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チート戦艦の非常識な鎮守府生活

作者:諷詩
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5.初陣ヒャッハー!

ーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「提督っ!出撃許可を!」
「分かってる。アメストリア」
「何だ」
「現時点をもって第三艦隊を一時離脱。そして救出艦隊に任命。出撃せよっ!」
「ハッ!」

何故こうなったのかは少し遡る。
いつも通り第六駆逐隊の四隻(響も建造した。ピンポイントで)を見送った後、提督棟に一通の通信が来た。

我現在交戦中。至急救援サレタシ

と緊急救援通信が来た。俺はすぐに戦艦寮から離れ、妖精さんに指示を出し提督室に走った。
そして今に至る。
「ドック上げ!機関始動!全武装を起動!」
板が上昇して行き、地上のドックに到着。地面が狭まり、板を固定し、警報ベルが鳴り海水が注入。ハッチが開き、固定具が解除される。
「機関80ノットまで加速!主砲、一式徹甲弾装填!副砲、九七式徹甲弾装填!ミサイル全弾装填。」
エンジンが唸り、サブエンジンも起動し、赤いランプが灯る。
半径100000mのレーダーに味方の反応と敵の反応が30。
味方は6。敵が24だ。はっきり言って異常だ。一艦隊を四艦隊を囲んでいる。
ここからも攻撃できるが、誤爆、FF(フレンドリーファイアー)が起きる可能性もあるため、至近距離に近づく(50000m)。

ーーー三人称(多分)ーーー
一方、パラオ鎮守府に緊急救援通信を行った艦隊は困難を極めていた。
船体の整備不足や圧倒的な弾薬不足もあり、既に大鳳が大破。高雄型重巡洋艦の四姉妹も大破、又は中破であり、唯一小破で済んでいる龍驤が必死に艦載機を飛ばしているところだった。
対して深海棲艦は余裕を持って傷ついている艦隊を包囲し、ジワジワと滅ぼしにかかっていた。
このかなり不幸な艦隊はタンカーの護衛任務を押し付けられ、使いまわされ、極度の疲労困憊の状態の中、深海棲艦から奇襲を受け、なす術なく大鳳が大破。すぐにイ級を沈めたが、待ち伏せにかかり、次々と大破に追い込まれている。
「高雄!ほんまに救援通信出したんやろな!?もううちらは捨てられとんやで!」
そう。彼女らの鎮守府はいわゆるブラック鎮守府であり、その中でもトップクラスの悪さを誇っており、大本営も介入したが、それなりに戦績を挙げており、家柄も良かったことで憲兵隊までもが腐敗し、完全に手をつけれない状態となり、更に悪化していった。
駆逐艦は弾除け、奴隷。軽巡や重巡は使える奴を除き使い捨て。軽空母も使い勝手の良い捨て駒として扱われ、最低限の食事?しか与えられず、主力級である大和や武蔵でさえも疲労していた。
「えぇ!でも、きゃあ!?まだ、来てないわっ!!......いえ、一隻だけこっちに!」
「味方?」
「分からないっ!」
刹那、立ち込めていた黒煙をナニかが突き破り、前方の深海棲艦を''何事も無かったかのように''
船体を抉り取り、爆発。5隻の深海棲艦が一瞬で消滅した。跡形も無く。

『え?』

これは艦娘達だけではなく、深海棲艦もそう言う声を漏らしたであろう。
驚きのあまり双方が砲撃戦を辞めてしまった。
そして更に黒煙から巨大な鋼鉄の砲弾が飛び出し、更に命中。赤いオーラを纏っていた深海棲艦を軽く抉り飛ばし、奥にいた深海棲艦をも纏めて抉り、爆発。深海棲艦は反撃をするまでも無く、
半分が一瞬で消えた。

ーーこれは戦争なのかしら?一方的な蹂躙か何かじゃないの?

