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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第4章
停止教室のヴァンパイア
  第87話 授業参観、始まります!

 
前書き
アニメでイッセーがドライグを泣かした~!(爆)
んでもって、次回はギャー助の登場です。 

 
「………」
俺は頬杖を突いて、窓の外をイラつきながら睨む。
イラつきの原因は、あの白龍皇、ヴァーリが口にしかけた言葉だ。
「過去の赤龍帝の周りでは不幸になった者が多く存在した。案外、君達の両親の事故も…」
一応、最後まで言わせなかったし、本人が戯れ言と言う様に、あの言葉はちょっとした冗談だったんだろう。
だが、冗談だろうと、何だろうと、やはり腹が立つ事には変わりない。
しかも、奴の言葉を真に受けたイッセーが「……なあ、明日夏、あいつが言ってた事って…」なんて気にする始末だ。
とりあえず、「真に受けんな、バカ」と言ってやって、軽く殴ってやった。
が、あの様子じゃ、まだ気にしてそうだったな。
後で念入りに強く言っておくか。
ちなみに、件のイッセーは保健室にいる。
白龍皇に面と向かって会ったせいで、ドラゴンになっている左腕が白龍皇の気に当てられてしまった為にドラゴンの腕に戻りかけたからだ。
授業中に吸い出してもらう訳にもいかないし、ドレイクが白龍皇の気に当てられただけの一時的な物だから時間が経てば収まると言うので、それまでは保健室で休んでる事になった。
「ふぅ…」
『ずいぶん、イラついてるなぁ♪』
不貞腐れてるとドレイクが話し掛けてきた。
(……なんの用だよ?)
『そんなにカッカしてると、ハゲるぜぇ♪』
(ほっとけ)
このイライラしてる時にこいつの声は聞きたくなかったな。
いや、イライラしてるからこそ、話し掛けてきのだろう。
……辟易する俺の様子を楽しむ為に…。
「はぁ…」
『ため息すると、幸せが逃げるぜぇ♪』
「……うるせぇ…」
……勘弁してくれぇ…。
この際、無視を決め込もう。
何か言ってきているが、もう無視だ。
「お~い、明日夏」
「ん、なんだよ?」
今度は松田と元浜が話し掛けてきた。
「公開授業なんだが…」
「お前ん所は冬夜さんと千春さんが来るのか?」
う、さらに嫌な事を思い出させるなよ…。
ちなみに当然、松田と元浜は兄貴達とも交流はある。
っと言うか、兄貴はイッセーを含めた三人の家庭教師をやってたしな。
「まあな。イッセーん所も、おじさん、おばさんが来るらしい。アーシアを観にな」
イッセー曰く、相当テンションが上がっているらしい。
「あ~、分かる。アーシアちゃんみたいな娘が是が非でも見に来たくなっちゃうよな!」
松田と元浜もテンションを上げて同意していた。
「ちなみに聞くが?」
「冬夜さんと千春さん、どっちがお前ん所に来るんだ?」
二人が真剣な表情で聞いてくる。
「……去年は兄貴だったから、姉貴が来るだろうな」
兄貴達は俺と千秋は学年が違うから、ローテーションで片方が片方を観る様にしていた。
『よっしゃー!』
松田と元浜が歓喜の声をあげる。
授業を観に来る保護者として来るだけなのに、そこまでテンションが上がるものなのか?
しかし、今年は姉貴かぁ………不安だ…。
いつの間にか、ヴァーリへの怒りが薄れていき、代わりに公開授業への不安で頭いっぱいになっていた。
「ところで、明日夏…」
「一つ、聞きたい事がある…」
「………な、なんだよ…?……」
なにやら、二人がさっき以上に真剣…っと言うか、黒いオーラを滲み出しながら聞いてきたので、思わず、軽く身を引いてしまった。
「……最近、うちのクラスに転入してきたゼノヴィアちゃんと…」
「……一年に転入してきた雪白神楽ちゃんと言う娘の事なんだか…」
「……二人がどうかしたのか…?…」
『オカルト研究部に入部したと言うのは本当かッ!!』
「………」
……何を聞いてくるのかと思えば、そんな事かよ…。
「そうだが…それがどうかしたのか?」
答えは分かりきっているが、一応聞いておくか。
「クッソーッ!!ゼノヴィアちゃんはもちろん、雪白神楽って娘も相当の美少女らしいじゃねえか!?」
「何でイッセーの周りにばっかりに美少女が寄ってくるんだよ!?」
……やっぱり、その事かよ…。
「何故だ!?何故、モテない同盟のはずのイッセーの周りにこんなに美少女が寄ってくるんだ!?」
「おかしすぎるぞ!?」
……つってもなぁ…。
「ちなみに聞くが!」
「まさか、二人共、オカ研に入る前から、イッセーと交流があるんじゃなかろうな!」
捲し立てながら、そんな事を聞いてきた。
「まあ、ゼノヴィアとは転入前にちょっとした交流をしたし、神楽も中学時代の知り合いだったからな…」
「そこからおかしいぞッ!?」
「オカ研に入ってから交流するのなら、まだ、理解できるがッ!?」
「何で、入部前から、交流があるんだよッ!?」
「……んな事、俺に言われてもなぁ…」
ゼノヴィアはともかく、神楽は完全に偶然だしな。
「って言うか、俺達は中学時代にそんな知り合いの娘がいる事を知らないぞっ!?」
「何故、俺達に紹介しなかったっ!?」
一応、紹介はしているぞ………猫の姿でな……。
「千秋ちゃん、千春さん、鶇さん、燕ちゃんと言う幼馴染みがいてッ!」
ちなみに、そこにイリナと言う少女も加わるがな。
「中学時代にその雪白神楽って娘、最近になって、リアス先輩、姫島先輩、塔城小猫ちゃん、アーシアちゃんと言う学園のアイドルとお近づきになりッ!」
「クール系美少女転入生のゼノヴィアちゃんとも交流があるとかッ!?」
『何故、イッセーばかりがッ!?』
「知るかッ!って言うか、さっきから喧しいッ!!」
マジで、さっきから近くで喚かれて、喧しい!
