| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第100話 少年は世界の闇と出会うようです

Side ―――

―――ワハハハハハハハハハ!

試合が終わって数時間。ネギは突発的に始まった祝勝会(?)が開催されている部屋を静かに

出て、廊下を少し歩く。扉を開けると、そこは街を一望できる広いテラスになっていて、

その縁に立ち、今日と、これまでの経緯を思い出していた。


「ふぅーー……。(よし、一つ終わったな。)」


結局、試合はネギ達とラカンさん達の引き分けとなり賞金が半分になってしまった。

しかしネギ達を認めたと言い賞金を渡した為、のどかさんハルナを解放できた。

ゲート復旧、もしくはゲート発見までの生活費はファイトマネーが全て使えるし、

捜索組が見つけて来た宝物の類を売れば余裕さえある。あとは―――


―――ズグンッ
「ぐっ……!!」


瞬間、事態を楽観したネギを戒めるかのように"闇"が蠢く。

試合の時の比じゃない、その"存在"を感じる程の何かがを内から食い荒らそうと這い出る。


「よぉ、やっぱ傷が痛むか?」
ポン
「っ、あ、ラカンさん……。」


"闇"が更に溢れそうになった時、後ろからラカンの声がかけられ、正気を取り戻した。


「明日菜ちゃんのチート魔法具でも完全には治ってねぇんだろ、癒術師に見て貰った方が

いい。大戦期に世話んなった人に来てもらってっから医務室行って来い。」

「は、はい。ありがとうございます。」


勧めに従って、ネギは素直に医務室へ向かう。

手を振りその姿が見えなくなると・・・ラカンは独り言の様に喋り出す。


「ふん、ありゃ試合の傷なんかじゃねぇわな。『闇の魔法(マギア・エレベア)』の浸食、だろ



短期間にあんだけ使えば、そりゃああなるだろうぜ。」
トッ
「ハッ、知っててガッツリ使わせる方向に持って行くとは酷い師匠も居たもんだ。」


独り言に応えて、何処かからラカンの隣に降り立った愁磨。意図あってか、

"造物主(ライフメイカー)"と同じ揺蕩い蠢く黒い襤褸ローブに身を包んでいる。


「フェイト・アーウェルンクス。『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』、奴らの残党が動いて

る。」

「ああ、知ってるよ。」

「ネギ達も、とっとと旧世界に帰りたがってやがる。」

「近々帰れるだろうよ。」

「ナギとエルザさんも、見えねぇなぁ。」

「心配すんな、近々お目にかかれる。」


真面目なラカンの問いに、飄々と愁磨は答える。その関係はネギとラカンの様に・・・

知らない者と知っている者の質疑応答だ。

既に愁磨が自分達と考えを共にしておらず、敵対する事を"紅き翼(アラルブラ)"全員で決めて

いた

ラカンは戦闘の意思として、確かな怒りと共に闘気を纏う。


お前(・・)何しようとしてやがる(・・・・・・・・・・)?」

「アルから聞いてるだろ、大体その通りだよ。」

「それじゃ、何でネギ達に修業つけてやったりしてんだ?」

「お前も何となく分かってんだろ。あいつらが世界を救うからだ……なんてな。」


嚊々と笑う愁磨に嘆息し、闘気を治める。

最早通過儀礼となった問答だが、いつもの答えとは違う。のらりくらりと躱すモノでなく、

日が近い事も、誰が何かをすべきか答えた。故に――ラカンも自らの立ち位置を決めた。


「なら、俺とお前は敵みてぇだな。」

「いいや。俺達はずっと仲間だよ。」


『共犯者かもな・・・』と呟くと、テラスの縁から飛び降り、夜の闇へ消えていった。

