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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第百四十二話 大輔への依頼

 
前書き
ホーリーストーン編、ようやく開始。 

 
大輔「依頼?」

聖竜学園の校長であるゲンナイに呼ばれた大輔はゲンナイに依頼書を手渡された。

ゲンナイ「うむ。ホーリーストーンという石を守って欲しいのじゃ」

大輔「ホーリーストーンって何だ?」

ゲンナイ「ホーリーストーンというのは、デジタルワールドを安定させるための装置と思ってくれてよい。最近妙な奴らがこのホーリーストーンを狙っているという情報を入手してのう」

大輔「妙な連中…それって赤い服の女と青い服の男の対称的すぎる奴らのことか」

そんな物を探しているのはあいつらくらいか。

ゲンナイ「それでじゃ。お前達に頼みたいこととは、ホーリーストーンを探し、封印して欲しいのじゃ。悪用されるかもしれんからな」

大輔「成る程…少し考えさせてくれないか?」

ゲンナイ「構わんよ。やり方はお前達に任せる。場所の大まかな位置は教えるから、お前達のやりたいようにやればよい」

大輔「ああ」

大輔は校長室を後にすると、全員が待つ屋上に向かうのだった。

































そして聖竜学園の屋上で昼食する大輔達。

フェイト「ホーリーストーン?」

大輔「ああ」

なのは「ホーリーストーンって何なの大輔さん?」

大輔「ホーリーストーンってのはデジタルワールドの東西南北に七つずつ存在するデジタルワールドの安定装置みたいなもんなんだと。それを壊されるとデジタルワールドに災いが降りかかるらしい。今、アルケニモンとマミーモンがそれを探しているらしいな。資料によると」

ギンガ「へえ、ホーリーストーンが壊れるとデジタルワールドが…って、ええええええ!!!?」

目を見開くギンガ。
そしてお茶を啜る大輔。

大輔「とにかく、俺達に出来ることはホーリーストーンを封印して回ることらしい。ホーリーストーンの細かい位置は分からないらしいけど。大まかな場所を資料として渡してくれるらしい」

アリサ「…あの爺さん。デジタルワールドでの暮らしは長いんでしょう?何で知らないのよ?」

大輔「それは知らない。知らなくてもいいことだ。…ぶっちゃけ俺はあの爺さんに期待なんざ微塵もしてねえ」

全員【それはそうだ】

賢「それじゃあデジタルワールドに資料が手に入り次第行くかい?」

全員【はーい】

































アルケニモン「全く!!ブラックウォーグレイモンの奴、どこに行ったのよ!!!?」

マミーモン「さあ?ああ、そうそう、アルケニモン。ホーリーストーンをようやく見つけたんだ」

アルケニモン「あ?あんたがずっと探してた奴?」

にやりと笑い、アルケニモンはマミーモンの方に顔を向ける。
その何気ない行動でさっきよりももっと機嫌が良くなるマミーモン。

マミーモン「この近くにあるんだ、行って見るかい?(まるでデートの誘いみたいだなぁ~)」

頬を赤らめるマミーモンに怪訝な表情を浮かべつつ。

アルケニモン「そうね……そうすれば、この世界の安定は崩れるし。奴の闇の種の活動も活発になるかもしれないしね」

マミーモン「(いよっしゃあああああああああっっっ!!!!!!!!)」

アルケニモン「?…あんた何、拳を上げてんのよ」

マミーモン「はっ!?い、いや、何でもねえんだ!!」

慌ててマミーモンは思わず上げてしまった腕を下げたのだった。































そして現実世界では、大輔がブイモンとカイザーレオモンと共にデジタルワールドに向かおうとしていた。

エリオ「父さん。本当に僕達も行かなくていいんですか?」

大輔「ん?ああ、ホーリーストーンを異空間に封印するだけだし。アルケニモンやマミーモン程度なら俺とカイザーレオモンとブイモンだけで充分だ」

キャロ「気をつけてねお父さん」

ウェンディ「お土産忘れないで欲しいッス!!」

全員【旅行に行くんじゃないんだけど?】

お土産が欲しいと言うウェンディに大輔達のツッコミが炸裂した。

大輔「んじゃあ、行ってくる」

フェイト達や守護騎士、ナンバーズ、生徒達から見送られながら大輔はデジタルワールドに転送された。































アルケニモン「あれがホーリーストーン?」

マミーモン「ああ、そうだ」

ダークタワーと白い祭壇の様な建物が立っていた。
アルケニモンは車から降り、微笑を浮かべている。
髪を数本抜き、息を噴きかける。
すると……髪はダークタワーへ吸い込まれていった。
ダークタワーは鎧を纏ったデジモン、ナイトモンがそこには立っていた。