「モテる貴様には分かるまい!?」
「モテない俺達のこの嘆きが!?」
「しかも、つい最近まで同士だった者に!?」
「裏切られた俺達の気持ちが!?」
血の涙が出るんじゃないかって勢いで号泣しながら詰め寄ってくる。
って言うか、お前らがモテなかったのは、欲望(特に性欲)を大っぴらにし過ぎて、周りから悪印象ばっか集めたせいによる自業自得だろうが!
ったく、悪い奴らじゃねえから、少しは自制心を持ていれば、多少はマシな状況になっていただろうに。
「クソーッ!この憤りは何にぶつければいいんだーッ!!」
「諸悪の根源であるイッセーはこの場にいないし…!」
「明日夏にぶつけようにも、返り討ちに遭うのが関の山だし…!」
「ほとんど、俺、関係ねえだろうが!俺に当たるな!」
……ハァ、これから、あいつに女性の知り合いができる度にこんな愚痴やらとばっちりが飛んでくるのか?……勘弁してくれぇ…。
「おい、明日夏!お前、本当はイッセーに何かかしらのモテる為のアドバイスとかしたんじゃないのか!」
「ハァっ!?」
「そうだろう!白状しろ!そして俺達にも教えろ!」
「白状も何も、んなもん、してねえよ!」
「いいや、嘘だ!」
「でなければ、あいつに美少女が寄ってくる展開なんぞありえん!」
「モテるお前が何かかしらのアドバイスをしたか!」
「何かの陰謀に決まっている!」
嫉妬と怒りで、最早、訳わかんねえ事を口走ってるぞこいつら!?
『さあ、吐けェェッ!!』
「……お前らなぁ………いい加減にしろォォッ!!」
我慢の限界に達した俺はヴァーリへの怒りや公開授業の不安を発散させるが如く、二人にかつてない程の威力のアイアンクローを決めてやった!


「ふぅ。なんとか収まったなぁ…」
あのヴァーリって言う白龍皇に会ったおかげで、左腕がドラゴン化しかけてしまい、授業中に朱乃さんに吸い出してもらう訳にはいかない為、保健室で休んでいた訳だが、一時的なものだったのか、ようやく、左腕が落ち着いてくれた。
「……それにしても、白龍皇ヴァーリかぁ…」
ふと、コカビエルとの戦いに乱入してきた時に着ていた白い鎧姿を思い出す。
「あれが奴の戦闘スタイルって訳か…俺がライザーと戦った時と似てたけど…」
『奴のは完成形だ。お前のとは比較にもならないな』
「ドライグ?」
ライザーとの戦いの時に俺が着た赤い鎧の事を思い出していたら、ドライグが話し掛けてきた。
俺は少し気になってた事をドライグに聞く。
「なあ、白い龍と赤い龍って、一体どう言う関係なんだ?」
少し間を置いて、ドライグが答える。
『神と天使、堕天使、悪魔の三大勢力が戦争していた時、異形の者達、そして人間がそれぞれの勢力に手を貸していたんだが、ドラゴンだけは例外でなぁ』
「例外?」
『大半は戦争など我関せずで、好き勝手に生きていたのさ。ところが戦争の最中、大ゲンカを始めたバカなドラゴンが二匹いた』
「二匹ってまさか!?」
『世界の覇権を巡る大戦争などお構い無しで、戦場を二匹で暴れまくったんだ』
「何でそんなにケンカしてたんだよ?」
『さてなぁ、そいつらももう原因なんて覚えちゃいないだろう』
「超迷惑な話だなぁ…」
『『だからこいつらを先に始末しないと戦争どころじゃない!』と、三大勢力は一時的に休戦して、二匹のドラゴンを始末に掛かったのさ』
「ケンカを止めるだけで休戦って……どんだけ暴れたんだよ…」
『ケンカの邪魔をされた二匹は怒り狂って、神、魔王、堕天使の親玉に食って掛かったのさ。『神ごときが、魔王ごときが、ドラゴンの決闘に介入するな』と。まあ、バカ丸出しの逆ギレだ』
「……マジで最低最悪最強のドラゴンだなぁ…」
『結局、二匹のドラゴンは幾重にも切り刻まれ、その魂を神器(セイクリッド・ギア)として人間の身に封印された。それから二匹は人間を媒介にして、お互いに何度も出会い、何度も戦う様になった』
「その二匹のドラゴンがドライグとアルビオンって訳か」
あの時の二匹の会話を思い出す。
『折角出会っても、この状況ではな…』
『良いさ。いずれ戦う運命だ。こう言う事もある』
あれはそう言う意味だったんだ。
『出会わぬまま、先に宿った人間が死んで、戦わない事もあるがな』
「なるほど。んで、今回が俺って事ね…って、出会っちまったじゃねえか!?」
たくっ、運命とか言われてもさぁ、下級悪魔で、その上落ちこぼれの俺があんな奴に勝てる訳…いや!運命なんかで挫けてたまるか!俺は上級悪魔になって、ハーレム王になるっつう、壮大な夢があるんだ!