数秒後、ラカンの影が揺らめき脇に水が湧き出て来る。

ヴォン
「く、遅かったようですね。」
パシャッ
「相変わらず神出鬼没な転移魔法を使う奴じゃ。」

「アル、ゼクト。お前ら遅いんだよ……。てか何しに来たんだ。」

「酷い言い草ですね、ジャック。私達はかの宮殿まで行って来たと言うのに。」


アルビレオの言葉にラカンは言葉を失する。10年前から続く、続けて来た戦争の中心。

敵の本拠地に僅か二人で向かい、生きて戻った事に。


「………良く生きて帰って来たな。余裕で死ねるだろ。」

「いえ、それが……もぬけの殻、と言う訳でもなかったのですが。……勿体ぶっても仕方

ありません。アリカ姫と、源しずな、と言いましたか?彼女達が全部教えてくれました。」

「全部、って、全部?」

「ああ、全てじゃ。十中八九本当の事じゃろう、裏も取って来た。」


話しを聞いた二人さえ腑に落ちていないまま、資料に纏められたそれにラカンも目を通す。

内容が難しかったのか、理解に苦しんだのか。寄せていた眉根を更に歪ませ暫し瞑目して、

納得する。アルビレオとゼクトに話させたからこそ、愁磨は来たのだと。


「これが本当なら余計分からねぇんだが……愁磨は、ネギが鍵になるって言ってやがった。



「……確かにあの子は、ナギの息子なだけあって成長著しい。しかしそれは相手も同じ。

彼等と戦うには、後10年必要なのは間違いありません。この差は、とても大きい。」

「それでもなお必要じゃと言うのじゃから、欠かしてはいかんのじゃろうなぁ。」


ならば――と三人の思考が重なる。

既に思惑を散々話し合った彼らは、ただ静かに突き出した拳を合わせ頷いた。


「うーーっし!んじゃぁ大人は夜遊びに行きますか!」

「やれやれ、長い夜遊びになりそうですね。ゼクト。」

「分かっとるわ。年寄りは子供と一緒にお留守番しとる。」


軽口をやり合い、最後にまだ姦しい騒ぎが続く部屋を仰ぎ見てラカンとアルビレオは

愁磨と同じく夜の闇に消えていった。残ったゼクトは獰猛な笑みで――


「さぁて、ワシは雑な出来の小僧を見とくかの。」


更なるネギの苦難を思い喜ぶのだった。

Side out


Side ネギ

「姉ちゃんら解放して目的達成、この格好ともおさらばやな。」

「この姿も街じゃ有名になっちゃったしね。お祭り中なら賞金首でも動けるし。」
ポンッ

次の日、動く事になった僕らは用済みになった大人モードから元に戻る。

と言っても今日は近況報告と準備を兼ねた日。何だかんだでこの世界に来てからぶりの

全員集合だ。


「おーい、先生。やつら帰って来たぜ。」

「本当ですか!」


噂をすれば影、上で待機していた千雨さんに呼ばれていつもの闘技場地下の隠れ家的集合

場所に向かうと、闘技場に残って居た皆と、帰って来た古さん達三人が再会を祝して、

ええっと、抱き合って"いた"・・・んだろう。いつも通りもみくちゃになっていた。


「お前ら……ものの数分でどうしてこう……。」

「それを語ると長くなるのだが、聞きたいかね?千雨嬢。」

「大体想像出来るからいらねぇ。朝倉、忍者、とっとと報告しやがれ。」

「ほいほいでござるよ~。」


くんずほぐれつしていた皆を無視した千雨さんが冷静に拒否と指示をした所で

"天狗之隠蓑"に逃げていた長瀬さんが現れ、ゲートの捜索の報告を纏めた資料を渡すと

また籠ってしまった。忍者らしい。ペラペラとめくっていると一段落した朝倉さん達が

戻って来たので、皆を交えて情報収集班との報告も一緒に精査する。


「凄い!こんなに早くゲートポートまで発見出来るなんて。」

