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剣聖龍使いの神皇帝

作者:黒鐡
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第2巻
  漆原家ガサ入れ×静乃奪還作戦

俺らが盗聴したとも知らずに漆原家では静乃を学校に行かせないようにしていた。で、蒼い翼警察部の方では数々の証拠や漆原家の闇を取っ払うべく捜索差押状を取得したようだ。今日の夕方にガサをする予定だが、俺も用がある。ま、俺らが行くまでステルスモードとなった車を漆原家前に待機させる。一つ上の兄は封建的な漆原家に嫌気が差し、自由を求めて出奔した。しかし行く先々で漆原家が手を回し、職を得ようにも断られ、住処を得ようにも大家に拒否され、最後は無残なまでにやつれ果てた姿で漆原家に回収された。今は療養という名目で、実際は家に逆らった咎で僻地に幽閉されているのを保護する事もある。話が脱線したが、今日の朝には手回しが早いのか静乃は学校には来ていなかった。俺の席から静乃の席は空っぽの席が見える。

「漆原さんは家庭の事情で、今日は欠席だそうだ」

家庭の事情、ねえ。田中先生も家庭の事情しか知らないので、これ以上聞いても答えは返ってこない。本当に知らない様子だったので、俺は通信機と端末を取り出してから漆原家にガサをする警察の者に確認を取った。漆原家には静乃がいるかどうかを、・・・・そしたらいると言ってきた。確認を取ったので、端末などを空間に入れる。漆原の事情という困ったもんだと思いながら、サツキも不安を覚えていた。

「兄様はもしかして漆原の事知っているの?」

「ああ。知っているが、放課後に乗り込む予定だ。一緒に行くか?サツキ」

「諸葉が行くなら私も行くわ!マヤも行くと思うし、今日の兄様はまるで獲物を見る眼のようだよ」

「蒼い翼警察部から連絡が来てな、今日の夕方辺りからガサする予定。俺も加わるからな、それが楽しみでしょうがないのさ」

そう言ったら納得していたサツキだったので、放課後になったら静乃に連絡をしてから俺らの車で漆原家に行く事にした。それまで静乃には一切連絡しないでおこうとしたら、静乃からメールが届いていた。内容は単純明快で、なぜ学校に来ないのか知っているの?だった。なので簡単に返して放課後に連絡するとだけ返信した。学課授業も休憩時間になっても、俺と沙紀は早く終わって欲しいと思っていた。そして放課後となり、実戦部隊特別訓練に顔を出してから準備体操並みの実力で模擬戦をした後にサツキとマヤが、俺の車辺りで合流した。

「静乃お姉さんを助けにいかないのです?」

「まずはあちらから電話するからちょいと待ってろ。その間に車の中に乗ってろ」

フェラーリに乗ったが後部座席に座り、俺は外で電話をかけたら一回で電話を出た静乃だった。

『・・・・もしもし』

「おう。俺だ、今日は学校休んだそうだがどうせ家の事情とか言って何かあるのだろう?」

『兄さんは中に入れないと思うけど、急に留学する事になったの』

「随分と急だな、・・・・大方バカ理事長がイギリスに留学しろと言う家の決定なのだろう?安心しろ、外には蒼い翼警察部の者達がいる。やっと漆原家に強制捜査する事になった。漆原家の闇というのをな、祖父の代まではよかったがバカ理事長からの代は駒として使ってきたその報いを果たす時が来た。今から静乃奪還作戦と漆原家強制捜査の同時作戦を決行する。静乃もいつも通りにしておいてくれ。必ずお前を助ける!」

『分かったわ。待ってるわよ、我が君』

そう言ってから、ケータイをポケットの中に入れてから運転席に座った。サツキからはイギリス留学については、急なので驚いたが、マヤからは校長先生の確認のために電話していたが、理事長とサー・エドワードの所為だと確認した。理事長が校長先生に電話してきて、静乃を留学させると言ってきたのでこれは黒だ。日本支部と掛け合って籍を移す辞令も出たそうだ。

「まあこうなる事は予想していた事だ、それに漆原家当主からこうなる事を推測していたのか。いつでもガサ入れしてもいいとも言われている。イギリスには優秀な黒魔はいないから、たった三人で倒した弩級だからと、静乃を留学させる口実となった」