消沈気味の精神を奮い立たせながら保健室から出て、教室に向かう。


「松田、元浜!?一体何があった!?」
教室に入ってきたイッセーが俺のそばで白目むいて気絶している松田、元浜を見て、開口一番にそう言う。
「あ、明日夏、一体何やったんだ……?」
イッセーがおそるおそる聞いてくる。
「喧しいから、過去最大威力のアイアンクローを決めてやった」
「……そ、そうか…」
苦笑いしながら、イッセーは気絶している松田、元浜を起こそうとする。
「お~い、生きてるか~二人共~?」
『……うぅ…』
イッセーが二人の頬をぺちぺちと叩いていると、唸り声をあげながら二人が起きた。
『………』
「ん?お~い、マジで大丈夫か?」
『イッセー貴様ァッ!!』
ドゴンッ!
「ぐふっ!?」
ボーっとしている二人の顔を覗き込んだ瞬間、二人の鉄拳がイッセーに炸裂した。
「いきなり何すんだッ!?」
「聞いたぞ、イッセー!?」
「転入生のゼノヴィアちゃんと一年の雪白神楽って娘までオカルト研究部に入ったそうじゃないか!?」
「しかも、入部前から二人と交流があるって言うじゃないか!?」
「全く、いっつもいっつもいっつもいっつもォォッ!?」
「……だからどうして、俺が殴られるんだよ…」
「いやぁ、すまん。あまりにもお前の周囲に美少女が集まる為…」
「ただ、この憤りを何かにぶつけたいだけなんだぁ!」
「ふざけんな!?」
「まあまあ」
「とにかくだ。お前は二人と交流があっても、二人に手を出してないって事だな?」
「っ!?あ、当たりめえだろ…」
元浜の問い詰めに一瞬硬直してから、ぎこちなく答えるイッセー。
まあ、神楽にはセクハラ紛いの事(っと言うか、ほぼセクハラ)をしているし、ゼノヴィアからは未遂とは言え、子作りを迫られたから、一概に手を出してないとは言えないだろうからな。
っと言うか、ゼノヴィアはともかく、イッセーは気付いてないが、神楽はイッセーに惚れてるしな。
「イッセー」
「っ!?ゼノヴィア!?」
なんてやり取りしているイッセーの元にゼノヴィアがやって来た。
「先日は突然、あんな事言って申し訳なかった」
「ま、まあな…!?」
『あん?』
ゼノヴィアの言葉に焦るイッセーとなんの事だと疑問符を浮かべる松田、元浜。
「だからこそ、まずはこれを用いて練習しよう」
『なにィィィッ!?!?』
ゴツンッ!
松田ち元浜が絶叫をあげる中、頬杖を突いていた顔をずり落として、机に額を思いっきりぶつけてしまう!?
ゼノヴィアが取り出したのは、ゴム製の避妊具…所謂コンドームだったからだ。
「バカかぁぁぁぁああぁぁぁっっ!?!?!?」
「己は大衆の面前でなんつーもん出してんだァァァァッ!?!?」
思わず、イッセーと共に大声でツッコンでしまった!?