「へっへーん、もっと褒めなさい!」

「明日菜はほっとんど何もしなかったけどねー。」

「う、うっさいわね!私だって戦ったでしょ!?一番活躍したじゃない!」

「おい忍者、こいつしまっとけ。」

「アイアイ。」

「っちょっ、ま――!」


騒ぎ始めた明日菜さんが早々に退場したのを横目に報告会を再開する。

ゲートポートは旧王宮のほぼ中央部にあるのを遠目ながら発見し、周辺の魔物の種族や

属性が9割方判明している。その中でも目を引く物が二つ――


「王宮の入口に大型ゴーレム二体ですか。それに、外れにあるこれは映画に出て来た。」

「そう、やっぱ気付いたね。でも今は関係ないよ。」

「は、はい、すみません。」

「いいや、関係無いと言うのは早計だと思うよ、お嬢さん。」

「あらまっつぁん、どういう事?」


また戦う事に考えが行きかけた所で窘められて反省した所で行方不明になっていた

刹那さんが現れ、その影からゾリュンヌと松永久秀とゼルクが這い出て来た。

更に異常な登場に慣れていたせいで、そちらよりもその風貌が普段と違う事に目がいく。

フル武装している上にあちこちボロボロだし、凄く・・・疲れている。


「えぇと、何が……?」

「ふむ、端的に言えば旧王宮に侵入しようとしたら返り討ちに遭った――と言う所かな。

いやはや、あのゴーレムには驚いたよ。」

「か、返り討ち!?あなた達三人が!?」


独断専行(ただの協力関係なんだから違うか)にも驚いたけれど、この三人が勝てない

どころか返り討ちに遭った方が驚きだ。三人合わせたら魔王さえ倒せるであろう

この人達が勝てなければ僕らでは突破は難しいだろうから、やっぱり他の手を考えないと

いけない。だけど・・・。


「関係無く無いと言うのはどういうことですか?」

「お前達は何を調査しておったのじゃ。そこらの文献に書いておったぞ。」


放られた本を慌てて受け取って見ると・・・明らかにそこらに置いていなさそうな、

とても古い紐綴じの紙の束。タイトルは何故かあちらの世界の文字で"オスティアの歴史"と

ある。注釈付きの丁寧に張られた付箋からゲートポート関連のページを開いて目を通す。


「王宮のゲートポートのみ、保安の為起動権限を三分割。一つは王宮最下層、もう一つが

"墓守人の宮殿"最上部と最下部に設置……!?」

「えーっと、つまり……どういう事?」

「あたしらが帰るにはその三カ所を同時に操作しなきゃいけねぇってこった。

ラスダンもぐらねーでクリア出来る様な欠陥は残さないわな、そりゃ。」

「「「「えぇぇぇええええええええええええええ!?」」」」


千雨さんの分かり易い、絶望的なまとめに皆が頭を抱えて騒ぎ出す。

予想はしていたけれど・・・本当に、全部に決着をつけなければいけない事になるとは

思わなかった。愁磨さんと父さんが残した"最後の地"と言うキーワード、拠点の特殊な

状況のみで発揮される重要性、そしてクウネルさんやゼクトさんが何度も潜入している。

これらから導き出される答えは一つしかない。・・・けれど、それがもし当たっていたら。


「(僕に何が出来る・・・?理論だけ出来ているあれが完成したとして通じるのか?

あんな、別次元にいる人達の本気に?)」

「どうするよ、先生?」

「えっ!?」


呼ばれてハッと顔を上げると、皆が心配な顔でこちらを見ていた。

駄目だ駄目だ。一応僕がリーダーなんだから、不安になっていちゃいけない。

今考えるべきは皆で帰る事、それだけだ。


「…いずれにせよ、フェイト達とは関わりになる運命のようです。

しかし、あくまで僕達の目的は『全員無事に麻帆良に帰る事』です!