と高雄は思う。無理も無いだろう。目視は到底出来ない黒煙から精確に砲弾が二発も飛んできたのだ。大和でも無理だろう。
「待たせたな。これより戦闘に介入する」
澄んだ声が響き、全員に聞こえて来る。そしてドス黒い黒煙から巨大、という言葉が足りない程の巨大な艦影が浮かび上がり、赤く光ったかと思うと白い音速の矢が飛翔し、寸分違わず深海棲艦に命中。大爆発を起こす。
「あ、あの艦影は何なのよっ!?」
だんだんと艦影がくっきりと見えてくる。一見大和型に見えるが、巨体さがそれを否定する。
艦首は500t近くの海水を一気に掻き分け、甲板に載る異質な存在感を誇る四連砲。本来主砲に使われる筈の46cmが副砲の位置に設置されている。
ハリネズミとも称された側面に隙間なく設置される30mm機関砲。
その巨大さと圧倒的な火力に全員が恐怖した。
「な、何あれ...」
「わから、無い....」
「何や、アレは.......」
そして四連砲が音も無く回転し、艦娘の艦隊に向けられる。
高雄は思わずその100cmは軽く超える砲口と目が合い、へたり込んでしまう。
「私はパラオ鎮守府所属の艦娘だ。貴官らの緊急救援通信を受信し、提督の命により参上した。被害状況を報告してくれ」
「わ、私はトラック泊地第三鎮守府所属の高雄よ!こっちは大鳳と摩耶、鳥海が大破。私達は中破。龍驤だけが小破よ」
「了解した。全艦の曳航を開始する」
全艦?艦娘の殆どが疑問に思っただろう。たった一隻で正規空母一隻に軽空母一隻に重巡四隻を一斉に曳航出来る艦艇がいるんだろうか?と。しかしアメストリアは違う。船体は4600mを超え、馬力は大和を20隻曳航してもあまり衰えない。高雄はまたも驚愕する。

ーーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーー
heyheyhey!!!俺がアメストリアだ!
現在俺と''彼女''はとても気分が良い。何たって初の出撃なんだから。
「主砲起動!一式徹甲弾装填っ!ガンガンてぇー!」
衝撃が断続的に走り、砲撃が開始。10tの鋼鉄が黒煙を突き破りながら進んで行く。俺はとくに命中など気にせずに装填を急がせる。
「てぇー!」
更に発射。唖然とし、何処か俺を恐怖の目で見ている艦隊に盾になるように滑り込む。
そして四連砲が艦隊に向けられ、右舷側の砲台がフルファイアし、残りの深海棲艦を大体消し去る。
「待たせたな。これより戦闘に介入する」
妖精さんに指示を出し、ミサイルハッチが高速で二十個開き、白い音速の矢が飛んで行く。対艦ミサイルだ。残りには良いだろう。
「妖精さん。今回の消費弾薬は?」
''500ですっ!''
まさかの一隻で三桁である。異常だが、仕方ないだろう。
主砲八発にハープーン二十発、副砲十八発に30cm三連砲が24発。あとは無し。ん?70発で500消費?多いのか少ないのか.......
さて、救出する艦隊だが、高雄の報告によると大鳳、摩耶、鳥海が大破。高雄、愛宕が中破。龍驤が小破と中々ボコられたようだ。
まぁ、キツイだろう。全艦曳航して行く。戦艦を舐めるなよ?馬力、凄いんだぞ?
しかも速度は変わらず。しかし壊れるので15ノットに減速しているが。
しっかしこのアメストリアには色々と無駄に設備が整っている。
会議室やホテルさながらの客室に間宮並の生産量を誇る食堂に浴室。
エンジンから大量のエネルギーを回せば、船内の工場が起動し、指定した物を増産して行く。
「な、何これ......」
まぁ、当然の反応と言える。一応警戒として一番砲塔が高雄に。二番砲塔が愛宕に。三番砲塔が後方にいる龍驤に。四番砲塔が大鳳、摩耶にそれぞれ二本ずつ砲身を向け、五番砲身が鳥海に。
「私はパラオ鎮守府所属の艦娘だ。貴官らの緊急救援通信を受信し提督の命により参上した。被害状況を教えてくれ。」
やはり、見たとおりだった。大破多いな...俺もだけど。
「了解した。全艦の曳航を開始する。」
と言った途端全員がえっ?っていう表情を浮かべた。ん?何かおかしいか?面倒かったから全艦曳航する。さっき決めた。実行するだけだ。全艦に頑丈な鋼鉄のワイヤーが括り付けられ、曳航して行く。船体の損傷が酷かった大鳳と鳥海にはすぐに妖精さんを向かわせ、艦娘は一旦此方の船内に
保護。入渠してもらっている。しかし大鳳は特に酷く、艦娘の方も被弾していた為応急修理妖精さんが出動。今は医務室に寝ている。
ふむぅ......暇だな。やる事がない。入渠は少なくともあと一時間はあるだろうし、やる事が無い。
ヤベェ.....本当に無い。仕方ないので頑張ってくれた艦長妖精さんを膝に乗せ、なでなでしてあげる。きゃっきゃと喜んでいるし、なによりこっちが癒される。可愛い......
「アメストリア、パラオ鎮守府に向けて航行。第一種戦闘態勢を維持。対艦、対空、対潜警戒を厳としろ」
レーダーが魚一匹足りとも逃がさないと言いそうに入念に二個のレーダーが索敵し、全機関砲が様々な砲口に向いていく。主砲には一番砲塔が一式徹甲弾。二番が結界式散乱弾、三番、四番が三式弾を。五番が一式徹甲弾を。結構万全......

