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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第百五十九話 行方不明

 
前書き
ようやくあの七大魔王が現れる。 

 
日本に戻ってきた子供達。
スバルとギンガとノーヴェはモスクワの本場ボルシチとピロシキをご馳走になったらしく、御満悦な表情。

ユーノ「何か海外一周旅行になっちゃいましたね」

なのは「あ、ほら。いい経験になったと思えばいいよ。ね?」

スバル「ボルシチ美味しかったよルカ兄」

ルカ「そうですか、ちゃんとお礼は言いましたか?」

ノーヴェ「勿論!!」

ニカッと笑うノーヴェにルカは頭を撫でてやる。

賢「それにしてもアルケニモンとマミーモンは何がしたいんだろうか?」

はやて「賢兄?」

不思議そうに賢を見遣るはやてに気付いた賢は苦笑を返す。

賢「いや、敵の動きが読めないと思ってね」

すずか「確かにそうですね。世界中にダークタワーを建てたり…」

アリシア「きっと碌でもないことを考えてるんだ」

全員が溜め息を吐いて、寮の自室に向かう。






























遼「一輝」

一輝「遼か?どうした?」

遼「気のせいかもしれないけどな、時々誰かの視線を感じる時があるんだよ」

一輝「お前もなのか?お前も感じるなら俺の気のせいじゃないってわけか」

レオルモン[僕も時々、感じるよ。物凄く粘着質な視線をね…]

ドルモン[用心した方が良さそうだね]

一輝と遼は夜空を見上げながら、眉間に皺を寄せた。
まるで何かが起こる。
そんな気がしてならない。































世界中で怪獣が出現するという事件の興奮も冷めやらぬまま、東京には新たな事件が発生していた。
都内の小学生の、連続誘拐事件。
被害者の小学生の家には、身代金の要求などは来ていない。
警察は何らかの事件に巻き込まれたものとして、捜査を進めている。
しかし、そのニュースが放送されてから半日も経たない内に、そんな事件など簡単に吹き飛ばすような事態が東京を襲った。

フェイト「エアロブイドラモン!!」

アインス「ラピッドモン!!撃て!!」

エアロブイドラモンのブイブレスアローとラピッドモンのラピッドファイアがデビドラモンの群れに炸裂した。
突如として現れた暗黒デジモン達。
聖竜学園の子供達も出撃して、事態を収拾するべく動いていた。

ノーヴェ「いっけー!!ウォーグレイモン!!」

ヴィータ「ぶちかませシャウトモン!!」

ウォーグレイモンとシャウトモンX5が群れに突撃して穴を開ける。

ジエスモン[行くよヴィヴィオ!!]

ヴィヴィオ「うん!!」

シグナム『ロードナイトモン!!』

ロードナイトモン[斬り込む!!]

開いた穴に突っ込み、帯刃を伸ばして、敵を殲滅していくロードナイトモン。

カリム「一輝さん、これはどういうことなのでしょうか?」

一輝「さあな、まあ碌でもないことなのは確かだろうな!!」

パンジャモンとカリムのクダモンが進化したチィリンモンが暗黒デジモンを叩きのめす。
向こうではアルファモンがたったの1体で相手取っている。
敵の数は多いが、実力はあまり高くない。

デュークモン[ファイナル・エリシオン!!]

聖なる光が暗黒デジモン達を殲滅していく。

なのは「メタルガルルモン!!」

メタルガルルモンX[グレイスクロスフリーザー!!]

マルチロックオンしたメタルガルルモンXは全身からミサイルを放ち、瞬く間に殲滅していく。

カイゼルグレイモン[九頭龍陣!!]

炎竜が暗黒デジモンを塵も残さず、消し去っていく。

マグナガルルモン[マシンガンデストロイ!!]

全兵装を展開してマルチロックオンすると同時に一斉掃射。
大輔は他の地域にいる暗黒デジモンの掃討に向かったが、殲滅戦を得意とするデジモンが複数いるためにあまり時間はかからずに殲滅出来るだろう。

デュナスモン[ドラゴンコライダー!!]

ベルゼブモン[デス・ザ・キャノン!!]

