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ペー族の服

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第一章

                       ペー族の服
 杜建成は湖南省の生まれてそこで育っている、しかし妻の趙白菊は四川省の西の生まれだ。白菊が湖南の大学、建成の大学に来てそこで知り合い結婚した。
 だから言葉や料理が何かと違う、だが二人はそのことを嫌がる訳でもなくこれが地域差と思い楽しんでいた。
 その白菊がだ。
 ふとだ、ある日夫にこんなことを言った。
「今度の夏私休みが取れたから」
「だからか」
「旅行に行かない?国内のね」
「我が国の」
「そう、どうかしら」
 こう四川の言葉で夫に言って来たのだ。自宅で夕食を共に食べている時に。
「それで」
「そうだな、たまにはな」
 建成も妻の言葉に頷いて言った。
「旅行もいいな」
「そうでしょ、それも国内ならね」
「場所によるけれどな」
「外の国に行くよりもお金も時間もかからないし」
「チェックも楽だしな」
「だから何処か行きましょう」
「行くっていっても何処にするかだな」
 建成は妻が作った四川料理を食べつつ答えた。
「一体」
「そうね、具体的には何処に行くかがね」
「問題だからな」
「そこはこれからね」
「じっくりと話してか」
「決めましょう」
「そうだな」 
 こうしてだ、二人でだった。
 実際に何処に行くかこの日からじっくりと話した、そして決まったのは。
「雲南がいいかもな」
「そうね、あそこがね」
「山を見に行くのもいいか」
「海や河もいいけれど」
 最初は広東や黄河流域も考えた、だが二人で話を詰めているうちになのだ。
 山を見に行こうという話になっていった、自然に。それでなのだ。
 二人は雲南に行くことにした、そして雲南でもだ。
「大理か」
「昔で言うとね」
「そこに行ってか」
「色々と見たり食べたりしてね」
 そうしてというのだ。
「楽しみましょう」
「そうしようか、そういえば」
 ここでだ、建成は白菊が買って来たその雲南の大理の旅行ガイドブックを開きながらこうしたことも言った。
「ここは白族の場所か」
「ペー族のね」
「あの辺りも民族が多いな」
「ええ、昔からね」
 こう話すのだった。
「大理ってl国もあったから」
「そうなんだよな、あの国もあって」
「今でもね」
「ペー族がいるか」 
 白族を漢語で読むとペーとなるのだ。
 それでだ、こう言ったのである。
「じゃあペー族の料理も食べて」
「景色も楽しみましょう」
「そうしようか」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人はそのペー族の自治州に旅行することにした、湖南から雲南省の方に鉄道で行った。その鉄道旅行の中で。
 ふとだ、建成は車窓の外を見つつ共にいる白菊に言った。
「雲南までが」
「遠いのよね」
「この行く途中だけでも」
「ええ、かなりのね」
「旅行なんだよな」
「この列車の旅も楽しみましょう」 
 微笑んでだ、白菊は夫に言った。
「これから」
「そうしような、長い旅になるけれど」
「こういうのも楽しいわ」
 二人でだった、鉄道での旅も楽しんでだった。 
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