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EVANGELION ANIMA~もう1つの可能性~

作者:
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壱話 変わる世界(前)

 
前書き
『償い』の方もあるってのに調子こいで書いてしまった。
後悔はしてない…。
 

 
[ビー!ビー!ビー!]

『通信機能に異常発生!』
『外部との全ネット情報回線が一方的に遮断されています!』
「碇…早すぎんか?」副司令の冬月が司令のゲンドウに問いかける。
「…」
「S2機関搭載型のエヴァはまだ建設中のハズだぞ?」
「ゼーレの老人達は、焦っているのだろう」第2発令所が慌ただしくなっているのに対し、この二人は冷静だ。
「いつでもインパクトを起こせるように、エヴァを確保するつもりか」



「状況は!?」一人の女性…葛城ミサトが早足で通路を歩く。
『先程第2東京からAー801が出ました』携帯から若い男性の声がする。日向マコトだ。
「801?」
『特務機関ネルフの特例による法的保護の破棄、及び指揮権の日本政府への委譲です』

「最後通告ですよ。現在マギがハッキングを受けています。かなり押されています」
マコトは、隣に立っている女性、伊吹マヤに代わった。
「伊吹です。
「今、赤木博士がプロテクトの作業にはいりました」
[ビー、ガシャン]
「リツコが…!?」
リツコは、綾波シリーズ(クローン)を破壊したことによって拘束されていたはずだった。
リツコを解放したのは、ゲンドウか冬月だろう。

「あと、どれくらい?」
「間に合いそうです。一時防壁展開まで2分半ほどで終了しそうです」
「さすがは、赤木博士ですね」
マコトとマヤが嬉しそうに言う。…が
「安心してる場合じゃないわよ」ミサトの顔は、真剣だった。
「マギの侵入だけですむような、生易しい連中じゃないわ」ミサトは、この後本部の直接占拠しにくるであろう戦自を警戒していた。



[カタタタタタ]
「必要となったら捨てた女でも利用する…エゴイストな男…」マギ(カスパー)のなかで作業する赤木リツコ。
その言葉は、司令のゲンドウに向けられていた…。
[ピーッ]
モニターが赤から青に変わる。
『マギへのハッキング停止しました!』外では、歓声が上がっている。
「また、後でね、母さん」マギ(母)を見て微笑む。しかし、リツコの目はただならぬ決意に満ちていた。
その後リツコの姿を見たものはいない。



『碇は、マギに対し第666プロテクトをかけた』暗く広い空間には、いくつものモノリスが浮かんでいた。
『マギの接収は、中止せざる得ないな』
『できるだけ穏便に進めたかったのだが…』
『いたしかたあるまい』
『本部施設の直接占拠を行う』そう宣言したのは、01のモノリス…ゼーレの最高責任者キール・ローレンツだ。


[ビーッビーッビーッ]
『大観山第8から17までのレーダーサイト沈黙!!』
戦自の攻撃より第3新東京市内のレーダーが潰されてゆく。

「やはり、最後の敵は同じ人間だったか」
「…総員、第一種戦闘配置」

「戦闘配置…?
相手は使徒じゃないのに…同じ人間なのに…」マヤが顔をしかめて呟いた。
「向こうは、そう思っちゃくれないさ」マコトが返した。非情に聞こえるが向こうは、自分達をサード・インパクトを引き起こそうとしている狂信者と思っているのだろう。

暫くすると、南のターミナルから連絡が途絶えた。戦自が突入してきた証拠だ。
「至急シンジ君を初号機に待機させて!レイとアスカの安全も、早急に確保よ!」ミサトは、オペレーターに指示を出す。
「はい!」
「連中の本命がエヴァの占拠なら、まずパイロットが狙われるわ」

