉に来たのだった。何故来たのかは言うまでもない。
「まずい、これは」
 この危機を察してだった。慌ててその口と鼻を塞ぐのだった。
 するとキョンシー達は花蓮から離れてふらふらとしだした。彼等は目が見えず嗅覚だけを頼りにして動いているのである。だから息の匂いがわからないと相手が何処にいるのかわからなくなるのである。
(今のうちに)
 花蓮は部屋を離れた。そのうえでこれからどうするべきか考えた。
 キョンシー達が目の前からいなくなったのでとりあえず口は開けた。そのうえで本を開く。するとそこにはキョンシーは鏡に弱いとあった。
「そう、鏡ね」
 すぐに自分がいつも持っている鏡を懐から出した。するとすぐに部屋にキョンシー達がやって来たのであった。
「まずい、来たわ」
 左手で自分の口と鼻を覆ったうえで右手の鏡を取り出す。そうするとだった。
 彼等は顔を背けて逃げ出しはじめた。そうしてだった。
 また本を開く。するとそこには今度は桃の木の木刀があるとわかったのである。今度はそれを探すことにしたのである。
「桃の木の木刀ね」 
 それを探すことにした。とはいってもだ。
 そんな木刀があるのかどうか実は知らない花蓮だった。とりあえず家に木刀があるのは知っている。父がいつもそれを道術で使うからである。 
 その木刀が置かれている部屋にすぐに向かう。キョンシー達が来ないうちにだ。それは家の玄関のところにある。すぐにそこに向かい手に取るのだった。
「これでいいのかしら」 
 とりあえず木刀のうち一本を握った。するとここでいきなり出て来たのであった。
「うわっ、もう来たのね」
 左手にその木刀を持って右手に鏡である。鏡を見せながらその木刀を横薙ぎにする。しかしキョンシーには全く効かなかった。
 それを見てわかった。これは桃の木の木刀ではなかった。
「げっ、これじゃないのね」
 すぐにその木刀を放り捨てる。そして別の木刀を手に取る。
 それでまたキョンシーのうちの一体を叩く。しかしまた駄目だった。
「これでもない」
 その間にキョンシー達はまた来る。それですぐにもう一本手に取ったのだった。
「これ!?」
 その木刀で叩くとだった。キョンシーが引いた。それを見て確信した。
「これね。じゃあ!」
 その木刀を左手に周りから来るキョンシー達を叩いていく。まるで鶏を追い立てるようである。
 そうやってまずは彼等を家の中に追いやった。
 それからさらに攻めて霊安室までやる。さら叩き落ちていたお札を手に取り。
「これで!」
 キョンシー達の頭をその桃の木の木刀で殴ったうえで顔に札を貼るのだった。
 一体、また一体と貼っていく。そうやって彼等をまた操れるようにした。その後は棺の中に入るように命じて棺の蓋を閉じたのであった。
 一件落着であった。花蓮はほっと肩を落としてそのうえで言うのであった。
「これでよし、と」
「よしじゃない」
 胸を撫で下ろした彼女の後ろから声がしてきた。
「全く。帰ってみれば」
「げっ、その声は」
「おい花蓮」
 兄の銅雀だった。はっきりと怒った顔で彼女の後ろにいた。
「何だこれは」
「何だって」
「勝手にキョンシーを暴れさせて。何をしていたんだ」
「見てたの、ひょっとして」
「丁度御前が木刀を振り回している時からな」
 見ていたというのである。
「見ていた」
「そうだったの」
「何かあったらどうするつもりだったんだ?」
 そしてこう彼女に問うてきたのであった。
 
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