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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十話 サッカー少女その十

「少なくとも男子には見えない」
「そうだよね」
「喋り方は違うがな」
 僕は横で聞いていてそれは一人称のことだと思った、何しろ『僕』と今言ったからだ。それで井上さんもそう言ったのだと思ったのだ。
「紛れもなくな」
「そうだよ、女の子だよ」
 実際にそうだとだ、その人も答えた。
「僕はね」
「そうだな」
「それでお名前は」
 今度は千歳さんがその人に尋ねた。
「何ていうんですか?」
「あっ、僕の名前ね」
「はい、まだお聞きしていないですけれど」
「ニキータていうんだ」
「ニキータさんですか」
「うん、ニキータ=ヒダカ=ゴンザレス」
 笑顔でこう僕達に名乗った。
「宜しくね」
「ニキータさんですか」
「あっ、僕には敬語はいいから」
「それはどうしてでしょうか」
「僕も使わないし、それに」
「それに、ですか」
「僕一年だから」
 それで、というのだ。
「一年生だから」
「じゃあ私と」
「君も一年なんだ」
「一年F組で」
「僕は一年D組だよ」
 こう千歳さんにだ、明るい笑顔で言った。
「お互い一年生だね」
「まさか」
「いやいや、まさかじゃないよ」
 ゴンザレスさんは笑ってこのことも否定した。
「高校なら一年、二年、三年しかないじゃない」
「言われてみれば」
「僕が一年ってのも普通にあったことだよ」
 明るく自分のリードでだ、ゴンザレスさんは千歳さんに話していた。
「それとね、僕皆に敬語も使わないから。そういうこと苦手だから」
「それで私も」
「そう、敬語じゃないと駄目ってのならいいけれど」
 それでも、というのだ。
「そうじゃなかったらいいからね」
「それじゃあゴンザレスさん」
「あっ、名前もニキータでいいよ」
「呼び捨てで?」
「何ならニキーでいいよ」
 こうも言うのだった。
「もうそれでね」
「あっさりと」
「そう、渾名でもね」 
 それで呼んでもいいとだ、ニキータさんは千歳さんに話した。
「いいよ」
「そうなの、じゃあニキー」
「うん、そう呼んでね」
「これから宜しくね」
「皆宜しくね。あと僕サッカー大好きだけれど」
 明るい調子のままだ、ニキータさんは僕達にこうも言って来た。
「他のスポーツも好きだから」
「どんなスポーツが好きなの?」
「球技なら何でも好きだよ」
 明るい、太陽みたいな笑顔での言葉だった。
「それこそね」
「じゃあバスケも」
「バレーも野球もね」
「ブラジルでも野球するのね」
「最近ね、それで僕も野球観てるよ」
 ニキータさんは千歳さんとお話しながら僕達にこのことを教えてくれた。 
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