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美しき異形達

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第四十五話 博士その十二

「好きよ」
「そうなんだな」
「ただね」
「ただ?」
「実際にね。神戸から横須賀に行くには」
「電車が一番か」
「新幹線もいいけれど」
 日本を代表する鉄道だ、まさに日本の交通の大動脈の一つと言っていい。
「あれはね」
「駄目か」
「高くつくから」
 料金がだ。
「けれど八条鉄道はね」
「あっちは特急だけどな」
 新幹線はなくともだ。
「神戸から神奈川までな」
「特急で行けるわよ」
 新幹線程長くはなくともだ、それでだ。
「楽にね」
「そこ大きいな」
「うん、しかも私達八条グループの関係者だから」
 八条学園の生徒だからだ、それで裕香達も八条グループの関係者となるのだ。学生でも関係者は関係者だ。
「だからね」
「ああ、料金もな」
「そう、半分で済むから」
 グループ関係者への特典の一つだ。
「だからね」
「お金の問題か」
「リアルでね」
 ここで裕香はいささか暗い顔になって言った。
「関西巡りでね」
「お金使ったからな」
「うん、だからね」
 それでなのだった。
「お金あるう?薊ちゃん」
「いや、そう言うとな」
「ないわよね」
「バイクで移動するとな」
 薊はバイクが好きだ、だから寮に入ってもときおり乗っている。しかしそれに乗ってもそれでもなのだ。
「ガソリン代がな」
「かかるわよね」
「あれ結構なんだよな」
 それこそなのだ。
「お金かかるんだよ」
「そうでしょ、しかも運転してるから」
「それもか」
「運転中は休めないから」
「絶対にな」
「けれど電車に乗ってると」
「寝たり漫画読んだり好きに出来るな」
 このことも言うのだった。
「これいいな」
「そうでしょ、それじゃあ」
「電車で行くか」
 横須賀に行くのならと話してだ、そしてだった。
 薊は裕香にだ、あらためて言った。
「じゃあそっちにするよ」
「そういうことでね」
「電車っていいな」
「日本が誇るものの一つよ」
「八条グループも鉄道から伸びたしな」
 この産業に進出してから発展し日本全国に基盤を築きそこから世界に雄飛したのだ。それが八条グループの歴史だ。
「鉄道あってか」
「そう、横須賀まで鉄道で行きましょう」
「そういうことだな」
「グループ関係者、それに学生割引もあるから」
「相当安くつくな」
「ええ、それじゃあね」
 横須賀に行く時の移動手段も決まった、そうしたことを話してそれからだった。博士は少女達にあらためて言った。
「わしはわしで調べておくからな」
「ではその間は」
 鈴蘭が応えた。
「私達は」
「君達のしたいことをな」
 それをというのだ。
「しておくといい」
「わかりました」
「それでは」
「さて、色々と調べるか」
 今度はこう言う博士だった。 
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