ーネルフ本部通路
<エヴァパイロットは発見次第射殺、非戦闘員への無条件発砲も許可する>
「了解」
ミサトの予感は、当たっていた。

ー再び第2発令所
「アスカは!?」
「303号病室です」シゲルが答える。
「かまわないから弍号機に乗せて!」
「でも、操縦できる状態じゃありません!」反論したのは、マヤだ。
「そこだと確実に消されるわ、かくまうにはエヴァの中が最適なのよ」ミサトの言う通り警備システムのついていない病室より1万2千枚の特殊装甲があるエヴァが安全だろう。
「…了解!」納得し指示に従う。

「シンジ君とレイは!?」
「どちらも所在ふめいです!」
「補足急いで!…殺されるわよ」

「戦自約一個師団を投入か…占拠は、時間の問題だな」まるで他人事のように話す冬月。
「…ああ、時は来た」ゲンドウは、この時を待ち望んでいたかのように怪しげな笑みを浮かべていた。


その間にも、施設の占拠は進んでいた。
機関銃での無差別発砲、火炎放射機を使い職員ごと室内を焼き払い更には、爆弾によって通路ごと吹き飛ばしたりとネルフの職員は、戦自相手に手も足もでなかった。

「52番のリニアレール爆破されました!」
「たち悪いな、使徒のほうがよっぽどいいよ」マコトが愚痴を漏らす。
(無理もないわ…みんな人を殺すことに慣れてないものね…)
ミサトは軍人だ。しかしネルフの職員は、あくまで護身の為の訓練しかしていない。それに比べて相手は、戦闘のプロ、敵う筈がない。
「パイロット収容完了!エヴァ弍号機射出します!」
『バシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!』シゲルの合図と共に弍号機が射出される。
「8番ルートから水深70に固定されます」
「シンジ君とレイはまだ見つからないの!?
初号機も急いで発進させて!」
「初号機パイロット所在位置を捕捉しました」
『ブンッ』モニターに、膝を抱えて座り込んでいるシンジが映る。
「!…
なぜ、まだこんな所に…!」
「ルート47は、既に寸断されています。このままでは、シンジ君が…」マコトは詳しい情報を伝える。
「なんてこと…」
ルート47は、戦自が既に侵入していると情報が入っている。シンジが殺されるのも時間の問題だろう。

[ガタ…]
「冬月先生後は頼みます」
「?どうした碇、まだ量産機は完成しておらんのだぞ?」サード・インパクトは、初号機と量産機が揃ってやっと発動する。
「確認ですよ。繰り返す事に越したことはない」ゲンドウは、司令塔から立ち去る。
「そうか、わかった」

「第3層に侵入者!」
「防御できません!」戦自の攻撃は、収まることなく続いている。発令所までたどり着かれるまでたいして時間は掛からないだろう。
「メインバイパスを挟撃されました」
「第3層までを破棄します!戦闘員は下がって、
803区間までの全通路とパイプにベークライト注入!」ミサトはシゲルに指示を出す。
「はい!」

[カション]
「これで少しはもつでしょ」
ミサトは、シンジを助けに行くための準備を進める。
「非戦闘員の白兵戦闘は極力さけて、ドグマまで後退不可なら投降した方がいいわ。
ごめん、あとよろしく」
「…はい」
マコトに任せ発令所を出ていくミサト。
(葛城さん、無事でいてくださいよ)尊敬する上司の無事をマコトは、心の中で願った。



ルート47
[ドドドドドドド]
(銃声…爆音…敵は中まで侵入して来てるんだ)
(このまま、エヴァの所に行かずにいたらどうなるんだろう?みんな死ぬのかな…)
(綾波もアスカもミサトさんも父さんも…僕も)
(もういいんだ。もう疲れた)
「もう、何もしたくない」

[ジャキッ]シンジの頭上で構えられる拳銃(グロッグ17)。
「サード発見これより排除する」
(人だ、使徒じゃない)顔を上げると三人の男が立っていた。見慣れない装備をしているので戦自だろう。
[グッ]一人が頭に銃を押し付ける。
「悪く思うな坊主」男は無力な少年を殺す事に戸惑いがあるのかゆっくりと引き金を引く。