周りからは奇異な目で見られてしまう。
「ねえ~、何の騒ぎ~?」
そんな中、鶇がアーシアを連れてやって来る。
「ゼノヴィアさん、それは何ですか?」
「ん、アーシアや鶇も使うといい」
そう言って、それぞれに袋を手渡すゼノヴィア。
「?ありがとうございます」
アーシアは渡された物が何なのかさっぱりっと言った様子でゼノヴィアに礼を言う。
「あ~。これってあれだよね~。コン…」
「言わんでいいッ!!」
鶇は知っていたのか、バカ正直に品名を口にしようとしたが、状況がさらにややこしくなりそうだったので、口を挟んで強引に遮る。
「何々?また兵藤がやらかした?」
桐生が面白そうな事を見つけたと言わんばかりに楽しそうに割って入ってきた。
「桐生さん、これ何ですか?」
「ああ、これはねぇ…」
桐生が耳打ちで品名と使用用途を教える。
「っ!?」
途端にアーシアは顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「こら桐生!?アーシアに要らん事を…」
「でも兵藤さぁ、良いのかなぁ?ゼノヴィアっちを抱いちゃったらぁ、アーシアがかわいそう…」
「桐生さん、やめてくださいィィッ!?」
イッセーの言葉を遮って喋っていた桐生の口をアーシアが慌てて塞ぐ。
『このウンコ野郎ッ!!』
ドゴンッ!
「ぐわっ!?」
アーシアのそんな反応を見て、松田と元浜が嫉妬による怒りに任せてイッセーを殴り倒し、二人してそれぞれ首と足に関節技を決める。
そんな二人をアーシアと鶇が止める。
「松田さん、元浜さん!イッセーさんは悪い人じゃありません!イジメないでください!」
「そうだよ~!イッセー君をイジメちゃダメ~!」
「ううぅ…二人だけだよ。俺の味方はぁ…」
「私はイッセーさんの事をずっと信じてますから」
「私もだよ~」
二人の信頼に涙を流しているイッセーにゼノヴィアが避妊具を手に話し掛ける。
「イッセー。それで、性行は予定だが…」
「だからよせッ!!」
イッセーは松田と元浜を振りほどいて、ゼノヴィアの手から避妊具を慌てて取り上げる。
「一体どうしたと言うんだ?」
とりあえず、未だにこの状況やイッセーが慌てている理由を理解してない、この世間知らずのバカ剣士(ついでに再び喚き出そうとする松田と元浜も)にハリセンを叩き込むのだった。


「今日の英語の時間は、今渡した紙粘土で好きなものを作ってみてください。動物でも人でも家でも、なんでも構いません。自分の思い描いたありのままの表現を形にするのです。そういう英会話もあるのです♪」
ねえよ!?ってか、最早英会話ですらねえよ!?
意気揚々と告げる英語担当の先生に内心で盛大にツッコム!?
公開授業当日、俺達のクラスは英語の授業でやる事になった。
のだが、開始早々、先生が目の前に置かれている紙粘土を全員に配り終えるなり、首を傾げている俺達にさっきのセリフを告げたのだった。
どこの世の中に紙粘土の粘土細工が英会話になる英語の授業があるんだよ!
普段はエロがからむと、いろいろと破天荒な行動をするイッセーだが、それを除けば基本的には常識人なイッセーも俺と同じ想いを抱いているのか、思いっきり頭を抱えていた。
んで、他の生徒達も困惑しているかと思えば、普通に何を作るか思案している者や、既に作業に取り掛かっている奴もいた!?
あれ!?俺とイッセーの方が常識的じゃないって言うのか!?
保護者の方々も誰も疑問を抱かず、俺達の授業風景を静観しているし!?
あれ?もうなんか、何が正しくて、何が間違いなのか分かんなくなってきた…。
だが、これだけは間違いと思える。
姉貴ぃぃぃっっ!?!?あれほど正装してこいって言ったのに、私服で来てんじゃねえよ!?
周りが正装している中で目立ちまくりだ!
まあ、素直に言う事を聞いてくれるとは思っちゃいなかったし、窮屈だからそう言う服装はしたがらないって言うのも知ってはいたが、それでも常識的な心があると信じたが、信じた俺がバカだった!?
クソッ!してやったって言いたそうな笑顔でこっちを見るな!
「アーシアちゃん、ファイトよ!」
「アーシアちゃん、かわいいぞ!」
おじさんとおばさんは熱心にアーシアの事を応援していて、かなり目立ってた。
おじさんに至っては、実の息子のイッセーをそっちのけで手に持つビデオカメラを熱心に回していた。
……今頃、兄貴もあんな感じなんだろうな…。
千秋に同情しつつ、とりあえず、何を作ろうか、思案してると、ドレイクが話し掛けてきた。
『なあなあ、明日夏。俺にやらしてくれよ♪』
よし、無視だ。
こいつに任せたら、何を作るか分かったもんじゃねえ。
「ひょ、兵藤君…」
再び、思案を始めようとしたら、先生が上擦った声でイッセーを呼んでいた。
気になって、イッセーの方を向くと、イッセーの手元には手でこねて作ったとは思えないほどのリアルな完成度を持った部長の等身大の紙粘土像があった。
「あれ、リアスお姉様じゃない!?」
「そうよ、すごいそっくり!?」
あれは最早、そっくりってレベルじゃなく、完全に模写の域だ。
途端に他の生徒達がイッセーの周りに集まりだす。
おーい、今授業中な上、保護者の方々の目もあるんだぞ。
本来なら注意する立場である先生もイッセーの作品を見て、相当興奮して感心していた。
「素晴らしい!君にこんな才能があったなんて、兵藤君!」
「ああいえ、適当に手を動かしてただけで…」
「フッフッフ、手が覚えているほど、触りまくっている訳ねぇ♪」
桐生がメガネを光らせながら、イヤらしい笑みを浮かべて言った言葉に周りの生徒達が騒ぎ出す。
「クソッ!やっぱイッセーの野郎ぉ!」
「リアス先輩とぉ!」
「嘘よッ!?」
「リアスお姉様が野獣とそんなァッ!?」
まあ、実際はそこまでの事はしてないと思うがな。
「ほえー、完成度高けーなオイ♪」
って!?何混ざってんだ姉貴ィィィッ!?!?
