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カシアン=チミーのお話

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第三章

「折角二匹で行こうと思っていたのにな」
「それがね」
「雨が降るなんてな」
「そうね、折角だったのに」
「今日はどうする?」
 ご主人は一緒に巣の穴からお外に降る雨を見ている奥さんに尋ねました。
「それで」
「それでも雨が降っていたらね」
「どうしようもないか」
「行くことは出来ないわ」
 到底、というのです。
「だから今日はね」
「諦めてか」
「また今度にしましょう」
「それしかないな」
「そう、だって雨だから」
「外にも出られないな」
 ご主人もわかっていました、ですがそれでも奥さんに聞いたのです。どうするかを正式に決める為にそうしたのです。
「濡れるだけだ」
「だからね」
「休むか、今日は」
「寝ていましょう、巣の中で」
「そうするか」
「そうしましょう」
 こうしてでした、チミーさんと奥さんはこの日は巣の中で寝ました。残念ですがそうするしかなかったからです。
 そしてその次の日にです、ご主人はお外を見て奥さんに尋ねました。
「今日はな」
「晴れてるわね」
 奥さんもお外を見つつご主人に応えます。
「それならね」
「行けるな」
「行きましょう」
 奥さんから言うのでした。
「用意は出来てるし」
「それじゃあな」 
 ご主人も奥さんの言葉に頷いてでした、そのうえで。
 一緒にでした、お外に出てピクニックをはじめました。その入口でピーターのお父さん兎に出会いました。
 お父さん兎は夫婦にです、挨拶をしてから尋ねました。
「これから何処に行かれるんですか?」
「ええ、丘の上までピクニックに」
「遊びに行きます」
「ああ、ご夫婦で」
「はい、行ってです」
「遊んできます」
「それはいいですね」
 お父さん兎はご夫婦の返事を聞いて笑顔で言うのでした。
「私達も今度行きますか」
「そちらはお子さん達と」
「はい、あの子達と一緒に」
 奥さんとだけではなくというのです。
「行って来ます」
「それは何よりですね」
「夫婦で行くだけでなく」
 それに加えてというのです。
「やはり子供達も連れなければ」
「駄目ですね」
「そうです、どうしても」
「子供がいるとやはり」
「あの子達が主役です」
 そうなるというのです。
「親は引き立て役です」
「どうしてもそうなるのですね」
「そうなんですよ、ですから」
「では」
「はい、あの子達と一緒に行って来ます」
 こうしたことをお話してでした、夫婦はお父さん兎と別れました。そして。
 チミーさんと奥さんは一緒になのでした、丘の上に向かっていきます。その途中でチミーさんは奥さんに笑顔で言いました。
「楽しいな」
「ええ、そうね」
「普通に歩いているだけなのにな」
「二匹でね」
「たったそれだけのことでな」
「いつも一緒にいるのに」
 食べものを集める時もです、一緒ですと狐や蛇が出て来た時にすぐに気付いてお互いに危機を脱出出来るからです。 
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