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美しき異形達

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第四十八話 薊の師その九

「そこが関東と違うな」
「関東は全体がなの」
「やっぱり東京の影響強いよ」
「この横須賀でも」
「どうしてもな、あそこでかいしな」
 江戸時代から世界一の人口を誇っていた、そして文化も栄えていた。ただの首都ではないのが東京という街なのだ。
 その為だ、東京を全体とする関東全体がなのだ。
「影響強いよ」
「そうなのね」
「そうなんだよ、まあとにかくな」
「この月餅はなのね」
「関東のだからさ」
「その関東の月餅もこうして食べればいいのね」
「わしは好きではないものが一つあってな」
 王がここでまた言って来た。
「それは遠慮じゃ」
「じゃあ月餅も」
「食べてくれ」
 まさに遠慮なく、というのだ。
「これもな」
「はい、それでは」 
 裕香は王の言葉に笑顔で頷いてだ、そうしてだった。
 その月餅と茶を楽しんだ。その二つを楽しんでからだった。
 薊は一同にだ、こう言った。
「今から横須賀案内するな」
「それじゃあね」
「まずは海自さんの基地行くか」
「最初はあそこなの」
「やっぱり横須賀はあそこだろ」 
 まさに横須賀に来たら、という言葉だった。
「海自さんあっての街だからな」
「入られるのよね」
「実はオープンなんだよ、勉強で来ましたって言ったらな、しかも事前にアポしてるし」
「だからなの」
「もう安心してだよ」
「中に入られるの」
「ああ、人数も言ってるしな」
 それだけの要素が整っているからだというのだ。
「後はな」
「もう行けばいいのね」
「あっさり中に入れてくれるよ」
「本当にあっさりなのね」
「堂々と過激派とか言わないと大丈夫だよ」
「いや、それは幾ら何でも」
 過激派という例えにだ、裕香も少し真顔で返した。
「問題外じゃない」
「普通の学生ならさ大丈夫だよ」
「何も問題なく入れてくれて」
「身分証明書、学生証は必要だけれどな」 
 それは、というのだ。
「皆持ってるよな」
「ええ、それは」
「持ってるわ」
「今も」
 裕香も他の面々も全員出して来た、それはそれぞれの財布の中にあった。それを出してそのうえで言うのだった。
「うちの学校遠出の旅行の時は持って行くのが校則だし」
「だからね」
「こうして持って着てるから」
「ちゃんと」
「なら絶対大丈夫さ」 
 身分証明となる学生証があるのなら、とだ。薊は明るく答えた。
「もう何の問題もなくな」
「基地の中に入ってそして」
「見学させてもらえるのね」
「基地の中を」
「そうなんだよ、じゃあ今から行こうな」
 薊は仲間達に海の上の太陽の様な明るい笑顔で言ってだ、そのうえで全員をその基地まで案内した。すると。
 あっさりとだ、門のところで。
 白い水兵の服を着た自衛官の人がだ、こう答えた。
「うん、じゃあね」
「中に入っていいんですか」
「今から案内役の人が来てくれるから」
 それで、というのだ。 
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