姉貴の登場に周りのみんなも驚く。
「今度、私と千秋のも作ってもらおうかなぁ♪」
「あ~、私のも~イッセーく~ん♪あと、燕ちゃんのも~♪」
「あ、でも、その為にはヌードを見せて、お触りありじゃないといけないのかなぁ?」
「?私は良いよ~」
「私もまあいっか♪一緒にお風呂入った仲だし♪」
姉貴と鶇の発言でさらに教室内がざわつく!
特に男子のイッセーに向ける殺意が凄まじい。
……って言うか姉貴それ、小学生の頃の話だろうがよ…。
「なあ、イッセー。俺の芸術と交換してやっても良いぜぇ?」
「そんなゴミより、俺は五千円出すぞォッ!」
「私は七千円出すわ!」
「リアスお姉様のお身体は渡せないわァッ!」
……なんか、松田の発言を皮切りに競りが始まりだした…。
次第にヒートアップしていき、終いには姉貴と鶇の言葉を真に受けた連中が姉貴と千秋、鶇、燕の像も買おうとする輩が出てきたり、他のオカ研の部員の像を頼む奴まで出てくる始末だ。
急遽、英語の授業はオークション会になってしまった。
「父さん!うちのイッセーが!」
「性欲だけが取り柄のダメ息子かと思ったが、これは将来金になるアーティストになるかもしれんぞぉ!」
わー、すげえ前向きだなぁ、おじさん、おばさん。
テンション上がり過ぎて、周りの親御さんから引かれてるけど。
「私は誤解していたよ。公開授業とは賑やかに大騒ぎする余興だったんだな」
……んな訳ねえだろ…。
って言うか、やべ。
だんだん、ツッコミから覇気が失せてやがる。
っと言うか、もう、ツッコムのも疲れた。
「……ドレイク。後は好きにしろ…」
『よっしゃー♪な~につっくろうかな~♪』
この混沌(カオス)な状況に心底疲れた俺は、後をドレイクに任せて、現実逃避をする事にした。


「よくできているわねぇ」
俺が作った見事な力作と言える部長の像を見て、部長が言う。
昼休み、明日夏、アーシア、鶇さん、千春さんと飲み物を買いに出ると、自販機の前で偶然にも、部長、朱乃さん、千秋、燕ちゃん、神楽、冬夜さんと遭遇した。
って言うか、千秋と燕ちゃんがものすごく辟易としていた。
それに対して、冬夜さんはものすごく満足そうな顔をしていた。
その様子から、千秋達もいろいろあったみたいだ。
ちなみに、神楽は何処と無く、楽しそうな様子だ。
「あらあら、流石、毎日部長のお身体を見て、触っているイッセー君ですわね」
「ま、毎日なんて朱乃さん。機会がある時に脳内に焼き付けるのです!」
今じゃおっぱい、くびれた腰、太もも等が全てパーツごとにタグを付けて脳内に保存されているくらいです!
「今度、私も作ってもらおうかしら♪」
「あ、先に私と千秋が予約してるから♪」
「ええぇっ!?」
「次は私と燕ちゃんだよ~♪」
「ちょっと!?何勝手に!?」
「あらあら、先を越されてしまいましたか」
「じゃあ、次は私もお願いしま~す♪」
「でも、ヌードとお触りありじゃないとダメっぽいよ」
「もちろん、脱ぎますわ♪お触りもありで♪」
『ええぇっ!?』
「私はいつでもオ~ケ~だよ~♪」
「えっと、耳と尻尾のお触り無しだったら大丈夫ですよ…」
な、何故かどんどん、お触りもありのヌード観賞会に突入しちゃいそうな勢いなんですけどォォッ!?
何より、お触りもあり!?
こんな創作意欲を刺激する日本語があったのかァァッ!!
え、良いの!マジで良いの!
