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『ひとつ』

作者:零那
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『確かな現実』


いつだって飛べる記憶の向こう側。
其処で君達と過ごした愛在る日々。
間違った正義や間違った優しさ。
間違った愛も在った。
けれど確実に、僕も君達も其処に在った。

どんなに残酷な真実が目の前に突きつけられても其処に在った。
どんなに涙を流して血を流して叫んだか解らない。
ただただ絶望を抱え込んだまま突き進んで生きた。

曖昧な温もりや癒しなんて通用しなかった。
慰めも同情も要らない。
きっと僕たちの抱える痛みは永遠に続くんだと、心の奥の奥から鋭く抉られた。

すべてが夢だったら、どんなに嬉しいことか。
深く深い絆は脆く融け消え去る。
儚く散るくせに、痛みだけは永遠に残してく。

記憶が消えればいいのにと願ったこともある。
でも、此の世の果てで静かに安らかに眠ってくれて居るなら...

あの頃のすべてに想いを馳せてみる。
二度と返らぬ日々と、二度と還らぬアナタ達と、二度と逢えない君達。

悔やむことなど無い。
悔いても結果など変わらぬ事と解ってる。

それでも、それでも...

心は時に残酷で、要らぬと剥ぎ散らかしたくなる。
あの頃の温かさと冷たさを僕は未だ巧く変換出来ないで居る。
空で馬鹿だと笑って居て...

 
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