[パン!]
通路に銃声が響く…が、
(生きてる?)シンジは死んでいなかった。
[パパパパパパパッ]
また銃声が聞こえる。
(ミサトさん…)シンジの瞳には、銃を構えながらこちらに走ってくるミサト。
[ドシャ]
二人の男が倒れる。
ミサトは、残った戦自の男に蹴りをいれ顎部に銃を押し付ける。
「悪く、思わないでね」
[タンッ]
男はそのまま倒れて動かなくなった。
「ハァ、ハァ…シンジ君、行くわよ」
「行くってどこへですか…?」
「決まってるでしょ。初号機の所よ」

同時刻ー第2発令所
[ガラッ]
「本格的な対人要撃システムは、用意されてないからな、ここ」シゲルがコンソールの下に潜り銃などを取り出す。
「戦自が本気を出したらここの施設なんてひとたまりもないさ」同じく銃の調整をしているマコト。
「……今考えれば侵入者要撃の予算縮小って、これを見越してのことだったのかな」
「……どうかな、ありうる話だ」その次の瞬間、

[ボォォォン!!]
ついに戦自が発令所まで侵入してきた。
[タパパパパパッ]
[バチュン]
[キュン!]

「マヤッ、ロックはずして!」シゲルは銃をマヤに差し出す。
「私…鉄砲なんて撃てません」潔癖といってもいいマヤは、人を殺すことに躊躇した。
「 訓練で何度もやってるだろ」訓練時のマヤの成績は、そこまで悪くない。そう、訓練では。
「で、でもっ」
[バチュン!]
「バカッ、撃たなきゃ死ぬぞ!」地の利はあるが数や勢力は、向こうが圧倒的に上。最上階のここも、じきに制圧されるだろう。
「…」

再びルート47
『ザー…ケージの…隊はどうか…』
『紫の方は、確保。赤いやつは、射出された模様目下ルートを調査中』
「…まずいわね」初号機が確保されたということは、戦自が周りにいるということ。大した装備もない上に戦闘経験のないシンジをつれてそこまでたどり着けるのか。
「シンジ君…急ぐわよ!」
「…」
「早く!立ちなさいっ」
「いやだッ!…だって相手は使徒じゃない人間だ…できるわけないよ!」
「やらなきゃこっちがやられるのよ!?」
「そんなの…関係無いよ!ミサトさんも父さんも同じだ僕をエヴァに乗せて自分のために利用しようとしてるじゃないか!」
「!」ミサトは、シンジ達チルドレンを利用してきたと自分でも思っている。使徒への復習のために…。
「どうせ死ぬなら、今死んだって同じだ…」
[パシィ]
「…っ」
「目を覚ましなさい!…そんなこと私が許さない、だってあなたまだ生きてるんだもの。
生きていてまだ出来ることがあるんだもの…」
「…」
「私は、あなたに希望を失ってほしくないのよ。
だれの為でもなくあなた自身の為にエヴァに乗ってほしいの」
「…ミサトさん…」


第2発令
[パッ、タタタタタタタ]
[パパパパパ…]
「かまわん!ここよりもターミナルドグマの分断を優先しろ」
冬月は、残った職員に指示を出す。
[パパッ、パパン]
マコトとシゲルは戦自に向かって一心不乱に銃を撃ち続ける。
マヤも恐る恐るだが、素質があるのか、命中率は良い。

「あちこち爆破されているのにやっぱりここには手を出さないか…」
「一気にカタをつけたいところだろうが…」シゲルは、目線を下にする。そこには、大きな三つの機械。
MAGI:メルキオール、MAGI:バルタザール、MAGI:カスパー
「MAGIのオリジナルをできるだけ無傷で手に入れたいんだろう」
「ああ、でも対BC兵器装備は少ない。使用されたらヤバイよ。
N2兵器もな」

「日向君、青葉君!」端末操作に移っていたマヤが呼び掛けた。
「ん?どうかしたの?」
「N2がくるわ!予測だと日本中のが全て」モニターには、爆弾を積んでいると思われる戦闘機がいくつも飛んでいた。
「なに!?」二人は焦る。元々日本にあるN2爆弾は、大した数じゃない。しかし第12使徒戦(レリエル)で世界中のN2を日本にあつめた。その数は、100以上。それだけの数が雨のように降ってこられては本部はひとたまりもない。
[ガチャ]マコトが通信機を取る。
『総員、衝撃に備えよ!』


ージオフロント直上
[ヒューーー]
ズズズズズ
[ドォグァァァァァン!!]

