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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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ALO編 Running through in Alfheim
Chapter-13 仲間との絆
  Story13-3 ルグルー回廊へ

第3者side

数分飛行すると3人は洞窟の入り口まで辿り着く。そこはほぼ垂直に切り立った一枚岩で、その中央に巨人の鑿で穿たれたような四角い穴が開いている。

20分ほど前、シャオンとマリンがたどり着いたルグルー回廊だ。

「……この洞窟、名前はあるのか?」

「ルグルー回廊。

ルグルーっていうのは、この先にある鉱山都市の名前」


中は冷んやりと涼しく、奥へ進むに連れて外から差し込む光も薄れていく。

周囲を暗闇が覆い始めると、リーファが魔法で灯りをともした。

「そう言えば、キリト君は魔法スキル上げてるの?」

「あー、まあ、種族の初期設定の奴だけなら。使ったことはあんまりないけど……」

「洞窟はスプリガンの得意分野なの。灯りの術も、風魔法よりはいいのがあるはずなのよ」

「えーと、ユイ、分かるか?」


頭をかきながらキリトが言うと、肩からひょっこり顔を出したユイが、どこか教師然とした口調で言った。

「もう、パパ、マニュアルくらい見ておいたほうがいいですよ。

灯りの魔法はですね……」


ユイが一音ずつ区切るように発音したスペルワードを、キリトは右手を掲げながら覚束ない調子で繰り返した。

すると、その手から仄白い光の波動が広がり、それがリーファの体を包む。


その途端、スッと視界が明るくなった。


これがスプリガン特有の魔法で、対象に暗視能力を付与するものらしい。


「これは便利ね…………スプリガンも捨てたもんじゃないわ」

「あ、その言われ方なんか傷つく」

「ふふ……まぁでも、使える魔法くらいは暗記しておいた方がいいわね。

いくらスプリガンのしょぼい魔法でも、それが生死を分ける状況だってあるかもしれないし」

「うわ、さらに傷つく!」


軽愚痴を叩きながら、キリトたちは曲がりくねった洞窟を下っていく。

何時の間にか、入り口の光は見えなくなっていた。















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
















「えーと……アール・デナ・レ……レイ……」


キリトは紫に発光するリファレンスマニュアルを覗き込みながら、覚束ない口調でスペルワードをぶつぶつと呟いていた。


「スペル全体を機械的に暗記しようとしても駄目ね。まずそれぞれの『力の言葉』の意味を覚えて、魔法の効果と関連付けるように記憶していかないと……」


キリトは深いため息と共にがっくりとうな垂れる。


「まさかゲームの中で英熟語の勉強みたいな真似をすることになるとは思わなかったなぁ……」

「言っときますけど、上級スペルなんて20ワードくらいあるんだからね」

「うへぇ……俺もうピュアファイターでいいよ……」

「泣き言言わずにもう一度!」


ちなみに、ここまでの道程で他のプレイヤーと出会うことはなかった。


なぜなら、この洞窟は狩場としてはそれほど実りが良い方ではない。

飛行が身上のシルフはあまりここは通りたがらない傾向があるらしく、アルンを目指す場合は所要時間が増えてもシルフ領の北にあるケットシー領を経由して山脈を迂回する者が多い。


猫のような耳と尻尾を持つケットシーはモンスターや動物を飼いならすスキル《テイミング》が得意で、リーファの話しではテイムした騎乗動物を昔からシルフ領に提供してきた縁があるらしい。



歩くこと更に数分が経ち、いよいよ地底湖が間近に迫りつつあったその時だった。

ルルルという電話の呼び出し音に似たサウンドエフェクトが洞窟内に響き、リーファがハッと顔を上げてキリトに声をかけた。


「あ、メッセージ入った。

ごめん、ちょっと待って」

「どうぞ」


立ち止まり、体の前方の胸より少し低い位置に表示されたアイコンがあるであろう場所をリーファが指先で押した。

メッセージの送り主は恐らくレコンだろう。

内容は

『やっぱり思ったとおりだった!気をつけて、s』

だった。


書かれた内容を確認したのだろうリーファが

「なんだこりゃ」

と思わず呟いた。


リーファは最後の『s』の謎を考えているらしく、それが口をついて出ている。

「エス……さ……し……す……うーん」

「どうしたんだ?」

不思議そうな顔のキリトと、内容を説明しようとリーファが口を開いた時だった。

肩からユイがひょこっと顔を出す。

「パパ、接近する反応があります」

「モンスターか?」


キリトが背中の巨剣の柄に手を掛けたが、ユイはそれを否定する。

「いいえ、恐らくプレイヤーです。数は……多いです。12人」

「じゅうに……!?」


リーファの絶句する声が聞こえた。そして、すぐにキリトの方に向き直った。

「ちょっとヤな予感がするの。

隠れてやり過ごそう」

「しかし……どこに……」

長い一本道の途中で、幅は広いが身を隠せるような枝道の類はない。

戸惑ったように周囲を見回すキリト。

「ま、そこはオマカセよん」

リーファはキリトを手近な窪みに引っ張り込んだ。

体を密着させると、リーファが左手を上げてスペルを詠唱する。


すぐに緑色に輝く空気の渦が足許から巻き起こり、体を包み込んだ。

「あと2分ほどで視界に入ります」

ユイが声を囁いた。

緊迫した数秒が過ぎて行き、ザッザッという足音と鎧の金属音が微かに届き始めた。

キリトがひょいと首を伸ばし、集団が接近してくる方向を睨んだ。

「パパ? どうしたんですか?」

「あれは……何だ?」

「何?まだ見えないでしょ?」

「プレイヤーじゃない。モンスターか?赤い、ちっちゃいコウモリ……」

リーファが息を呑んだ気配がする。


洞窟の暗闇の中に、小さな赤いコウモリが飛翔し、こちらに近づいている。

「……くそっ」

リーファがそれを確認したらしく、小さな罵り声を上げて窪みから道の真ん中に転がり出た。


自動的に隠蔽魔法が解除され、俺はゆっくりと体を起こしてリーファの隣へ行く。キリトも戸惑ったように体を起こた。


「お、おい、どうしたんだよ」

「あれは、高位魔法のトレーシング・サーチャーよ!!潰さないと!!」


リーファが数分前に通ったマリンと全く同じ魔法で迎撃した。

コウモリは避けようしたがすでに遅く、パタっと音を立てて消滅した。

「街まで一気に走るよ!」

「え……また隠れるのは駄目なのか?」

「トレーサーを潰したのは敵にももうばれてる。この辺に来たら山ほどサーチャーを出すだろうから、とても隠れきれないよ。


それに……さっきのは火属性の使い魔なの」

「ということは…………サラマンダーか!」

そのやり取りの間にも、ガシャガシャと金属音が混じった足音が大きくなっていく。

リーファが一度チラリと振り返る。

どうやら、暗闇にちらりと赤い光が見えたようだ。

「急ぐよ!」
















Story13-3 END 
 

 
後書き
やっぱり似通った内容になるのを避けられないなぁ…………
シャオン「作者の構成力不足だな」
ですよねー…………

てなわけで、シャオンたちに少し遅れてキリトたちもルグルー回廊へ。
そしてまたサラマンダーズ。
さて、次回、シャオンはどうなるのか…………

じゃあ…………

マリン「次回も、私たちの冒険に!」

シャオン「ひとっ走り……付き合えよな♪」
 
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