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第二章

「まあそれでもね」
「あんたのことだから」
「別にいいと思うけれど」
「それはそれでね」
「悪事をして儲けないからいいでしょ」
 南は胸を張って言った、すると大きめの制服の上からもその形がはっきりとわかる胸が微かにだが動いた。
「ちゃんと働いてだから」
「まあね」
「犯罪とかギャンブルさえしなかったらね」
「別にいいわよ」
「ちゃんと働いてなら」
「じゃあ今日からお店に入るから」
 そのアイスクリーム屋にというのだ。
「気合入れて稼ぐわ」
「頑張ってね」
「あそこ美味しいから時々行くからね」
「その時はサービスお願いね」
「ええ、是非来てね」
 何気に商売人気質をだ、南は早速見せていた。そのうえで早速その日から元気よくアルバイトに入るのだった。
 店の店長は若い男だった、ミミはチェーン店であり八条グループという巨大企業の食品部門の一つだ。彼はその店の一つの責任者なのだ。痩せて眼鏡をかけた髪が少しぼさぼさとしているが清潔な感じの男だ。
 彼は南にだ、店に来たところでこう言った。
「じゃあ今日からね」
「宜しくお願いします」
 南は店長にぺこりと頭を下げて応えた、店長はその南にさらに言った。
「お店の服とエプロン、それに帽子着てね」
「それで、ですね」
「働いてね。あとね」
「いつもですね」
「うちは食べもの扱ってるから」
 アイスクリームのことに他ならない。
「だからね」
「清潔にですね」
「そう、とにかく清潔にね」
 このことはというのだ。
「絶対に」
「わかりました」
「あと接客もね」
「明るく礼儀正しくですね」
「クレーマーへの対処は僕がするから」
 そうした困った客には、というのだ。
「何かあれば呼んでね」
「そのこともわかりました」
「じゃあカウンターにいてね」
「接客ですね」
「アイスはあの娘が入れてくれるから」
 大学生位の長身で奇麗な女の人の店員を見ての言葉だ。
「君はあの娘からアイスのことを教えてもらって」
「まずはですね」
「接客とレジをお願いね」
「やらせてもらいます」
「じゃあ僕はお店の中で事務やっておくから」
 店長として、というのだ。
「それが終わったらお店に戻るから」
「そうされるんですね」
「そういうことでね、お願いするね」
 店長は南にここまで言って実際に店の中に入って自分の仕事に入った、そして南はそのままカウンターに入った。カウンターとアイスの場所は同じになっている。 
 そこに入るとだ、その美人が南に言って来た。
「はじめまして」
「あっ、はじめまして」
 南は彼女に深々と頭を下げて応えた。
「宜しくお願いします」
「こちらこそね。それでだけれど」
「はい、私は御神南といいます」
「御神さんね」
「南って呼んで下さい」
「じゃあ南ちゃんでいい?」
 微笑んで南をこう呼んだ。
「こう呼んで」
「はい、宜しくお願いします」
「私は津田佳子っていうの」
「津田さんですか」
「佳子って呼んでね」
 彼女、佳子もこう返した。 
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