『ダメよ(です)ッ!!』
「……ああ、やっぱり…」
部長とアーシアは手厳しい事です…。
「アハハハハ!」
俺達のやり取りが面白かったのか、冬夜さんが盛大に笑っていると、突然、興奮気味の大勢の男子が目に入った。
中には松田と元浜もいた。
「魔女っ子の撮影会だとォォォッ!!」
「これは元写真部として、レンズを通して余す事無く記録せねばァァァッ!!」
『ウオォォォォォッッ!!!!』
そのまま、体育館へと爆走して行ってしまった。
「魔女っ子?」
「まさか!?」
「あらあら、うふふ」
『?』
部長と朱乃さんは何か心当たりがあるみたいだ。
とりあえず、気になった俺達は男子達の後を追って、体育館に向かう事にした。


体育館に入ると、興奮気味にフラッシュを焚いている男子達と壇上に撮影対象である、魔法少女のコスプレをした少女がノリノリでポーズを取っていた。
「あれは?魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブのコスプレじゃないか!」
「ずいぶん詳しいな、イッセー?」
「あるお得意様の付き合いでアニメの全話マラソン観賞をした事があってな」
「それで詳しくなったと」
俺の脳内にミルたんの姿が浮かび上がる。
最初は怖かったが、今じゃ立派な数少ない俺のお得意様だ。
「コラー!学校で何やってんだ!」
いつの間にか、壇上に登っていた匙が注意を促していた。
「ホラ!解散、解散!」
「横暴だぞ生徒会!!」
「撮影会くらい良いだろ!!」
『そーだそーだ!!』
「公開授業の日に要らん騒ぎを作るな!解散しろ!」
男子達は渋々としながら、文句たらたらで解散していった。
へえー、あいつの生徒会の仕事をしているとこ、初めて見たけど、結構様になってんな。
今度は騒ぎの元凶たる魔法少女に注意を促していた。
「あのー、ご家族の方でしょうか?」
「うん!」
「そんな格好で学校に来られると、困るんですが…」
「え~?ウフ☆ミルミルミルミルスパイラルー☆ペロッ☆」
匙の注意などどこ吹く風でポーズを取って舌をペロっと出していた…。
とりあえず、声を掛ける事にした。
「だから、真面目に!」
「よお、匙。ちゃんと仕事してんじゃん」
「からかうな、兵藤!」
からかってるつもりは無かったんだけどなぁ…。
「へー、もしかして、ああ言う正装もOKなの?だったら、私もああ言う正装で来るのに♪」
千春さんが冗談なのか本気なのか分からない様子で言う。
瞬間、明日夏から緋色のオーラがほとばしり、千秋から旋風が巻き起こった!?
「お、落ち着け、二人共!?多分、千春さんの冗談だと思うから!?」
俺は慌てて、二人を諌める!
「退けッ、イッセー!ノリが軽い姉貴が冗談を現実にする事を知ってるだろうが!」
「退いて、イッセー兄!このままだと、来年は千春姉を殺して私達も死ぬ事になる!」
確かに、千春さんは冗談を次の日には現実にする事が多々あった。
このまま放っておけば、来年、マジで魔法少女みたいなコスプレで公開授業に来かねない。
「キャー、弟と妹がお姉ちゃんをイジメるよー、イッセー」
棒読みで悲鳴をあげて、俺の後ろに隠れる千春さん。
千春さんのせいでこんな事になってるんですから、なんとかしてくださいよ!
「アッハッハハハハ!!」
冬夜さんは冬夜さんで盛大に爆笑してるし!?
ガラッ!
「サジ、何事ですか?」
そこへ、会長が颯爽と現れる。
会長の登場で一先ず二人はオーラと風を収めてくれた。
「いえ、会長。この方が…」
「ソーナちゃん、みーつけた!」
「っ!?」
匙が事情を説明しようとしたら、魔法少女が割って入ってきて、会長が魔法少女を見た瞬間、狼狽しだす!
「もしかして?」
「か、会長のお知り合いとか?」
「ソーナちゃん!」
疑問に首を傾げる俺らを余所に、魔法少女は嬉々としながら会長に駆け寄る。
「ソーナちゃん、どうしたの?お顔が真っ赤ですよ?せっかくお姉様との再会なのだから、もっと喜んでくれても良いと思うの!「お姉様!」「ソーたん!」って抱き合いながら、百合百合な展開でも良いと思うのよ、お姉ちゃんは!」
「………」
会長がものすごく、目元を引きつらせて、冷や汗掻いちゃってるよ。
って言うか。
「お姉様?」
「まさか…」
「セラフォルー・レヴィアタン様よ」
「現四大魔王の一人、そして、会長のお姉様だ。って、俺もお会いするのは初めてなんだが」
「ええぇっ!?」
「おいおい…」
驚愕する俺と若干引いてる明日夏。
って言うか、この人が女性魔王である、レヴィアタン様!?
てっきり、フェロモン漂う魅惑なお姉さんを想像してたのに!?