ー発令所
[ズガガガガッ]本部が大きく揺れる
「きゃっ」
「あーあ言わんこっちゃない」
「奴ら加減ってものをしらないのかよ」
「無茶をしよる…」
マコトの呼び掛けによって負傷者(爆発の影響)は、でなかった。

[ドドドドドドッ!!]
使徒戦でジオフロントにできた大きな穴から無数のN2爆弾が降り注ぐ。
「っ…戦自は、どうしてそんなにエヴァをほしがるの?」マヤの疑問は、爆音に消されていった。

ー弍号機(エントリープラグ内)
「どこ…ここ」エヴァの特殊装甲を通じて聞こえる爆音と振動。そこでアスカは、目を覚ました。
「エントリープラグ…弍号機の中…?」
[ガチッガチッ]
「動かない…このポンコツ…」プラグ内には明かりも灯らない。
「ふふっ、そっかポンコツはあたしだ」プライドの高いアスカは自分の脆さを認めた。


ー総理大臣官邸
ここでは、総理大臣とその秘書が会話をしていた。
「ところでネルフ本部の後始末、どうなされます?」
「他国に買い叩かれないよう20年は、封地だな。
人類保完計画…人類をすべて消し去るサード・インパクトの誘発を目論んでいたとは、とんでもない話だ」
「自らを憎むことができる生物は、人間くらいのものでしょう。
委員会へはどのように?」
「全てが終わってからでよかろう
引き続き戦自からの報告を待て」
総理大臣は、委員会(ゼーレ)から情報を受けてネルフ(ゲンドウ)の目的を知った。ゼーレから受けた情報は、ネルフ本部の人間がサード・インパクトを目論んでいるといったもの、しかしサード・インパクトを引き起こそうとしているのは、そのゼーレとゲンドウ、冬月だけで他の職員はリリスの存在すら知らなかった。
要は、総理大臣もがゼーレの手のひらで転がされていたのだ。


ー弍号機プラグ内
弍号機とアスカの居場所がわかったため戦自は、目標を本部から弍号機に変えていた。
[ボンッボンッ]
湖に投入される大量のN2爆弾。
[コン…バキュッ!!]
「あうっ…」起動指数までは行かずとも何%かは、シンクロしているので痛みを感じる。
いくら1万2千枚の特殊装甲といえどアンビリカルケーブルを切断されたら1日ほどでLCLが濁り死に至る。

「…イヤ…死ぬのはイヤッ…死ぬのはイヤッ…死ぬのはイヤッ……
死ぬのはイヤァァァァ!助けて…助けて、ママッ」すると目の前に母キョウコが(幻影)が現れた。
「ママ?ここにいたの」弍号機の中でアスカは母を見つけ出した。

[ドゥンッ]湖から十字の光が突如現れた。
「こ、これは…」
「やったのか!?」

光の下から戦艦を持ち上げながら弍号機が現れた。
「…おまたせ」
アスカの反撃が今始まる。

 
 

 
後書き
壱話どうだったでしょうか?自分的には、結構うまくいったと思いますが。(どこがだよ!)
わかりずらいですが早速一人キャラが変わっていましたね(笑)
マヤさんですよ。戸惑いながらも銃撃ってたし、本編ではコンソールの下に潜っていたのに対し戦自の動きを調べたりしていました。些細な変化ですが今後大きく関わってくると思います(多分)

何度も言いますがこの話は、チルドレンよりネルフのメンバーが主になっている話です。

 
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