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ハイスクール・DM

作者:龍牙
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14話

「で、無能の妹。今から駒王町(ここ)に居るカラス共の拠点に乗り込んで、詩乃を助ける序でに駆除して来る」

「ダメよ! 貴方の行動が悪魔と堕天使の関係に多大な影響を及ぼすのよ!」

 公園から一番近い……裏関係の物騒な話が出来る場所が偶然此処だけだった為、アウトレイジの仲間達の合流場所にオカルト研の部室を選んだわけだが、一誠が気絶している理由を説明させられた結果、こうしてリアスに止められていると言う訳である。

 散々四季に殴られた一誠は未だに気を失っているが、起きていれば自分もアーシアを助けに行くと言うだろう。

「はぁ、そんなモノ知った事か。第一、オレは悪魔側じゃないだろ」

「貴方ね……二天龍に勝利したと伝えられている無法龍(アウトレイジ・ドラゴン)の名前の持っている価値がどんなものなのか分かっているの!? この駒王学園は私とソーナの管理している場所なのよ、最悪、人間であっても其処の生徒は悪魔側の関係者と思われるわ! そんな貴方が堕天使と敵対したら……」

 悪魔が無法龍を使って堕天使を殺したと受け取る者も居り、最悪は『無法龍を配下に加えた悪魔側が戦争を起こそうとしている』と考え、それを理由に嬉々として悪魔側に対して戦争を起こそうとする者も居ると言う事だ。

 リアスの言葉に四季は答えず『バァン!』と言う衝撃音と共に部室の一部が破壊されている。其処に居るだけで周囲の空気さえも燃やしそうな高温を纏い、その瞳に『冷静』の色は無く怒りの感情だけが四季の心を支配していた。辛うじて残っている冷静さが周囲を真夏程度の温度で保っている状態である。

「安心しろ、そんなに堕天使との関係が心配なら……オレ達が堕天使をお前達の勢力図から消してやるよ」

「っ!?」

 誇張でもなく本気で言っている四季の言葉に思わず絶句してしまうリアス。当然ながらそんな事になれば天使側も動くだろう……当然、悪魔側にも動きはある。寧ろ……余計に悪い。堕天使の全滅などと言う事態になったら、危機感を持って行動に移った天使と悪魔の最終戦争へと突入するだろう。

「カラスが消えた事に文句が有るなら、オレ達が新しい三番目の勢力になりゃ良いだけの事だろうが。最終的にグレートレッド辺りを追い出して土地を乗っ取れば場所も問題ないだろ。どーせ、天子が原材料だ……ほっときゃそのうち増えるだろ?」

 その為ならば、アウトレイジクリスタルの所有権をカツキングに返せば良い。一人の女の子も守れなかった無力な己にアウトレイジの至宝の所有者としての資格など無い、心の中で既にそう自嘲している。

 どうせ止められた所で行かないと言う選択肢など最初から有る訳がない。……詩乃が攫われた、神器を狙われて……その二つの事実が、四季を焦らせているが、流石に此処まで先日の話し合いの後でこんな事をされたのだ……既に堕天使側にかける情けなど無い。

 それに、万が一今回の事件で詩乃が犠牲になっていたら……本気で堕天使を皆殺しにしても気が済まない。四季にとって彼女の価値はアザゼルを初めとする幹部の命だけでなく堕天使全員の命と比べても尚大きい。

「それに、オレを止めた所でコイツも行くだろう。殴る前に聞いた話じゃ、元々こいつと一緒に居たシスターの神器が目当てだったらしいからな」

 だからと言って一誠に詩乃の事を委ねる等と言うマネは絶対にしない。彼女が危機に曝されている問いのならば、何を於いてでも駆けつけるだけだ。……それでも、仲間のアウトレイジ達への報告と連絡・合流と言う事を考える程度の冷静さは有った、と言う訳だ。