アルケニモン「壊せ」

短くそれだけ言うとナイトモンはゆっくりと祭壇へと向かった。
その目に意思は宿っていない。
ただ命じられた事を実行するだけ。































ヒカリ「何…あれ…?」

上空にはネフェルティモンに騎乗したヒカリがいた。
今日は休日でアルケニモン達の居場所が分かったので、一足先にこの場所に向かったのだが。
不意に、ナイトモンが手にしていた剣を振り上げた。
そのまま勢い良く、金色のリングに切っ先を叩き付ける。
火花が散り、金属と金属がぶつかる耳に痛い音が響いた。

ネフェルティモン[あれからは不思議なパワーを感じる。もしかしたらホーリーストーンかもしれない]

ヒカリ「ホーリーストーン?」

聞き慣れないその言葉に、ヒカリは首を傾げた。

ネフェルティモン[解らない。噂によると、ホーリーストーンが壊された時、この世界に恐ろしい異変が起こるとか……]

ヒカリ「じゃあ、止めなきゃ!!」

博識なネフェルティモンがそう言うのだから、可能性はあるのだろう。
ともかく、リングで封印された石を壊そうとしている時点で、止めない理由は無い。
ヒカリはタケル達に連絡を入れた。






























ナイトモンがリングを攻撃してしばらくした後、ようやくリングに罅が入る。

アルケニモン「罅が入っても……壊れないじゃないか!!」

苛立ち叫ぶアルケニモン、ナイトモンは変わらず剣を突き立てる。

マミーモン「あれえ?おかしいな」
マミーモンは罅の入ったリングを見つめながら困ったような表情を浮かべる。

アルケニモン「あんたねぇ!!ちゃんと調べて来な!!」

マミーモン「う~ん……ん?…あいつらは……」

唸るマミーモンの視界に何かが映った。
それはタケル達である。
一瞬身体が強張るが、大輔達の姿がないことに安堵する。

タケル「ホーリーストーンを破壊なんてさせないぞ!!」

アルケニモン「なあにが“ホーリーストーンを破壊なんてさせないぞ”よ。お仲間から見捨てられた癖に。ナイトモン、やっておしまい!!マミーモン、行くよ」

マミーモン「おう!!俺が立てた計画だ、邪魔はさせねえぜ!!」

ネフェルティモン達が応戦するが、成熟期&アーマー体と完全体との力の差は大きく、瞬く間にやられてしまった。
ナイトモンがアンキロモンに剣を叩きつける。

アンキロモン[い、痛いだぎゃ…剣は叩くもんじゃない]

全く剣の使い方がなっていない敵の攻撃にアンキロモンは涙目になる。

アルケニモン[何よ、あんた達。あいつらがいないとてんで弱いじゃない。こんなに弱いんじゃ切り捨てたくなるわよねえ。足を引っ張られ続けられていたあいつらに流石の私も思わず同情しちゃうわ]

タケル「何!?」

ぎりっ…と、アルケニモンを睨むタケルだが、アルケニモンとマミーモンはどこ吹く風だ。

マミーモン[実際弱いんじゃねえか!!アルケニモン、こうなったら俺達で攻撃しねえか?]

アルケニモン[仕方ないね。このままダラダラやるくらいならそっちの方が…]

大輔「その必要は…ねえよ」

アルケニモン、マミーモン[[イッ!?]]

聞きたくなかった声にアルケニモンとマミーモンの表情が引きつった。

大輔「よう、久しぶり…と、お前らからすればてんで時間は流れてないんだったな。」

アルケニモン、マミーモン[[も、もももももももも、本宮大輔ええええええええ!!!?]]

自分達にとってトラウマの象徴たる大輔が現れた。
しかもフレイドラモンとカイザーレオモン付き。

大輔「いや~、デジタルダンジョンから出た後だと、妙に親しみを感じるようになるなお前ら」

京「大輔…てええええ!!?ううううう腕ええええええ!!?あんた腕えええええええええ!!!!?」

ヒカリ「左腕が…ない…?」

伊織「事故にでも遭ったんですか!!?」

タケル「何しに来たんだ!!」

フレイドラモン[大輔、俺達がしに来たことは何だ?]

大輔「ん?ああ、そうだったな。頼むぜ」

フレイドラモン[全く……まあ、確かに懐かしいな]

ホーリーストーンに歩み寄るフレイドラモンに向けてナイトモンが剣を振り下ろすが、片手で受け止めると、ナイトモンの胸を拳で貫いて瞬殺する。

アルケニモン[ゲッ!?]

マミーモン[う、嘘だろお!?完全体を瞬殺したあ!?]