2体の必殺技が炸裂し、暗黒デジモンは完全に殲滅された。

遼「何とか片付いたか…」

遼が安堵の溜め息を吐いた瞬間である。

[選ばれし子供達、予想以上の強さだな]

全員【!!?】

突如として聞こえた声に全員が上空を見上げた。
重々しい声が聞こえる。
子供達の前に姿を現した存在。
まるで地獄の底からやって来たかのように、地面を通り抜け、ローブを纏った謎のデジモンが姿を現した。

アリサ「あんた、何者?」

警戒しつつ、問いかけるアリサ。

ルカ「こいつは七大魔王…バルバモンの同胞のようですね」

フェイト「デーモン。ウィルス種、究極体。多くの悪魔型、堕天使型デジモンを率いる魔王型デジモン。七大魔王の一角であり、七つの大罪の“憤怒”を司る。元々は最高位の天使型デジモンであったがデジタルワールドの善の存在に反逆あるいは猛威をふるったためダークエリアに送られてしまった。デジタルワールドの征服と善の存在への復讐を誓っている。必殺技は超高熱の地獄の業火“フレイムインフェルノ”。」

一輝「七大魔王ね、そんな大層な存在が現実世界に何の用だ?」

デーモン[一乗寺賢。私と共に来てもらおうか]

賢「何?」

はやて「何馬鹿言ってるんや!!賢兄をあんたみたいな怪しさ満点の奴に渡すわけないやろ!!」

デーモン[……奴の身体の中には、我らが必要としているものが埋め込まれている。これ以上犠牲を出して欲しくなければ、来てもらおうか]

賢「身体の中…だと?」

Bテイルモン[賢の…?]

ブラックテイルモンが賢を見遣ると、確かに賢の首筋にどす黒い靄のような物がかかっているような気がする。

アルケニモン「お生憎だね!!」

全員【アルケニモン!!?】

アルケニモンの予想外の登場に全員が目を見開いた。

アルケニモン[一乗寺賢、あんたはあたし達と一緒に来るんだ。もし来ないとこの子達がどうなっても知らないわよ?]

賢「なっ!?」

そこには、今朝のニュースで行方不明と言われていた子供達がいた。
恐ろしく虚ろな笑みを浮かべ、まるで感情を捨てたように、子供達は押し黙って座っていた。

なのは「あなた達が誘拐したの!?」

アルケニモン「人聞きの悪い、この子達は自分からあたし達について行ったんだ」

まだきちんとした倫理観を持たない子供達に、何を吹き込んで連れ去ったのか…、全員の心に凄まじい怒りが宿る。

賢「…僕が行けば、彼らを解放すると約束しろ」

それだけ言うと、トラックに向かう賢。

はやて「卑怯者!!」

賢の優しさを利用した作戦にはやては怒りを抑えきれない。

デーモン[……闇の勢力と張り合おうと言うのか]

アルケニモン「とんでもございませんわ、デーモン様と張り合おうなんて。あたしはあたしの用事を済ませるまでです」

賢とアルケニモンを乗せたトラックが、どこかへ走り去ってゆく。
デーモンもそれを追いかけるために動き始める。

ユーノ「追いかけよう!!」

ユーノ達もトラックを追いかけるために動き出す。































大輔『!!?』

暗黒デジモンを殲滅した大輔が凄まじい暗黒の力を感じ取る。
しかもアポカリモンとは全く異なる性質の力。
遂に現れたのだ、純粋な悪がこの世界にも。

マグナモン[行くぞ!!!]

凄まじいスピードでデーモンの元に向かうマグナモン。






























そして僅かな時間でデーモンに追いついたマグナモンは前に回り込む。

フェイト「大輔!!マグナモン!!」

大輔『フェイト…賢はどうした?』

フェイト「賢はアルケニモンに子供達を人質に取られて捕まったの、あのトラックに!!」

大輔『こいつは?』

フェイト「七大魔王のデーモンだよ!!こいつも賢を狙ってるの!!」

大輔『そうか、ならますます放っておけなくなったな。お前らは賢を助けに行け。こいつは俺達が片付ける』

アインス「気をつけてくれ大輔!!」

全員が大輔とマグナモンに任せ、トラックを追い掛ける。

デーモン[闇の勢力に張り合おうと言うのか?]

マグナモン[光とか闇とかどうでもいい。お前みたいな馬鹿が、仲間に手を出すのを黙って見ている程、俺はお人好しじゃないんでね]

デーモン[愚かな…格の違いを教えてやろう!!フレイムインフェルノ!!]

マグナモンに迫る業火。
しかしそれをバリアで防ぐとデーモンの顔面に強烈な一撃を喰らわせる。

デーモン[ぬう!?]

予想以上の重い一撃に、デーモンは少々動揺する。
その隙を見逃さず、鳩尾付近に蹴りを食らわせ、岩壁に叩き付けた。

デーモン[己!!]