これを絶対条件として、クウネルさん達と合流、ゴーレムを撃破して王宮に侵入し

ゲートポートを再起動して現実世界へ帰還します!皆で帰りましょう、麻帆良学園へ!」

『『『おおおおーーーーー!!』』』


問題は山積みだし、分からない事ばかりだ。だけど、僕達が出来るのはこれだけだ。

皆に話していない事もある。話しても仕方ないし話したら怒られそうだし・・・

心配させるだけだから――なんて、ただの言い訳なんだよね。


「作戦開始は30時間後、それまで各自身体を休めてください!」

「あいよ!んじゃご飯食べ行く人ーー!」

「いくいくー!あんたも行くわよネギ!」

「えっ!?あっ、明日菜さん!?」


号令と共に半分以上が連れ立ってご飯を食べに行くのに、首根っこを掴まれ引き摺られて

行く。僕はまだ詰めたい話が――と思ったけれど、参謀部(勝手に命名)の三人がその場で

話し合いを始めたので、仕方なくつられるままにした。

・・・欲を言えば、のどかさんと二人で行きたかったなぁ。

Side out


Side ―――

「むぅっ!これは……珍味!?イキますかいいんちょ?にゅーしょっかんです。」

「イキません!なんですかその毒々しいアイスは!?大体買い食いなどはしたない…!」


休みを利用して来たアリアドネ―の仲良し四人組の先頭。雑踏の中、夕映が出店で買った

体に悪そうなアイスを勧められたエミリィはいつものお堅い思考を持って拒否する。

しかし傍目からは仲の良い友達に見えるのだろう。後ろを並んで着いて来ている

コレットとベアトリクスは『相変わらず仲良いなー』などと話しながらアイスを舐めつつ

生暖かい目で見ているし、出店の店員からはからかいと共にクレープならどうかと

勧められては一々反応し思い出した様に怒る。


「休みが貰えたのはうれしいけど、出来たら昨日が良かったねー。」

「何度もうるさいですわね!わたくしだって見たかったです!本当に見たかったです!