まさかこんな、魔法少女のコスプレをしている様な少女だったとは!?
いや、美少女には変わり無いんだろうけど、それでもやっぱり驚きを隠せないよ。
「本当はお姉ちゃんに会えて、とってもとーっても嬉んでしょ?」
嬉々としながら会長に話し掛けるレヴィアタン様に部長が歩み寄る。
「セラフォルー様、お久しぶりです」
「あら、リアスちゃん!おひさー☆元気してましたかー☆」
「はい、おかげさまで。今日はソーナの公開授業へ?」
「うん!ソーナちゃんったら酷いのよ!?今日の事を黙ってたんだから!?もう、お姉ちゃんショックで天界に攻め混もうとしちゃったんだからー!」
冗談なのか本気なのかさっぱり分からけど、下手すると本気っぽいかも。
レヴィアタン様が俺の事を視界に捉えると部長に尋ねる。
「リアスちゃん、あの子が噂のドライグ君?」
「はい。イッセー、ご挨拶なさい」
「は、はい!」
レヴィアタン様に近付いて、頭を下げる!
「はじめまして!兵藤一誠です!リアス・グレモリー様の兵士(ポーン)をやっています!」
「はじめまして☆魔王のセラフォルー・レヴィアタンです☆レヴィアたんって呼んでね☆」
「……は、はい…」
正直、ちょっとこのノリには付いていけてなかった…。
「お姉様!私はここの生徒会長を任されているのです!いくら身内と言えど、その様な行動や格好はあまりに容認できません!」
「そんな、ソーナちゃん!?ソーナちゃんにそんな事言われたら、お姉ちゃん悲しい!?お姉ちゃんが魔法少女に憧れてるって知ってるでしょう?」
どこかで聞いた様なセリフだなぁ。
再び、脳内にミルたんの姿が浮かび上がる。
「煌めくステッキで天使、堕天使を纏めて抹殺なんだから☆」
「お姉様、ご自重ください!お姉様が煌めかれたら、小国が数分で滅びます!」
お互い、物騒な事を言ってるな…。
ふと、気になった事を匙に聞く。
「なあ匙」
「ん?」
「コカビエルが襲ってきた時、会長はお姉さんを呼ばなかったけど、仲が悪いからって訳じゃないよな?」
「……あの様子じゃ、むしろ逆だろうな」
「うふふ、その通りですわ。セラフォルー様が妹君であるソーナ会長を溺愛し過ぎているので、呼ぶと逆に収集が着かなくなると」
「た、確かに、妹が堕天使に汚されるとか言って、即戦争になってたかもしれません…」
妹思いな魔王様だなぁ…。
「もう、耐えられません!?」
ついに限界が来たのか、会長が目元を潤ませながら、この場から走り去ってしまう!
「待って、ソーナちゃん!?」
「来ないでください!?」
そんな会長を追いかけて、レヴィアタン様もこの場から走り去ってしまう。
「じゃあ、俺、会長のフォローしなきゃだから」
「お、おう、頑張れよ」
匙も会長のフォローの為に二人の跡を追っていった。
「あいつも大変だな…。それはそうと、部長、一つ聞きたいんですが、現魔王って…」
「……あまり言いたくないのだけれど、貴方が考えている通りよ、明日夏。現四大魔王の方々はどなたもこんな感じなのよ」
「こんな感じ?」
「プライベート時が軽いって事だよ」
そう言って、冬夜さんと千春さんを睨む明日夏。
なるほど、納得だ。


「おお!イッセー!」
「ん?父さん?」
あの後、校舎の正面広間に移動すると、偶然そこにいた父さんに声を掛けられる。
声がした方を見ると、父さんと母さんと一緒に紅髪の男性と一緒にいた?
「リアス、こんな所にいたのか」
「お父様?」
え!?部長のお父さん!?わ、若ァァッ!?
