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偽の高潔

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第三章

「それで言ってることころころ変わるしな」
「慰安婦のことでもな」
「何かとな」
「言ってることが違うからな」 
 その発言の都度、というのだ。
「あのことでもな」
「慰安婦の発言は慰安婦の婆さんの発言自体がころころ変わるだろ」
「それをいつも肯定するってな」
「嘘がわからないのかよ」
「いや、わざとだろ」
 慰安婦達の証言がおかしいことに気付いていながらというのだ。
「あれは」
「ああ、やっぱりそうか」
「意図的にやってるんだな」
「嘘を言ってるんだな」
「それで自分の活動の種にか」
「種にしてるんだな」
 ネットで次第にこのことが察知されだした。
「それで運動の援助金とか集めてな」
「随分集まってるってな」
「そっちがめてないか?」
「絶対にがめてるだろ」
「それにな」
 しかもというのだ。
「周りにいる連中もな」
「学生運動してた連中ばかりでな」
「過激派とかな」
 彼等もこのことに気付いたのだ。
「あいつ相当に怪しいな」
「真っ黒だな」
「ブラックだな」
 それこそというのだ、それでだった。
 ここでだ、彼等はだ。
 ふとだ、こう言ったのだった。
「ここはな」
「ああ、ここはな」
「あいつは信用出来ないな」
「絶対に信用したら駄目だな」
「そうだな」
「警戒するか」
「あいつ何やってるかわからないぞ」
 それこそだ、犯罪者の様に警戒されだしていた。それも詐欺師やそうした類の犯罪者であるとだ。それは牧野達と同じだった。
 牧野は美和子にだ、自宅でまた福嶌のことを言った。
「見れば見る程な」
「あの人はなのね」
「怪しいな」
「やっぱり悪い人?」
「それもかなりな」
「人殺しとかじゃないわよね」
「悪人は殺人鬼だけじゃないだろ」
 牧野はにこりともせずだ、妻にこう返した。
「そうだろ」
「ええ、そうよね」
「あいつはな」
 それこそというのだ。
「詐欺師だよ」
「詐欺師なのね」
「あいつの言ってること調べたらな」
 環境保護、平和を訴える行動、女性の権利拡大、従軍慰安婦達への支援。そうした一見すると素晴らしい行動がというのだ。
「全部嘘だ」
「嘘なのね」
「環境だの平和だの言ってもな」
 それでもだというのだ。
「その実態はな」
「違うのね」
「ああ、環境保護は確かに大事さ」
 このこと自体はだ、彼も認めた。
「人間が生きるうえでもな」
「そうよね、地球とかいう以前に」
「人間が生きることだ、だがな」
「原発廃止運動とか」
「それだ、原発反対を言うのはいいだろ」
 言論の自由である、それは。
「けれどその運動にな」
「過激派がなのね」
「ああ、いるからな」
 だからだというのだ。 
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