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インディアン=ドレス

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第四章

「もういないから」
「それでアパッチ族の人でも」
「ハンバーガーなのね」
「お洋服着てて」
「そうしてるのね」
「そうだよ、たださっきも言ったけれどアパッチ族の言葉は使えて」 
 そしてというのだ。
「風俗習慣、文化も知ってるよ」
「そうなんですね」
「アパッチ族のことをですか」
「やっぱりご存知なんですか」
「アパッチ族の人だけに」
「それで論文やブログに書いて研究や紹介もしているよ」
 そうしたこともしているというのだ。
「学校では理科を教えているけれどね」
「あの、それで」
「一つお聞きしたいことがあるんですけれど」
 ここでだ、二人は先生に身を乗り出す様にして尋ねた。
「西部劇でよく言っている」
「インディアン、いえネイティブの人は嘘を言わないっていう」
「あのことは本当ですか?」
「嘘は」
「嘘を言うことは駄目だと言われているけれど」
 笑ってだ、先生はその質問について答えた。それも慣れている感じで。
「残念だけれどね」
「じゃあやっぱり」
「嘘言う人いるんですか」
「ネイティブの人でも」
「そうした人は」
「悪い人はいるよ」
 先生は二人にこうも答えた。
「何処にもね。嘘を言う様な人はね」
「どうしてもですか」
「いるんですか」
「アパッチ族にも」
「それで」
「嘘を言う人はいるよ、けれど嘘はね」
 それを吐くことはというのだ。
「ネイティブ、アパッチ族の中では一番悪いことの一つだとされているんだよ」
「そうした意味でなのよ」
 先生の横に座っている奥さんも言って来た。
「嘘を言わないの」
「嘘を言うことはとても悪いこと」
「そういう意味で、ですか」
「ネイティブの人は嘘を言わない」
「そういうことなんですね」
「そうなのよ」
「少なくとも先生は嘘を言わないから」
 セオドアはハンバーガー、かなり大きなそれを食べつつ妹達に言った。
「絶対にね」
「先生はいい人だから」
「それでなのね」
「嘘を吐かない」
「そうなのね」
「そのことを心掛けているよ」
 先生からの言葉だ。
「いつもね」
「そうなんですね」
「そうした意味で、なんですね」
「ネイティブの人は嘘を吐かない」
「そういうことですか」
 嘘を最大の悪徳と考えている、そうした意味でというのだ。
「じゃあ西部劇とかで言っていることは」
「嘘じゃなかったんですね」
「嘘を吐くのは悪いこと」
「そう認識しているってことですね」
「そうだよ、ところでだけれど」 
 ここでだ、先生は話題を変えてきた。
「実は私の部族の知り合いからプレゼントが来てね」
「アパッチ族の人からですか」
「プレゼントがですか」
「そうなんだ、アパッチ族の服だけれど」
 先生は少し困った笑顔になりつつ話した。 
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