「一誠もそうだけど……駄目よ! 判ってるの!? 貴方が向かおうとしているのは、堕天使とはぐれエクソシストの巣窟なのよ!」

「ああ、だから……此処で集まる約束をしていたんだよ」

 一人で敵の拠点に乗り込むほど冷静さを失っては居ない。……二天龍さえ纏めて討伐できるだけの戦力を既に手配済みだ。敵が数ならば此方は圧倒的な“質”で叩き潰す。詩乃を傷付ける相手は絶対に許さない四季が、彼女の命を奪おうとしている、其処に居る堕天使もはぐれエクソシスト等、誰一人逃がす気はない。


「ああ、そう言う事だ」

「へっ、オレ達に喧嘩売った事を後悔させてやろうぜ」


 先ほど破壊した部室の一部から入ってくるのはクロスファイヤとジャッキーの二人……クロスファイヤには公園で一度別れ、位置は分かっているが連絡できないアウトレイジの上級の実力者達を呼び出して貰う事を頼んでいた。

 ブルースとカツキング、ジャッキーの三人と他の二人のアウトレイジが、近場に居る比較的連絡が付き易い上位の実力者達だ。

「キングの野郎は敵の溜まり場で合流、ブルースは本拠地に仕掛けるそうだ」

 クロスファイヤの言う本拠地は廃教会などでは無く……グレゴリのほうで有る。

「ありがとう、クロス。ジャッキーさんはブルースに手を貸して……確実に敵の本拠地は落としたい」

 ……この数時間前、やっと連絡が付いたレイナーレと共に行動していたとある堕天使に対して、詩乃に対して手を出さない事と、早く戻ってくる様に連絡をしたのだが……結果、既に手遅れだった事をとある金髪ロリな堕天使からの連絡を受けて危険を感じていたアザゼルを更なる悪寒が襲った。

「……売られた喧嘩……徹底的に買ってやろう、カラス共!!!」

「「おう!」」

 この場にアザゼルが居たら全力で『売ってない』と否定したい所だろう。寧ろ、幾ら積んでも返品して欲しいところだろう。

「っ! 小猫、祐斗、直ぐにシキを止めなさい!」


『おっと、邪魔はさへんなぁ』


「「「っ!?」」」

 そう言って現れるのは太陽の様な鬣が特徴的なアウトレイジ、自然の勢力に属するアウトレイジ達のトップの一角である『極太陽 シャイニング・キンジ』。

「おう、ガキ共、こいつ等の相手はワシがしておこうか」

「頼みます、キンジさん」

 余裕の態度で腕を組みながら後ろに居る四季達に向かってそう告げるキンジ。


『ええ、私も居ますからご心配なく』


 続いて現れるのは光り輝く鎧を身に纏った……リアス達悪魔には天敵と言える光のオーラを纏ったアウトレイジ、光の勢力に属するアウトレイジのトップの一角『驚異的陣形(アメイジングアロー) アレキサンドライト』だ。

 キンジとアレキサンドライト、彼らがクロスが呼びに行った残りの二人だ。

「なんでお前と仲良くせにゃならんのじゃ、こいつ等程度ならワシ一人で十分じゃ」

「四季の邪魔をさせないと言うのなら二人の方が確実でしょう」

「それもそうじゃな」

 内心、彼らも四季に堕天使皆殺し等と言うかつてのオラクルの様なマネはさせたくはない。……だが、今の四季を止めるには詩乃を助ける必要が有るだろう。四季にとって全ての堕天使の命は詩乃一人よりも軽い。ならば、彼女が止めれば四季は止まる。

 そして、リアス達が邪魔をするならば躊躇は無いだろう。だからこそ、確実にリアス達に邪魔をさせない様に足止めする必要が有る。

 カツキングとUKパンクに並ぶ他のアウトレイジ達三人とは残念ながら連絡は付かなかったが、戦力はこのメンバーだけで十分だった。


 
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