アルケニモン[あ、あいつ何か前より強くなってないかい!?]

京「す、凄い…」

伊織「強すぎます…」

目を見開く京と伊織だが、次の瞬間、目を見開くことになる。

フレイドラモン[ナックルファイア!!]

オーバードライブ発動状態でホーリーストーンのリングに拳を叩き込む。
ナイトモンが何百回も攻撃して僅かに入った罅が更に広がる。

テイルモン[な、何を!!?]

目を見開くテイルモン。
大輔達はホーリーストーン本体を異空間に封印するために、まずはホーリーストーンを守るリングを破壊しなければならないのだ。
それを知らないテイルモン達からすれば、理解不能の光景。
アルケニモンとマミーモンも呆然となりながらリングを攻撃するフレイドラモンを見ている。

フレイドラモン[だだだだだだだだだだだっ!!!!!!!!]

連続で繰り出される拳にとうとうリングが限界を迎え、破壊された。

京「ああ!?」

ヒカリ「やめて!!フレイドラモンを止めて大輔君!!」

タケル「とうとう尻尾を見せたな!!あいつらを止めるんだペガスモン!!」

ペガスモンとネフェルティモンがサンクチュアリバインドでフレイドラモンを拘束するが、フレイドラモンは余裕そうにサンクチュアリバインドを破ると、二体のサンクチュアリバインドを掴んで、両者を激突させ、退化させる。
アンキロモンの尾を掴んでハンマー投げの要領でアクィラモンに投げ飛ばし、追撃のナックルファイアで沈黙させた。
そしてカイザーレオモンはベルグモンへと変化する。

カイザーレオモン[カイザーレオモン、スライドエボリューション!!ベルグモン!!]

ベルグモンへと進化するのと同時にベルグモンは翼でホーリーストーンを包むように円を描いた。

マミーモン[お、おい…何を…!!?]

ベルグモン[ゾーンデリーター!!]

ホーリーストーンが闇に包まれ、闇が消えた瞬間、ホーリーストーンは消えた。

アルケニモン[マミーモン、逃げるよ!!]

アルケニモンは全員の関心が祭壇跡に向けられている隙にサッサとその場を離れた。

マミーモン[何で逃げるんだ?あいつ、何でか分かんないけどホーリーストーンを消してくれたんだぜ?]

アルケニモン[馬鹿!!確かにホーリーストーンが消えたのは好都合だけど奴らは何考えてるか全然分からないんだよ!!?近くにいて危険が無いなんて言い切れるか!!?]

マミーモン[ああ、成る程ね…納得]

納得し、アルケニモンとマミーモンはスタコラサッサと離れていった。

大輔「よし、完了だ。」

ゲンナイから預かった端末に“ホーリーストーン封印完了”という文字が出た。

フェイト「大輔!!」

大輔「ん?ああ、お前らも来たのか」

アリサ「まあね、あんただけにやらせるのもって思ったんだけど。遅かったみたいね」

大輔「はは、サンキューな。じゃあ帰るか」

全員が現実世界に帰ろうとした時。

タケル「待て!!」

全員【ん?】

全員が振り向くと、憎悪の視線をこちらに向けているタケル。

はやて「何や?」

タケル「とうとう尻尾を見せたな。お前達はデジタルワールドを壊す敵なんだ!!」

全員【はあ?】

見当違いなことを言っているタケルに全員が呆れ果てたようにタケルを見つめる。

タケル「おまけに闇のデジモンまで…そんな奴らと一緒にいるなんて信じられない!!」

ダスクモンとクロアグモンを指差しながら叫ぶタケル。
しかしダスクモンとクロアグモンは呆れ果てたように見つめるだけ。

スバル「ねえ、ルカ兄。あの人馬鹿?」

不思議そうにタケルを指差しながらルカを見つめるスバルにルカも苦笑しながら口を開く。

ルカ「こ、こら。スバル…人を指差してはいけませんよ」

賢「否定は出来ないけどね。」

大輔「帰るぞ、馬鹿に何言っても無駄だ」

タケル「な、何だと!?罪人の癖に!!」

殴り掛かるタケルだが、ルカが前に出ると足払いをかけ、仰向けに倒れるタケルに踵落としを喰らわせ気絶させた。

すずか「凄~い」

ティアナ「動きが鮮やか」

ギンガ「まるでお母さんの体術を見てるみたい」

感心してルカの動きを見ていたギンガ達。
チビモンは木の枝で気絶したタケルをつんつくんしていた。
フェイトが苦笑して抱き上げると手を振りながら退散した。
明るく退散していく大輔達に呆然となりながら大輔達の背中を見つめる京達であった。 
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