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オズのベッツイ

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第四幕その一

               第四幕  薊の国
 羊飼いさんの好意で借りた飛行船でメリーゴーランド山脈を越えた一行はさらに進みました、その中ででした。
 カルロスがです、ベッツイに尋ねました。
「あの、薊の国ですけれど」
「あそこのことよね」
「薊が都の周りに生えてるんですよね」
「そうよ、それで見えているけれど実は何もない石の壁があってね」
「あの国の人達もですよね」
「頭はトランプのダイヤの形でね」
 ベッツイはその人達のこともです、カルロスにお話します。
「そして身体はハートの形よ」
「手足が細いんですよね」
「目は丸くて大きくてね」
「お鼻とお口が小さいんですね」
「そう、それに服は身体にぴっしりとしていて」
  薊の国の人達のことが話されていきます。
「華やかな色合いで派手に刺繍がしてあってね」
「サンダルを履いてるんですよね」
「ストッキングは穿いていないわ」
「かなり独特な人達ですよね」
「オズの国の人達だからね」
 これに尽きました。
「個性的なのよ」
「そういうことなんですね」
「ええ、けれどね」
「悪い人達じゃないですよね」
 今度はジョージがベッツイに尋ねました。
「そうですよね」
「とてもいい人達よ」
「なら安心ですね」
「そうね、けれど貴方達のことは知らないから」
 五人はこれから薊の国にはじめて行きます、ですから薊の国の人達も五人に会うのははじめてなのです。
「初対面同士ってことはね」
「頭に入れておかないといけないですね」
「そのことは気をつけてね」
「わかりました」
「薊は痛いですから」 
 触るとです、神宝はこのことを気にしていました。
「そのことは気をつけないといけないですね」
「だからね」
「それで、ですよね」
「皆靴はちゃんと履いてるわね」
「はい」
「あとズボンもね」
 それもというのです。
「男の子三人は長ズボンだけれど」
「ええと、私達は」
「スカートですから」
 恵里香とナターシャが言うのでした。
「靴下は履いてますけれど」
「それでもですね」
「ズボンじゃないと痛いですよね」
「薊は」
「僕もなんだよね」
 ハンクもです、少し心配そうに言うのでした。
「この毛でも薊は痛いよ」
「どうしましょう、私達は」
「薊に対して」
 女の子二人はハンクと一緒にベッツイに心配そうに尋ねました。
「痛くないようにするには」
「どうすれば」
「お薬があるけれど」
 ふとです、ベッツイは女の子達にこう言ったのでした。
「足に塗ればふわふわと浮かぶのよ」
「身体がですか」
「そうなるんですか」
「そうなの、足の裏に塗るだけで。三十センチ位だけだけれどね」
「宙に浮かんで、ですね」
「歩けるんですね」
「少しの間だけだけれどね」
 そうしたお薬だというのです。
「それを使う?」
「そんな便利なものもあるんですね」
 ナターシャはベッツイのお話を聞いて目を瞬かせて言いました。
「今のオズの国には」
「そうなの、私もドロシーもトロットも何かあった時の為にいつも何種類かお薬とか道具を持って旅に出ているの」
「オズマが持たせてくれているのよ」
 ガラスの猫がこの辺りの事情をお話します。 
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