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美しき異形達

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第四十九話 一時の別れその三

「絶対にね」
「薊ちゃんもだけれどね」
「相手の怪人も確かに強いわ」
 菖蒲も言う。
「相当にね、けれど」
「強さがね」
 菊がその菖蒲に応える。
「違ってきている、いえ」
「薊ちゃん達自身が」
「強くなってきているから」
 それで、というのだ。勿論この中には菖蒲達も入っている。つまり自分自身も含めての言葉であるのだ。
「それがね」
「大きいわね」
「ええ、だから」
 それで、というのだ。
「勝つのは薊ちゃんと鈴蘭ちゃんよ」
「私達は戦う度にね」
「強くなっているから」
 自分達のことも話すのだった。
「経験と」
「力が覚醒してきてるのかしら」 
 菊はここでこうも言った。
「その度に」
「そうですね、力が戦う度、部活等でトレーニングを積む度に」
 桜はこの二つに強くなってきている原因を求めた。
「私達の力は強くなっていますね」
「鍛錬ってことかしらね」
 菫が桜の話に応える。
「つまりは」
「そうですね、自分自身を鍛えて」
「それがそのまま力の覚醒になってるのね」
「そうみたいですね」
「だから力の使い方もその強さも凄くなってきていて」
「今の姉さん達なら」
 最後に言ったのは黒蘭だった。
「あの怪人達に絶対に勝てるわ」
「皆にはわかるのね、私は何か」
 裕香は不安げな顔だった、眉と目にその感情が出ている。
「不安だけれど」
「不安になる必要はないわ」
 黒蘭はその裕香の右横に来て告げた、顔は戦いに向いている。
「確実に、だから」
「薊ちゃん達が勝つから」
「裕香さんは安心して観ていて」
「そうしていいのね」
「ええ、このままね」 
 こう言ってだった、黒蘭は普段通りクールな態度で戦いを見守った。見れば鈴蘭は無数の牙のある口が付いた怪人の鞭をだ。
 刀で弾き返した、そうしてだった。
 返す刀で刃を一閃させ気を放った、その気で怪人を斬ろうとする。
 だが怪人は鞭を自分のところに戻しそこからだった。
 また鞭を一閃させてその気をその一閃で防いだ、だが。
 そこにあったのは気だけではなかった、さらにだった。
 雷もあった、鈴蘭の力のそれがだ。それが刃となってあったのだ。
 怪人は気だけと見ていた、しかしその直後にあった雷の刃は防げずに一撃を受けた、そうして胸を焼きつつ言うのだった。
「見事ね」
「飛んでくるものは一つとは限らないわよ」
「そういうことね、けれど」
「雷なのにっていうのね」
「刃として飛ばすなんてね」
「雷は電流みたいに使うだけじゃないのよ」
 落雷や刀から放つだけではないというのだ。
「こうしてね」
「刃として放つことも」
「そういう使い方もあるのよ」 
「そういうことね」
「そして使い方次第でね」
「戦術も変わる」
「そういうことなのよ」
 中段の構えを取って言うのだった。
「面白いでしょ」
「そうね、確かに」
 怪人もこの言葉には応える。
「戦いは好きだし」
「私は好きじゃないけれどね」
「あら、そうなの」
「剣道自体は好きだけれど」
 戦いは、というのだ。 
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