「なるほど、ですがこちらにはたくさんの証拠があります。今はまだ家に突入していないそうなので、諸葉様の突入指示でいつでも」

と言う事で漆原家に向かう俺らは、車を急発進させたのだった。もちろん俺は免許を持っているから問題ないし、やっと漆原家の闇を解放出来るのはやれやれだ。一方静乃は浴室から出てから、漆原家の鎖から解放される喜びを持ったが兄に悟られないようにした。ここは静乃にとっては窮屈な場所であり、漆原家当主である祖父は将来大物になると言ってくれたが他の姉妹達には人形みたいで気持ち悪いと言われたからだ。周囲にいる少年少女には、当然のように壁を作ったが亜鐘学園で諸葉と出会ってからの静乃はまるで別人のように感情が出やすくなった。

『どうして・・・・どうして私がイギリスに何か行かなくてはいけないの!』

最初は大反対のような勢いで断ったのだが、生まれて初めて兄に漆原家の決定に逆らった。兄は大して動じる事なく。

『お前が大人しくイギリスに行ってくれれば、私も灰村君を強引にランクSにする計画は諦めるが、さて・・・・お前の好きな方を選びなさい』

公正そうに取引を持ちかけて、何もかも見透かすような目をして、じっと静乃の返事を待った。これは最早脅迫まがいな事で、静乃個人ではどうにも出来ない。今回ばかりは多少の抵抗したかもしれないが、過去にあった漆原家の鎖のお陰で一個上の兄が反旗をしてからどうなったかは知っている静乃である。兄は目的のためならば手段を選ばない卑怯者であり、硬軟を使い分けるという意味でもある。諸葉を取り入れようとした時は、静乃を使って懐柔させようとしたし、静乃を留学させたい今は諸葉をダシに懐柔する。

「(どうして私はこんな家に生まれたのかしら?せめて諸葉の近くにいたかった)」

兄の言いなりになるのであれば、諸葉に頼んで自分の立場を補充させればよかったと考えていた。サツキには桜花という話し相手がいて、相談相手ともなっていた。それも蒼い翼所属だから、相談があればいつでも乗ってくれる。静乃も諸葉に相談すればよかったと考えていたが、既に漆原家周辺にはステルスモードと化した車が多数あって家のゲートも開けられている。あと漆原家周辺に防音結界と気配遮断する結界をするように、先に行かせたラードゥンに命じた。そのお陰で放課後になるまでの間、誰も見つかっていない状況となっていた。

「お優しいお兄様」の命とあれば、静乃は晩餐に出席するしかなかった。使用人に一番上等のドレスを着せられ、髪を結い上げられ、おめかしさせられる。屋敷の南側にあるホールへ気の進まない足を向けると、兄とサー・エドワードが待っていた。パーティーだって充分開く事が出来る程広い場所に、四人掛けのテーブルがちんまりと用意させられていた。

『ざっくばらんに行こうじゃないか(Let's be frank)』

というエドワードの要望だ。実際、サーだけは礼装せず、ラフな夏物ジャケットという気取らない格好だった。静乃がエドワードの斜め向かい、兄の隣の席に着くと料理が運ばれてくる。談笑するのは男二人だけ。静乃は黙々と食器を動かすだけ。

『キミが留学を決意してくれて本当に嬉しいよ、シズノ』

『サー、お手ずからの誘いとあれば、妹だって断れませんよ』

『ハハ、ボクが後見人になるから、キミは心置きなく研鑽に励めばいい。心細かったりはしないかい?困った事や入用な物があったら何でもボクに甘えてくれていいんだからね?』

『サーのお気遣いには、この妹も非常に感謝しております』

『しかしシズノは奥ゆかしいね。ヤマトナデシコって奴かな?』

『そのように躾けておりますので』

エドワードの問いに、どうして兄が一々勝手に答えるのか?別に静乃だって口を利きたくなかったが、かといって兄の態度は癪に障る。能面みたいな自分の顔が若干助かっているが、不愉快さを表に出すなという諸葉の指示によって礼を失さずに済むし、静乃は皮肉な思いでそう考える。権力を間違った使い方をしている兄と気さくなエドワードの談笑は苛立つ会話であった。羊肉をナイフで切りながら、早く来ないか待ちわびていた。一方俺らは既に漆原家の敷地内に入っていた。サツキ達を降ろしてから、ゼロはロボモードとなり、静乃がいる付近に窓を壊す事にした。あとは大量の車と捜査員達が俺の合図を待っていたので、俺は玄関に向かい玄関を鳴らした。

