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大蝦蟇対決

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4部分:第四章


第四章

「宜しければ」
「というよりかはそうするしかなかのう」
 使者は真面目な顔で徳兵衛のその言葉に応えた。
「児雷也に向かえるは御主しかおらぬからな」
「同じく蝦蟇を使えるのは」
「ならばだ」
 それならばだとだ。使者はさらに話す。
「御主に全て任せる」
「あの者を江戸からいなくなくする」
「出来れば天下からじゃ」
 このだ。日本からだというのだ。
「江戸からおらんようになっても天下の何処かで暴れては同じだからじゃ」
「では倒せというのですね」
「そうじゃ。倒すのじゃ」
 それが理想だというのだ。使者も話す。
「よいな。そうせよ」
「はい、それでは」
 こうしてだった。児雷也のことは徳兵衛に任せることになった。当然綱吉もそのことはよしとした。しかしこの時であった。綱吉はこんなことを言った。
「ではその天竺徳兵衛をじゃ」
「あの者を」
「どうされますか」
「一度会ってみたいのじゃが」
 こう周りに話すのだった。
「それは駄目か」
「そうされますか」
「別によかろう」
 彼にしてもだ。それは悪くないだろうというのだ。それで周りに言ったのである。
 このことは周りも賛成した。かくして江戸城において綱吉と徳兵衛は会うことになった。そしてその場でだ。
 徳兵衛はだ。一礼してからだ。こう綱吉に話すのであった。
「必ずや」
「児雷也を倒してくれるか」
「そうさせてもらいます」
 こう言うのだった。
「是非共」
「うむ。その時の褒美は思いのままじゃぞ」
「褒美はいいです」
 それはいいというのだった。
「ただ。天下を乱す児雷也は必ずです」
「倒してくれるか」
「はい、そうさせてもらいます」
 こう話してなのだった。徳兵衛は綱吉に約束した。そしてだった。
 彼は綱吉の前から退こうとする。だがここで、であった。
「上様、大変です」
「むっ、まさか」
「はい、児雷也が出ました」
 そのだ。江戸を騒がすもう一人の蝦蟇使いが出たというのだ。
「日本橋においてです。蝦蟇に乗り暴れ回っております」
「ぬうう、今度は日本橋か」
 綱吉はそれを聞いてまずは歯噛みした。
「江戸で最も賑やかな場所で何をするか」
「蝦蟇が店を壊し出て来た奉行所の者達を蹴散らしです」
「そうしておるのだな」
「はい、このままではです」
「では早速」
 話を聞いた徳兵衛がだ。言うのだった。
「それがしが」
「行ってくれるか」
「そうさせてもらいます」
 すぐにだこう綱吉に話すのだった。
「是非共」
「では頼むぞ」
「それでは」
 こうしてだった。すぐにだった。
 徳兵衛はその場から煙と共に消えてだ。日本橋に向かうのだった。それを見てだ。綱吉は願う様な顔になってそれで周りに話すのだった。
「ここはあの者に全てを任せよう」
「そうですな。蝦蟇には蝦蟇です」
「まさに」
「そうじゃ。しかしあ奴は毒ではないな」
 それではないとだ。徳兵衛を呼んだ時に言ったことを話した。
「あ奴は薬じゃ」
「薬ですか」
「それだというのですか」
「そうじゃ。徳兵衛は心が正しい」
 彼と会ってだ。そのことがわかったのだ。
 
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