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ハイスクール・DM

作者:龍牙
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19話

 
前書き
第二章、戦闘校舎?のフェニックス に突入です。 

 
 詩乃の持つ神器(セイクリッド・ギア)ドラグハート・ウェポン。今のところ、堕天使側には手出し無用……と言う事で話は纏まっているが、その辺はあまり信用しない方が良いと言うのが四季の考えだ。

 疑いすぎるのは良くないと言われ様が、裏切られた場合に支払わなければならない対価が最愛の相手である詩乃の安全……場合によっては命である以上はその辺は一切妥協しないのが四季である。
 悪魔と天使の二つの勢力については何も安心できない上に、今回の一件で悪魔側にもドラグハート・ウェポンの事が知られてしまった可能性がある。何より、四季が一番信頼していないのは……“神の使徒”である天使とその下位組織である教会だ。

 そんな訳で未だに彼女の安全の為に泊まって貰っている訳だ。

(ああ、もう何時死んでも悔いは無い)

 自分の腕の中にいる少女の頭を撫でながらそんな事を思っていたりする。強く四季の服を掴みながら安心した表情を浮べている詩乃の姿に至福の瞬間を感じ取っていた四季だった。

 まあ、最近何度かオカルト研に呼び出されている状況でイライラとしている物の……その一部をバーの様な代物に回収してアウトレイジの仲間達とそれなりに楽しく過ごしている。
 それでも嫌いな人間を連想させる相手と詩乃を侮辱した相手と同じ空間に居るのはストレスが溜まる。どうも、四季と一誠の二人は根本的に相性が悪い様子だ。
 はっきり言って、新しく僧侶の駒で悪魔に転生したアーシアが詩乃と仲良くなって居なければ近付いていない。
 そんな訳で……同じ屋根の下で過ごす詩乃の存在が四季にとっての最大級の癒しである。

 取り合えず……シャワールーム完備の学校の施設と思えないオカルト研にアルコールこそ置いてないがバーを作って賭け事やっている四季達も色々と問題が有るとしか思えないだろう。

 まあ、堕天使の一件では良い事も有った。詩乃に告白できた事と恋人同士になれたこと、そして……アザゼルからの連絡でレイナーレに詩乃の持つドラグハート・ウェポンの存在を教えた“何者”かが居るらしい事が居たらしいと知る事ができた。
 恐らく、ドラグハート・ウェポンの存在を知る何者かが存在している事を知る事が出来たのは、詩乃との関係が恋人になった事の次に幸いだった。

 少なくとも、アザゼルに直接接触せずにレイナーレを利用した事から、それは堕天使では無いだろう。同時に堕天使に接触した事から悪魔でもなければ天使でもない……。三大勢力でもない……別のナニカと言った所だろう。

(……上等だ……誰だろうが、何者だろうが、詩乃を狙っているって言うなら……オレが潰す)

 最愛の少女を抱きしめてながら、そう強く決意する。だが、心の何処かで確信が有った。己が人から『アウトレイジ』と言うクリーチャー世界の存在に片足を突っ込んでいるからなのだろう、本能で理解できる。
 最愛の少女を狙っている何者かは、クリーチャー世界の存在である、と。

 当然……レイナーレの一件の後に有った事は他にも色々とある。
 一つは、アーシアの神器を戻した後の転生悪魔への転生による蘇生。
 一つは、アザゼルがレイナーレの仲間であった堕天使、ミッテルトを伴って四季……と言うよりもアウトレイジと言う『勢力』に対する謝罪に現れた事。
 アザゼルが訪れた時に詩乃を狙った『何者か』の存在を知る事が出来、アーシアの主となったリアスの配慮か、一誠の居る四季のクラスに入ることとなった。

 リアス側の考えとしては眷属で仲の良い一誠と一緒のクラスが良いだろうと言う考えなのだろうが、四季としては折角詩乃と仲良くなれたのだから、詩乃と同じクラスの方が良かったと思う。



