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オズのベッツイ

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第二幕その二

「本当に」
「ロシア人は向日葵を好きな人が多いの」
「それはどうしてなの?」
「ロシアは寒くて日の光があまり出ないけれど」
 長く厳しい冬が続くからです、ロシアでお日様が出ている時間は短いのです。
「向日葵はそのお日様の花でしょ」
「それでなのね」
「ロシア人は向日葵が好きなの、種も採れるし」
「向日葵の種から油を採って種を食べて」
「そうもしているからなの」
「ロシア人は向日葵が好きなのね」
「そうなの、ロシアの国花でもあるのよ」
 向日葵は、というのです。
「そこまで愛されているお花なの」
「ロシアで向日葵は」
「ええ、ただオズの国の向日葵はね」
 今そのオズの国の向日葵達を見ての言葉です。
「その国によって色が違うから」
「今僕達が見ている向日葵は緑色だしね」
 カルロスがこう言ってきました。
「そして他の国だとね」
「それぞれの色でね」
 ジョージも言います。
「違うね」
「うん、ギリキンだとね」
 神宝はこれから自分達が行く国のことをお話します。
「黄色でね」
「そうね、黄色になるわね」
 ナターシャはその黄色の向日葵についても言いました。
「ギリキンだとね」
「そうよ、その向日葵は見たことあるわよね」
「はい」 
 ナターシャはベッツイにも答えました。
「ギリキンの国で」
「じゃあ知ってるわね」
「最初はびっくりしました」
「そちらの世界の向日葵とは違うからね」
「本当に黄色ですから、全部」
 ナターシャ達の世界の向日葵はオレンジも入っていて真ん中は茶色です、そして茎や葉は緑色だからです。
 ですがギリキンの向日葵はなのです。
「鮮やかな黄色で茎も葉も
「全て黄色ね」
「ですから」
「そう、最初見て驚いたかしら」
「驚きはしなかったです」
 そのことはなかったというのです。
「ギリキンの国、オズの国のことは知ってましたから」
「だからなのね」
「はい、驚かなかったです」
 このことはなかったというのです。
「別に」
「そうなのね」
「ただ、これがギリキンだと思いました」
 ナターシャがこう言うとです、恵里香達四人も頷きました。
「そう」
「皆もうオズの国のことを知っていたから」
「驚かなかったです」
 そうだったことをベッツイにお話するのでした。
「特に」
「わかったわ、そのことは」
「それじゃあですね」
「ええ、このままね」
「ギリキンに入って」
「そうしてギリキンの向日葵を見ましょう」
 その黄色い向日葵をというのです。
「絶対にね」
「わかりました」
 五人はベッツイの言葉に頷きつつです、ギリキンに向かいます。そして緑の世界が一瞬にして変わったのでした。
 鮮やかな黄色の草原、黄色の煉瓦の左右に広がるその世界を見てです。
 恵里香は微笑んで皆に言いました。 
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