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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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Epilogue 物語は終わらない
  Story-Final 俺たちの終わらない物語

シャオンside

あのパーティが終わってうちに帰ってアミュスフィアでログインする者、エギルの店でそのままログインする者、会社からログインする者といろいろいたが順調に皆二次会会場であるアルヴヘイムの地に降り立ってきていた。

「シャオン君こっちだよー」

「おい、待てって!!」

俺は前と変わらずインプ、桜華はウンディーネを選んだ。俺の姿はほとんど変わらず、桜華もほとんど変わらないが髪の色はきれいな水色となっていた。

その理由はちょっと前にでた……コンバート出来る機能だ。これによりSAOプレイヤーが新ALOへとキャラデータを引き継ぐかどうかを選択できるようになった。ほとんど……いや全員がSAOのデータを引き継いでALOへと新しく参入してきた。キリトにも俺が無理やりコンバートさせた。


ふと星空が目に入ったのでそちらに意識を移すと1人の少女が月めがけてロケットのように飛んでいるのが見えた。

「あれは……マリン、だよな」

「そうね。何してるのかしら」

新生ALOになってから飛行時間の枷は外されたが宇宙までいけるようにはなっていない。なので飛んでいるうちにも飛行限界高度に到達してしまう……と思っていると重力に逆らわず落ちてきた。

「ちょっと待ってろ。アイツのとこ行ってくる」

「いってらっしゃい」

それだけ言ってマリンのところまで行く。雲を突き抜けた先で落ちてくるマリンを受け止める。

「あらよっと……迎えにきたぞ」

「セイ兄……ありがと」

マリンは再び翅を震わせて飛んだ。

「でも……私はセイ兄まで届かないよ…………」

「なんだよ、唐突に」

「私の気持ちも……みんなとの思い出も……セイ兄には…………届かないよ」

「…………言いたいことは……言わないと伝わらないぞ」

ここで、俺は始めてマリンの気持ちを知った。

「私ね……ずっとセイ兄のこと好きだったの。お兄ちゃんみたいな人だったからなのか別の理由なのかは知らないけど、好きだった。

でも……帰ってきたセイ兄を見て、思ったの。セイ兄には私の思いは届かないんだろう……って」

悲しみに包まれた顔が思いの強さを物語っていた。

「セイ兄たちのいる場所は……遠すぎるから……皆のいる場所……そこまで行けないよ……」

「そんなこと、ない」

「でもあたしにはあの城の思い出……絆なんてない!!」

涙を流しながらマリンは大声で叫ぶ。

「なければ作ればいい! 作るのが大変なら俺たちが手伝ってやるから!

さぁ、行くぜ」

俺はマリンを連れてイグドラシルシティの真上まで行く。

「わぁっ!?」

「ちょっと遅かったか……?」

そのまま上空に浮かぶ満月を見上げる。まだ変化が見えないのでマリンは不思議そうな顔をしているが次の瞬間、その表情も驚きへとどんどん変わっていく。

「月蝕?」

「外れ。よーく見てみろよ」

その時、アルヴヘイムでなっていた音とは違う鐘の音がアルヴヘイムの鐘とあわせて鳴り響く。

それと同時に月蝕と思われていた影が月全体に覆いかぶさりその輪郭が全て俺たちの目に入る。


突然その物体自体が発光し、細かい部分まで目に入るようになる。その細かい部分とは建物、とてつもなく大きい層が何十も連なっている。建物にしては規格外の大きさを誇る全長10キロ以上の城。

「あ、あれって……まさか……!」

「あれが俺たちの2年間いた城……浮遊城アインクラッドだ」

「で、でもなんでここに?」

会話の間にアインクラッドはその速度を緩め、世界樹の上部の枝とわずかに接するほどの距離で停止した。

「データが残ってたんだ。ま、難しい話はわかんないけど……俺には目的がある」

「え……」

「完全クリアだ。

前は3/4で終わったからな。今度こそ1から全部攻略しきってあの城を完全制覇するんだ……なぁ、マリン」

「何?」

「あの城をクリアするの、めっちゃムズいんだ。だからあの城制覇するのに……ひとっ走り付き合えよな」

マリンは俺の顔を直視したまま涙を流す。彼女の顔は笑顔ままだが、歓喜の涙は止まっていない。

「うん、行くよ……どこまでも、一緒に……!!」

行こうぜ、と言おうとした瞬間に下から聞いたことのあるお調子者っぽい声が聞こえてきた。

その方向を見ると紅い髪にバンダナを巻いて、腰に刀を差したクラインがいた。

「おーい、遅ぇぞシャオン!」

さらにその下にはノームの証の褐色肌を光らせて、巨大なバトルアックスを背に担いだエギル、二人並んでレプラコーン専用の銀色のハンマーを携えたリズとミズキ、ピナと並んで飛んでケットシーの尻尾をたなびかせたシリカがいる。他にもユリエールとシンカー、ふらふら運転なサーシャにいつの間に来たのかサクヤやアリシャ、ユージーン将軍。さらにレコンやほかにもぞろぞろとこの城を待ちわびていた面々が。

「ほら、置いてくぞ!!」

クラインが声を残して一気に飛び立つと他のパーティも我先にとスピードを上げる。

「お先!」

「ほらほら、早く」

「シャオンさん!」

「のんびりしてたら置いてかれるよー」

エギル、リズ、シリカ、ミズキも同じく上昇していく。

「スグ、覚悟はいいか? あの城は厳しいぞ」

「リーファちゃん、一緒に頑張ろ!」

「頑張りましょー!」

「うん!」

そういってキリト、アスナ、リーファ、ユイは一旦ここに止まる。

そして……目の前に、レイを肩にのせたフローラと妖精体のミリーが来た。

「さぁ、行こう、マリンちゃん!」

「私も一緒です!」

「行きましょう!」

フローラの手をおずおずと握るマリンににこりと笑い、背中の翅を震わせて身を翻す。そんな2人を見て、またアインクラッドを眺める。


ここでは本当にいろんなことがあった。いろんな経験が今の俺を作った。キリトたちとの出会いやリーファとあの城を攻略することだって元はといえばこの城があったからこそ。

物語が始まったアインクラッド、終わったアルヴヘイム。二つが交わるこの場所で再び物語を始めよう。俺たちの……終わらない物語を。

俺は、翅を羽ばたかせると同時に口を開いた。


「さぁ、終わらない俺たちの物語を! ここから始めようぜ!」

これまでも……これからも……俺たちの物語は続くんだ。















ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃
  The Original Storys of Shaon……The End 
 

 
後書き
今日で、この蒼藍の剣閃は終わりを迎えます。さらなるステップアップに向けて、まだまだKZM作品は終わりませんが、シャオンの物語は、ひとまず俺が書くのは終わり。後は皆さんの夢の中で書き加えてあげてください。

聖音&桜華「今まで、蒼藍の剣閃 The Original Storys of Shaonを読んでくださり、ありがとうございました!」


再び紡がれる蒼閃→http://www.hrnvl.com/stories/index/novel_id~14204 
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