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WATCH DOGS 〜in RIDER WORLD〜

作者:カツゲン
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PHASE 3 大切な人

翔はお気に入りのバイクsayonaraを走らせ、
フルーツパーラードルーパーズへと向かった

彼は前々からある人物とそこに行く約束をしていた

(にしてもこんな時間からパフェか…キツイな…)

そんなことを考えている内に
目的地へとたどり着いた

バイクを停めて周りを見渡す

(まだ…来てはいないか)

携帯を取り出そうとすると
一人の男が目に入った
帽子を深めに被ってはいるが
顔には見覚えがあった

(あいつ…確か高校の時の…
名前は…そうだ、真野だ、真野)

その男の名前は真野亮介
高校時代に翔と同じ学年にいた男だ
物静かなやつで
あまり関わったことはなかった

(さっきまでいたかな…)
「よ!」

突然後ろから声をかけられる
どうやら真野を見ているうちに近づかれていたらしい
驚いて振り向くと、
そこには約束をした相手がいた

「やっと来たか、夏希」
「ごめんごめん、ちょっと仕事が長引いちゃった」
「とにかく入るぞ」

店に入る時、チラッと真野がいた方を見る
だが、すでに彼の姿はなかった



「いらっしゃいませー!」

扉をくぐると
若い男の店員が来た

「2名様ですね?
こちらへどうぞー」

案内された席に座る
店員が離れると、すぐに夏希が
話しかけてきた

「ねえねえ!今の人、ビートライダーの人じゃない?」
「え?」

カウンターの辺りに向かった
店員の顔を見る
確かに、彼の顔には見覚えがあった

「確か…鎧武!チーム鎧武の鎧武!」
「そのまんまだな」

あまり興味はないといった感じで
翔はメニューに目を移す
ビートライダーズは一応正義のために戦っているようだが
一部はそうではないという噂もあった
特にこだわりはないので、
適当に一つのパフェを選んだ

「注文決まったか?」
「うん!絶対に食べたいなってのがあるの!」

店員を呼び、パフェとドリンクの注文をすませる
すぐに運ばれてきたジュースを飲みはじめると
再び夏希が話しかけてきた

「そういえばさ、知ってる?さっきスタジアムで
停電が起こったんだってー」
「え、あ、うん、らしいね、キイタキイタ」
「警察が調べたらしいけど
特に電気系統に異常はなかったらしいよ
あと、地下でも何かあったって話だけど…警察が
口封じをしているとかなんとか…
ギャング同士の抗争って話もある」

彼女の話を聞く限り、
警察は完全にジョルディの策略にはまっているようだ

そう思って安心したのも束の間、
夏希の口から信じられない言葉が飛び出した

「私は…最近噂のビジランテも関わってると思うんだけどな…」

それを聞いて、
翔はむせてしまった

「え、ちょっと!大丈夫?」
「ゲホッ…うん…もう直った
えっと…ビジランテ?そんなわけないろ
そもそも実在すんのか?(まあここにいるけど)」
「私も見たことあるわけじゃないから…
でもどんな人なんだろー!
きっとかっこよくて運動神経がすごい人だよね!
そうじゃないと
よく聞くような仕事できなさそうだし」

正体を知らない彼女にとってのビジランテは
自分とは別の誰かの事であった
そう思うと、自分の目の前でそんなことを言われて
変な気持ちになる

「おいおい…俺がいるだろう
そんなこと言うな
ビジランテなんて、ろくな奴じゃないさ(実際そう)」
「そんなことないよ!…多分」

しばらく会話を続けていると
注文したパフェがやってきた
二人はそれを食べ始め、20分後には完食し、店を出た

「それじゃあ、あっという間だったけど」
「うん、また来ようね!」
「ああ、いいさ
今日は…というより今日も、楽しかったぜ」
「毎回言うね〜、ま、私も楽しかったけど。それじゃ」
「送っていくぜ?」
「大丈夫大丈夫、ここから家まで近いから
それに明日は仕事早いとか言ってたじゃん?」
「あ…そうだったな…うん」

彼女の言う仕事はビジランテの事ではなく
表向きにやっているIT企業での事だった

「ばいばーい!」

手を振り返し、夏希を見送る
姿が視界から消えると、
翔はバイクにまたがった

「帰って早いとこ寝るか…」

そうつぶやいて、彼はエンジンをかけた


(あいつがいるから俺は戦える
あいつがいなくなってしまっては
俺には生きる意味がなくなる)

そんなことを考えながら………

 
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