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オズのベッツイ

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第一幕その五

「大好きよ」
「そうそう、そういえばね」
 ここでなのでした、ベッツイが気付いたお顔になってドロシーに言いました。
「ヘンリーおじさんとエムおばさんの結婚記念日の式典だけれど」
「どうしたの?」
「私からの贈りものはね」
 このことについてです、ベッツイはドロシーに笑顔でお話するのでした。
「ジャムよ」
「そのジャムなのよ」
 これが贈りものだというのです。
「ウーガブーの国のね」
「アン女王の」
「そう、あの人にお願いして特別に黄金の林檎でジャムを作ってもらったの」
「あら、あの黄金の林檎でなの」
「そうなの、ギリキンの国でも稀少なね」
 ウーガブーの国はギリキンの国にあります、つまりアン女王はブリキの木樵が皇帝として治めているその国の中にある国の女王なのです。
「あの林檎でジャムを作ってもらったの」
「あの林檎凄く美味しいけれど」
「その林檎のジャムよ」
「それをおじさんとおばさんに贈ってくれるのね」
「どうかしら」
「おじさん達絶対に喜んでくれるわ」
 ドロシーはベッツイに晴れやかなお顔で答えました。
「二人共林檎もジャムも大好きだから」
「じゃあ丁渡いいわね」
「ええ、楽しみにしているわ」
「今それを持って来るわね」
「ジャムを?」
「丁渡私のお部屋に保管しているの」
 そしてそのジャムをというのです。
「だからドロシーとナターシャ達におじさん達に贈る前に見せるわね」
「そのジャムって何に入ってるの?」
 このことをです、トトはベッツイに尋ねました。
「黄金の林檎で作ったジャムは」
「ええ、割れないガラスの瓶に入ってるわ」
「それでそのジャムをだね」
「ええ、持って来るわね」
 今からだと言ってです、そしてなのでした。
 ベッツイは一旦お部屋に戻ってそのジャムを持って来ようとしました。ですが。
 何とです、ベッツイはドロシー達のところに戻ると残念そうに言いました。
「御免なさい、ないわ」
「ないって?」
「ないっていいますと」
「そのジャムがないの」 
 そうだというのです。
「黄金の林檎のジャムがね」
「あれっ、ベッツイさんのお部屋にあるんですよね」
「棚の中にね。置いたのよ」
「それがなんですか」
「そう、ないのよ」
 こう恵里香にも答えます。
「これがね。そういえばね」
「そういえばっていいますと」
「黄金の林檎は魔法にも使えるから」
「魔法に、ですか」
「魔法使いさんとグリンダにね。あげたわ」
 そうしたというのです。
「三日前に」
「そうだったんですか」
 ナターシャはこのことを聞いて言いました。
「じゃあ今は魔法使いさんとグリンダさんが持っておられるんですね」
「そう思うわ」
「じゃあ。返してっていうのもですよね」
「よくないわよね」
「どうしますか?それで」
「そうね、ジャムがないならね」
 それならと言うベッツイでした。
「他のものにしようかしら」
「黄金の林檎のジャム以外のものを」
「さて、何がいいかしらね」
 今度はこう言うのでした。
「おじさん達への贈りものは」
「何でも心のこもったものなら喜んでくれるわよ」
 ドロシーはベッツイにこうお話しました。 
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