あぁ、それにしてもナギ様の試合……何度思い出しても素晴らしいですわ!」


怒っていたかと思えば、昨日のネギの試合を思い出して恍惚とした表情を浮かべる。

『また始まった・・』と生暖かい目で見た後、三人は何も見なかったと先に歩いて行く。


「にしてもあの戦いマジやばかったよねー。よく闘技場壊れなかったと思うよ。」

「噂ではあの精霊砲を防いだお墨付きの魔法障壁、普通ならラカン様の攻撃だけで

破壊されてたそうですよ。上から追加の障壁が展開されていたとか。」

「あの場でそんな障壁を張れる距離にいるとしたら、ノワールせ…様くらいです。

最終的に4対1だったと言うのに、理不尽なまでの強さですね。」


アイスを食べながら、戦術や魔法技術の話をする少女達に別の意味で振り返る人多数の中、

正気を取り戻したエミリィを加え休日を楽しむ四人。

しかし、その前方から迂闊な少年と話しをされなかった少女が二人――


「あー美味しかったぁ。やっぱお祭りはいいわよね!」

「オスティアは特殊な間所ですからー……MMとヘラス帝国の食べ物や文化が集まって、

更に独自の進化を遂げた物が鎬を削りあって、料理の美味しさでは魔法世界一なんです。」

「のどかさん、随分詳しいんですね?」

「えへへー……メイドさんしてた時、お店に来た人達の話を聞かせて貰って。

政治とか難しい事は分からないですけど、噂とか簡単な歴史なら――」


想い人に褒められ、この世の春と嬉しそうに微笑むのどかに、ネギも頬を染めながら笑う。

まるで恋人の様な距離で喋る二人であったが、ふと顔を上げたのどかと先から歩いて来た、

驚いた顔をした夕映の眼が合った。


「ゆ……え…………?」

「あ、のっ………!?」


呆然とした表情から徐々に目に涙を溜め、先程とは別の笑顔になるのどかに対し・・・

ピシリと固まった三人と、疑問符を浮かべたエミリィ。

一人だけ時間が動いているのどかが夕映に走り寄り抱きしめた。


「ゆえ……ゆえっ!無事だったんだね!心配したよ、無事で本当に良かった……!」

「の、ど………ッっ!!」


再会を喜んだのも一瞬、ギヌロンとネギを睨みつける。肩に顔を埋めているので当然

のどかには見えていない。


「(ど・う・い・う・こ・と・で・す!?)」

「(す、すいません!のどかさんを助ける事で頭がいっぱいで!)」

「(全くあなたと言う人h)おっとと!?」

「何なんですかあなたは!?白昼堂々見ず知らずの他人にいきなり抱き着くなんて!?」

「あぅっ、あ、いえ、そのー……。」


二人がアイコンタクトした僅かな間で、事態を(正しくはないのだろうが)把握した

エミリィがのどかを引きはがし間に入った。修羅場に入るかと思ったのも束の間、

話しかけた事で認識阻害魔法が薄れてしまい、その後ろでオロオロしていただけだった

コレットとベアトリクスが気付き手配書を見てしまう。


「ちょ、委員長!そいつら指名手配犯!」

「しまった!こっちから話しかけたから魔法の効果が薄まっちゃた!?」

「くっ!どこかで見た事あると思ったら、ゲートポート同時爆破テロ事件の指名手配犯!」
ズシャンッ

警備員として危険度の高い指名手配犯を一通り把握していたエミリィは即座に騎士装剣を

呼び出し、警告無しで中レベルの捕縛弾を撃つ。

バンッ!
「本屋ちゃんっ!」

「本部、本部!こちらセブンシープ分隊、手配犯発見!映像送ります、至急応援を――
ガッ! バキバキバキ!
え゛?」
パキャァァァン!
「っちょ、結界弾を素手で!?」


至近距離で捕縛弾に囚われたのどかだったが、別件用に結界破壊魔法を会得していたネギが

握り潰す。それで以前会った事のある三人は相手が達人であり、Bクラスの危険人物で

あった事を思い出し隙無く突撃して行く。


「待ってください、アリアドネ―騎士団の方達ですよね。僕達は争うつもりは――」

「犯罪者が何をヌケヌケと!コレット、ビー!行きなさい!」

「ハッ!」「たいほぉー!」
ボボボボッ!
「わ、あのー、ちょっと……。」


獣人と訓練された兵士である二人の攻撃を余裕な顔で躱すネギに、焦りと怒りで連携が

僅かにブレた所で二人を投げ飛ばす。

スパンッ
「わっ!」

「ちょ、ネギ、乱暴は――」
クルンスタッ!
「「!?」」


受け身を取れないかと思われた二人だが、ネギが計算して投げた二人は宙返りして

綺麗に着地した。自分では紳士的に行動したつもりであったが――


「お、落ち着いてください。僕らに戦闘の意思はありません、まずは話しを……。」

「コレット、ビー!何をしているのですか!最大出力で仕留めますよ!」

「「りょ、了解!!」」
ズシャンッ

それは怒りを買っただけに終わり、三人の騎士装剣に捕縛弾を撃つとは思えない

魔力が充填されて行く。仕方なくネギは武装解除魔法でその場を治めるべく唱えるが・・・

のどかだけが事の顛末を正しく予想出来ていた。


「『風花(フランス)』―――!」
ズッ―――!
「あっ、ダメせんせー、今の力では………。」


本人も予想だにしない、制御出来ない『闇き夜の型』が発動し、魔法が強化される。

と同時、エミリィに念話通信が入る。


(『候補生セブンシープ、聞いてる?総長のセラスよ。』)

「『武装解除(エクサルマティオー)』!!!」
ズ グ ア ッ ! !
ズバァッ!
「な――」「えっ……!」「ひゃ?」「はわ……!」「ほへ!?」


・・・出来上がったのはパンティー一枚姿の美少女集団。

羞恥で真っ赤になる五人に対し、真っ青な顔のネギと・・・羞恥と怒りで震える明日菜。


「あ……………あれ?」

「こっ…こんの馬鹿ネギぃ……!あんたは脱がさないと気が済まないのーーー!?」

「わーーん!すみませーーん!力の加減が出来なくてーー!?」

「ヒューーッ!いいぞボウズ、もっとやれー!」


野良試合でも始まるかと集まっていた野次馬は一転、半裸(ほぼ全裸)の少女を眺める集団に

なり、逆に騒ぎが大きくなる。その傍らで、何故今と思いつつエミリィはセラスからの

指示を受ける。


(『―――には気をつけなさい、いい?総督府に通達してはダメ。あの子達は

保護しなさい。』)

「はぁ……は……え!?あ、りょ、了解しました!