「お嬢様のご学友がいらっしゃって、面会させてほしいと仰っております」

不意に執事の立村さんがやってきたのだ。脳裏によぎったのは、諸葉達の顔が浮かんだのだった。

「灰村君かなあ。鼻の利く奴だ。しつこい男だ。丁重に引き取ってもらえ」

兄の命令に反射的に口を挟もうとしたが、何も言えずに押し黙る。警察らがやっと漆原家の闇を取っ払う為に来てくれたのだと、留学するという決意は偽りであり、諸葉の作戦通りとなった。一方俺は玄関で、執事の立村さんが来て引き取るようにとの事だったので、漆原家当主で祖父関係者の者が蒼い翼警察部の捜査官だったので、部下を中に入れてから、俺と漆原捜査官はゼロの手に乗り、カウント3で窓ぶっ壊しで一気に作戦を進める。

「ごめんくださーい」

俺の声と共に窓があった場所が破壊されてから、大きな手の上に乗っていたのは諸葉と知らない人が乗っていた。

「き、貴様・・・・っ。何を考えている!?それは器物破損に不法侵入だぞ、灰村!」

「その前に突入だ!」

そう言った後に凡人理事長がいた部屋に何人かの捜査員が入ってきたので、理事長が怒鳴りつけるのを無効化したかのようにして捜査員が次々と入ってくる。そんで俺らが浮かんでいるのではなく、大きな手の上に乗っていると初めて気付く。

「漆原賢典だな、たった今からこの家を捜索差押状というガサ入れを決行させてもらった。漆原当主にも既に許可をもらっているが、俺の顔を忘れたとは言わせないぞ?」

「き、貴様は漆原家を反旗し、幽閉された者。なのにどうしてここにいる!?」

「それについては俺が言おうか、漆原家の闇を徹底的に取っ払うためにな。もう証拠も出揃っているし、静乃の留学については白紙とさせてもらうよ?エドワード」

漆原家周辺には大量の捜査官とサツキにマヤが、こちらを見ていた。俺は部屋に入った後に、あとは蒼い翼警察部に任せて俺はエドワードがいる付近に来た。ゼロを車に変形させてから、サツキとマヤは先に乗る。沙紀も乗っていた。

『これは何の冗談なのかな?』

「『冗談で警察を動かした訳じゃないさ、エドワードと理事長が話していた密談や最近の出来事で証拠も集まったから今日がガサ入れだったのさ。それと日本支部からの伝達として、留学する辞令を白紙にさせてもらった。静乃はただの学生であり、アンタらが思っている程優秀ではない。静乃を連れて帰ったら、イギリス本部長は人を見る眼がないと陰口叩かれるぜ?』」

『しかしボクにはボクの考えがあって、シズノが優秀だと見ているのだけど、ね』

「『言ったろ?証拠も集まったからガサに来た事をな、余り俺を怒らせると白騎士機関を潰してもいいんだぜ?ランクSSSである三人目の神皇帝に敵うと思っているのか?』」

「灰村!貴様は自分がランクSSSだと『口を慎め、凡人理事長さん。アンタを一時的に理事職を解任すると零社長からの通達だからな、捜査官はそいつを連れて行け!』むぐ・・・・」

凡人理事長の口を押えた後に、証拠となる理事長の部屋に捜査のメスが入り、亜鐘学園の理事長室にもメスが入った。との連絡を聞いた俺は静乃をお姫様抱っこにしてから、エドワードに言った。

「『凡人理事長との密談も企みも全てぶっ壊してやったが、アンタはどーするんだ?』」

『タダノリは捕まってしまったし、ここは捜査のメスが入った。ならばキミを倒して、シズノを奪還させてもらおうか』

「『へえ~、俺と戦いたいのか。まあいいぜ、まずは俺らの車を追って来いよ。この家は最早凡人理事長の家ではなく、蒼い翼によって差し押さえられる。それと白騎士機関の定めでは、法を犯した《救世主(セイヴァー)》は極刑のはずで学生といえど情状酌量の余地がある。ランクSのお前さんと戦ったら内政干渉に当たる事だが、全ては蒼い翼が監視しているから問題はない』」

『ならそうさせてもらおうか』

言う事を言った俺は、車の所に戻り静乃を後部座席に行かせてから、運転席に乗って車を発進させた。原作だとメタリックブルーでアニメは赤だったけど、俺の車は赤・青・銀の派手なフェラーリだ。少し経ってから、立ち上がり俺らを追う事にしたエドワードは口元の汚れを拭いてから紳士な笑みから戦闘する笑みを浮かべたのだった。長身に、紫光(プラーナ)を纏ってから、その表情にはこう書いてあった。我が意を得たり(That's just what I thought)・・・・と。ではあるが、逆に敗北を得るのではないかと漆原家にいた捜査官全員と執事の立村さんだけはそう思っていた。 
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