 翌日の放課後……オカルト研究部のバーとなっている場所には、四季と詩乃以外にもクロスファイヤとカツキングの姿が有った。

「ストレートフラッシュ」

「フォーカード」

 クロスファイヤがダイヤのストレートフラッシュ、カツキングが3のフォーカードだ。四季と詩乃を含めた四人でポーカーをしているのだが、勝ち誇るカツキングにクロスファイヤが舌打ちをする。

「悪い、ロイヤルストレートフラッシュ」

「「なに!?」」

 四季の出したのはハートのロイヤルストレートフラッシュ。それにクロスとキングは驚愕の声を上げる。

「や、やるじゃねぇか」

「ありがとう。それで、詩乃は?」

「ポーカーのルールってよく分からないんだけど……私もフォーカード? よね?」

 そう言って彼女が出したカードは確かに四枚の5のカード。だが、ジョーカーのカードも含まれている。

「……詩乃、それはフォーカードじゃなくてファイブカード」

「? えっと、それって……」

「貴女の勝ちです、詩乃さま」

 深々と頭を下げる四季の図。

「って、結局オレが最下位じゃねぇか!?」

「そう言うこった。ほれ、さっさと出すモン出せ」

 最下位のクロスファイヤが絶叫する中、カツキングがそう言って手を出す。『ちくしょー』と悔しげに呟きながら賭けの品である限定カレーパンを差し出すクロスファイヤ。

 そんなアウトレイジチームのやり取りを聞きながらリアスは一人#マークを浮べていた。悩んでいる横で遊んでいられたら誰でも思うだろう。……しかも、確実に四季は気付いているが有るが、どうでも良いと斬り捨てている様子だ。

 今度はカツキングとクロスファイヤの一騎打ちになった。四季は四季で詩乃と自分の分の飲み物を用意している。……バーの様な雰囲気的に酒にも見えるが其処にはアルコールは何一つ置いていない。無法者を名乗っていても、流石に学生の身分である以上は学校で酒は飲めない。

「「ぐぐぐぐぐぐ……」」

 引き分けが続いてにらみ合っているカツキングとクロスファイヤを他所に、そんな二人を眺めながら四季の用意したドリンクを飲んでいる四季と詩乃の二人。……何時の間にかアウトレイジに侵略されている自分の城の光景を見ながら、頭の痛くなるリアスだった。

(……あの二人が眷属になってくれれば良いんだけど……)

 そうなれば、自身の悩みも解決するかもしれない。そうは思うが二人……主に四季から返ってくる返事に思わず頭を抱えてしまう。
 それに、答えを想像する以前に自分の元に残された駒に思いを馳せる。騎士と戦車が一つずつ……二天龍を超え夢幻の龍神に準じる無法龍の力さえも己の武器に変える四季に、膨大な力を秘めた多数の武器を宿した詩乃……駒の役割としては良いだろうが、実際足りるとも思えなかったりする……。
 何より、仮に四季を眷族に出来たとしても、危機に陥った場合は王よりも詩乃を優先して助けるだろう。……精々『序で』と言った所か。



「そう言や知ってるか?」

「何を?」

 カツキングからの言葉に四季はそう返す。

「“あいつ”からの伝言でな……近々こっちに来るらしいぜ」

「あいつが?」

「ああ、あいつか?」

 カツキングの言葉に四季とクロスファイヤの頭に同じ相手が浮かぶ。

「あいつって誰なの?」

「えーと……キングとクロスの子分で、オレの友達」

「友達?」

「ああ、裏関係の……。そう言えば、表関係の友人って居ないんだよな……」

 あいつと呼ばれている相手を疑問に思った詩乃の問いにそう答える四季。……その後、極端に友達が……表関係のが居ないのに悩んでしまう。

(……アーシアって子と桐生と仲が良いのは喜ばしいけどな……)

 女イッセー等と言われていても、四季にとってはどうでも良い事だったりする。……四季としても、知られた事で困ることは無いし。

(……っ!? なんだ、今一瞬……嫌な予感がしたのは)

 ふと、リアス達の方を見た四季を嫌な予感が襲う。……理由は定かでは無いが、己の直感が物語っていた。……嫌な予感を。




 
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