み、皆さん!とにかく服を着なさい!一端退避!あなた達はついて来なさい!!」

「「「はいぃーーー!」」」

………
……


「ええーーっ!?記憶喪失!?」

「で、でも、なんでそんな事に……。」


三十分後、場所を変えてカフェに集まりそれぞれの事情を話す7人(無論着替えて)。

ネギ達指名手配側の話は紛糾したものの何とか終わり、アリアドネ―組・・・と言うよりは

夕映の事情についての話となった。


「あー、ぶっちゃけ私のせいなんだけどー……。その、実は忘却魔法が暴走しちゃって、

その時丁度転移して来たユエとぶつかって、それで……。」

「そう、でしたか……。」

「でも時間的にはゲートポートの事件と一致するし……ま、間違いなさそうね!」


色々ぼかしたコレットだったが、それを信じたのどかは夕映との再会を喜ぶばかり。

しかし記憶が戻っている事を知っている三人は必死に話を合わせつつ、アイコンタクトで

どう話を逸らすかの会議を続けている。


「(どうすんのよ!?本屋ちゃん相手だと長引けばボロ出るわよ!?)」

「(そんな事言われても困るです!適当に切り上げては余計怪しまれ)ふわっ!?」

「じゃあやっぱり本物のゆえなんだね!皆で日本に帰ろう!日本に帰ればきっと記憶も

戻「お待ちなさい!!」あっ!?」
パシッ

すっかり感極まってしまっているのどかが夕映の手を取り自分達と一緒に来る事を確信して

促していた手をエミリィが振り払う。同じ考えなのだろう、コレットとベアトリクスも

夕映の後ろに腕を組んで『抗議します!』と言わんばかりに立つ。


「勝手に話を薦めないでいただけます?このユエさんは我がアリアドネ―騎士団オスティア

警備兵として任務中の身です!更に言えば類稀なる向上心と成長速度で、戦乙女騎士団士官

候補生として将来を嘱望された人材です。な、何しろ、素人同然から僅かな期間でこの私を

打ち負かす程に成長した人物ですからね!」

「い、委員長……?」


恥ずかしさを忍て一気に喋ったエミリィが一息ついた瞬間、思わぬ好評価を持たれていた

のに驚きを隠せない夕映が凝視する。それでヤケクソ気味に、更に捲し立てる。


「このように将来有望な、優秀な人材をどこの馬の骨とも分からぬ輩にホイホイと渡せる

訳が無いでしょう。ましてや!そんなユエさんがあなた方の様な犯罪者の仲間であるなど、

信じられません!!」

「またそこに戻んの!?誤解だって言ってるじゃない!」

「だったら証拠を見せなさい!状況証拠と似ているだけでは証拠になりませんよ!」


先程は一応の納得を見せたが、生来の生真面目さからやはりネギ達への疑念を持ったままの

エミリィに頭を悩ませる。いっそもう一回脱がせて逃げてしまおうかとネギが黒い笑みを

浮かべた所で夕映が打開策を思いつく。


「(ネギ先生!仮契約カード!あれで念話をして見せれば!?)」

「(そ、そうか、その手がありました!)え、コホン。ゆ、夕映さんは僕の仮契約者の

一人です。もし本物なら、このカードで念話を使えば声が届く筈です。」

「む、それは……!」


選ばれた者しか持てないとされるアーティファクトカードを見せられ、さしものエミリィも

黙り、そしてカードを使い念話してみせると、流石にユエが夕映である事を信じざるを

得なく、それに伴いネギ達の話にも信憑性が出る。


「そ、それでも!あなた方が旧世界から来たなど「おや、これはこれは誰かと思えば」

――ッ!?」


尚も信じようとしないエミリィだが、その後ろから落ち着いた、嫌らしい声が割り込む。


「アリアドネーの名門、セブンシープ家のお嬢様ではありませんか。」

「お、オスティア総督……にMM兵!?」

「おや……?それにそちらの少年は……どこかで見た様な覚えがありますが。」


そして少年は、世界の秘密に近づく。

Side out 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