マグナモン[遅い]

デーモンの拳を捌き、逆に頬に拳を突き刺す。
マグナモンの猛攻に負けじとデーモンも攻撃を繰り出していくが、防がれるか、かわされてしまい、まるでダメージを与えられない。

マグナモン[はああ!!]

マグナムパンチを喰らわせ、海の方角まで吹き飛ばすと、手を組んで、デーモンの背中にハンマーのように叩き込む。

デーモン[ぐおおお!?]

バシャアアアアアン!!

海に凄まじい勢いで落下し、大きな水しぶきを上げる。
しかし、海から暗黒波動が放たれる。

マグナモン[チッ!!]

暗黒波動をプラズマ弾で相殺。
海から凄まじいスピードでデーモンが飛び出し、暗黒波動を連射する。

マグナモン[ライトオーラバリア!!]

バリアを張り、それを容易く防ぐ。

デーモン[ぐっ…]

マグナモン[思っていたより強い…]

予想外の強敵に歯軋りするデーモン。
マグナモンもデーモンの予想外の強さに驚いていた。
デーモンはバルバモンの同胞らしく、強さもバルバモンと同レベル程度だと思っていた。
しかしデーモンの強さは闇の大地のバルバモンの要塞で戦ったキメラモンカオスとほぼ同じ位の強さだ。
特訓を今日まで続けなければ、オーバードライブを使わなければならないところであった。

デーモン[つああああ!!]

凄まじい勢いで突撃するデーモン。
マグナモンも真っ向から受けて立つと言わんばかりぶつかる。
マグナモンとデーモン。
究極体最強レベル同士の激突は空間を揺るがす程である。

デーモン[ケイオスフレイム!!]

口から吐き出す業火。
マグナモンはそれをバリアで防ぐが、デーモンがいない。

マグナモン[!!?]

デーモン[消え失せろ!!フレイムインフェルノ!!]

凄まじい勢いでマグナモンに迫る地獄の業火。

マグナモン[エクストリーム・ジハード!!]

地獄の業火にエネルギー波をぶつけるマグナモン。
徐々に業火が押され始め…。

デーモン[な、何!!?]

大輔『消え失せんのは…てめえだああああああ!!!!』

マグナモン[消えて無くなれ三流魔王っ!!!!]

デーモン[なっ!?ぐあああああああっ!!!?]

マグナモンの聖なるエネルギー波がデーモンの地獄の業火をぶち破り、デーモンに炸裂した。






























そして遥か遠い場所でデーモンとマグナモンの戦いを見つめる影があった。

[アイツ、使エル…]

影が見つめる先にはマグナモンの聖なるエネルギー波に飲み込まれたデーモン。






























おまけ~今年のクリスマス~

大輔「ん?」

勉強を終え、小腹が空いたから食堂に行くと、アインスが悪戦苦闘しながら何かを作っていた。

大輔「あれは…」

こっそり見つめていると、材料からしてケーキだろう。
慣れない手つきで一生懸命作っている彼女。
手伝ってやろうかと思ったが、あんなにも一生懸命にやっているのを見ると、少し躊躇してしまう。
しばらくしてオーブンから出たのは、不格好で少し形が崩れた小さいケーキ。

アインス「はああ…」

深い溜め息を吐くアインスに、大輔はとうとう見かねて手伝おうとした時。

アインス「これでは大輔の喜ぶ顔が見れない…」

悲しそうに呟くアインスに大輔は足を止めた。
あのケーキは自分のために作ってくれたと言うのか?
それを聞くと、嬉しさが込み上げ、大輔は静かに歩み寄ると、アインスの手作りケーキを掴み、口にした。

アインス「だ、大輔!?だ、駄目だ!!それは失敗して…」

大輔「美味い」

アインス「え?」

大輔「これ凄い美味い。アインス、料理上手なんだな」

満面の笑顔でケーキを頬張る大輔にアインスは頬を朱色に染めながら尋ねる。

アインス「ほ、本当に美味しい?」

大輔「ああ、美味い。」

アインス「か、形だって悪いし、味もテスタロッサやバニングスに比べれば…」

大輔「関係ない」

アインス「関係ないって…」

大輔「俺のために作ってくれたんだろ?この甘さは俺好みだ。ありがとうアインス」

美味しそうにケーキを完食する大輔。

大輔「御馳走様。小腹が空いてたから助かった」

アインス「そ、そうか…」

大輔「ケーキ、美味かった。サンキュー、アインス。」

彼女の頬に触れる程度のキスをすると、大輔は食堂から去った。
アインスは真っ赤になり、頭から蒸気を吹き出しながら失神した。 
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