「君が兵藤一誠君か。リアスの父です。娘が世話になっているね」
「ど、どうも!……父さん、どうして?」
「偶然、廊下ですれ違ってなぁ。ここで長話もなんですから、狭いですが、我が家でいかがですか?」
「おお!それは願ってもない!」
『ええぇっ!?』
驚嘆の声を上げる俺と部長を余所に、父さん達は身を翻す。
「じゃあ、父さん達、先に帰ってるからな。お父さん、結構行ける口ですか?」
「ハハハ!いやあ!」
……父さん、部長のお父様になんつう軽口を…。
「ハッハッハ!これは良い!」
豪快に笑い声をあげながら、サーゼクス様がやって来た。
「お兄様?」
「今日は父上も含めて宴会の様だな♪」
「僕も久々にお邪魔になろうかな♪」
『はぁ…』
楽しそうな様子のサーゼクス様と冬夜さんを見て、部長と明日夏が深い溜め息をつく。


「アーシアちゃん、よく映ってるわぁ!」
「は、恥ずかしいですぅ…」
「イッセーは落ち着きが無くていかんなぁ」
「明日夏ももう少し、鶇ちゃんみたいに楽しそうにやれば良いのに」
現在、兵藤家にて今日の公開授業を撮ったビデオ鑑賞会が行われた。
んでもって千秋、部長、燕はものすごく、憂鬱そうだ。
っと言うか、俺もなんだけどな。
とりあえず、台所でおばさんの手伝いして、おじさんが撮ったビデオが終わるまで現実逃避でもしてよう。
「次は千秋達のも観てみましょうか」
「お、冬夜君、バッチリ撮ってる様だね!」
「かわいい妹の晴れ姿ですからね!お兄ちゃんとしては張り切りますよ!」
「ハハハ!その気持ちはよく分かるよ!」
映像が変わり、千秋達のクラスの授業風景が映し出される。
映像にブレは無く、非常にキレイに撮れていた。
あ、千秋と燕が顔をテーブルに突っ伏してしまった。
おそらく、顔は真っ赤だろうな。
まあ、映像でも真っ赤で、プルプル震えているが。
映像を見ると、千秋だけでなく、燕や神楽もバッチリ映っていた。
「来られなかった雲雀と神音の分までちゃんと観てあげないとね♪」
神音とは、神楽の姉の名だ。
どうも、忙しくて、来てやれなかったそうだ。
もっとも、雲雀さんもそうとは限らねえけどな。
あの人、素直じゃねえからな。
「次はリアスのも観ましょう」
「おお!やはり、撮ってましたか!」
映像が変わり、今度は部長が映し出される。
「ハハハ!やはり、娘の晴れ姿を視聴するのは、親の務めです!」
部長のお父さん、酔いが回っているのか、ものすげぇテンションだな。
「……これは、かつて無い地獄だわ…」
「観てください!うちのリーアたんが、先生にさされて答えているのです!」
「もう、耐えられないわ!?お兄様のおたんこなす!?」
限界に達したのか、部長がリビングから去って行ってしまった。
「部長!」
そんな部長をイッセーが追う。
『ハッハッハッハ!!』
リビングには酔いでハイテンションになった保護者達の盛大な笑い声が響く。


部長を追いかけて、二階に上がると、部長が俺の部屋の前で踞っていた。
「あの、部長、俺の部屋に入りますか?」
部長は静かに頷く。
ボフッ。
部屋に入るなり、部長はベットダイブし、枕に顔を埋めてしまう。
「ま、まあ、俺の親と部長のご両親がこうして出会って、仲良くなるって言う事は悪くないと思いますし…」
「……分かってるわ」
まあ、それでも、恥ずかしいものは恥ずかしいだろうなぁ。
「……ねえ、イッセー」
「はい?」
「……イッセーは私と出会えて良かった?」
「え?」
「……私は幸せよ」
「光栄です!俺だって、部長と出会えて超幸せです!……でも…」
「……でも?」
「あ、ああいえ…」
……いつか部長にも彼氏ができるのかと思うと…。
「……っ…」
唐突に俺の口が部長の唇で塞がれた!
って言うか、キスゥゥゥッ!?!!
俺、部長とキスしちゃってるよぉぉぉっ!?!?
一体何事ですかッ!?
パチッ。
暗かった部屋に唐突に明かりが灯る!
「部長さんばっかりズルいですゥゥッ!?」
『………』
「先手必勝♪朱乃との争いで学んだ事よ♪」
それを聞いたアーシアが俺の首に手を回して抱きついてきた!
「だったら、私は後手必勝です!」
「何よそれ?」
って、今度は前から千秋が、後ろから鶇さんが抱きついてきた!
「イッセー君の後ろを確保~!」
「………」
「ちょっと!?貴女達!?」
「おやおや、ケンカは良くないぞ」
キスの余韻が抜け落ちないまま、アーシア達に抱きつかれて、困惑していると、サーゼクス様が明日夏と冬夜さんと千春さんを引き連れて現れた。
「リアス、ちょっと思い付いた事があるんだが」
「なんでしょう?」
「そろそろ、もう一人の僧侶(ビショップ)を解放しても良いんじゃないかと」
「えッ!」
もう一人の僧侶(ビショップ)?そんな眷属が部長にはいたのか。
事情を知らない俺や明日夏達が首を傾げてると、部長が答えてくれた。
「能力が危険視されて、私の力では扱いかねると封印されていたの」
き、危険って!?
「これはお兄様のご判断だったはずよ?」
「その通りだ。だが、フェニックスやコカビエルとの戦いを見て、考えを改めたのだよ」
「では?」
「あれから眷属も増えて、戦力も増強もした事だし、もう任せても大丈夫だろう。解放したまえ、リアス」
「お兄様…いえ、大魔王ルシファー様のご命令であれば」  
 

 
後書き
アニメでは、いよいよディオドラ戦!イッセーにボコボコにされるディオドラが待ち遠しいです!  
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