「ありがとう。本当に助かったわ」
三人の艦娘、高雄、愛宕、龍驤が妖精さんに連れられ幾分か経った後第一艦橋にやって来た。
どうやら艦娘は修復が終わったみたいだ。
案内役の妖精さんがビシッと敬礼してトタトタと走っていった。うん。かわゆす。
「いや、当然のことをしたまでだ。そして感謝はうちの提督に言ってくれ。私は従ったまでだ」
「それでもよ〜?」
愛宕ってどんな時でも間延びするのか?まぁ、キャラがいかんせんたくさんいるからキャラ被りしないようにだと思うが......
「それより、貴女、艦種は戦艦だろうけど、艦名はなんて言うの?」
「機密だが、良いだろう。他言無用で頼む。私の名はアメストリア型戦艦一番艦アメストリアだ。名前こそ外国だが、艦影から分かる通り日本艦型だ。しかし私は第二次世界大戦の艦艇では無い」
「アメストリア.......ね。分かったわ。私達は偶然通りかかったパラオ鎮守府の艦隊に助けられた。今私達が乗っているこの戦艦は知らないし、見ていない、これでいいかしら?」
「あぁ。感謝する。さて、先程提督に報告したが、貴官らをパラオ鎮守府まで曳航し、完全に修理したのちトラック泊地に別の艦隊が護送する」
「.......いいの?」
「あぁ。提督の指示だ」

パラオ鎮守府近海に到着すると巡回帰りの第六駆逐隊と合流。一隻ずつ曳航してもらい、中型艦用ドック(地上)に入れ、地下のドックにて修理を開始。俺もドックに入り何時もの通り固定具で固定され、排水。板が割れ、下降してゆく。三人は驚愕していたが、これ位で驚くか?
確かに妖精さんには作れないレベルの建造物だ。しかしこちらには4900年の最新技術を蓄積した熟練の妖精さんがいる。これ位朝飯前らしい。前は一から星の建造や10000m級の宇宙戦艦を建造していたらしく、確かにと納得してしまった。10km超えの戦艦を考えたくないが。
「す、すごいわ...」
「わしも初めて見たで、地下にあるドックなんて」
完全にドック(地下)に入り、移動しなくなると工廠長が走ってきた。
俺は大破艦の艦娘を担架に乗せ妖精さんにすぐに運ばせた後、事情を説明する。
工廠長は久しぶりにまともな艦の修理ができるわいと言いながら工廠妖精さんを集めて素早く作業を開始。俺はそれを見送り三人を提督室まで案内してゆく。
面倒だが、人材不足は深刻なため仕方無い。
「提督、アメストリア只今帰港した。」
「入って」
三人を招き入れ、俺は扉の側に立つ。足を肩幅に開き、手を前方で組む。豊かな胸が道着で抑えられているとはいえ、多少持ち上げられる。ん?意外と重い...?まぁ、いいや。
足は流石に壁に寄りかかってつかないが、寄りかかる。疲れるんだ、立ちっぱなしって。
 
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