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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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コント“襲われるぅ~”

楽しい時間というのは素早く去って行くもの…
最高に楽しいお誕生日会も終わり、次の目的である『愛の思いで』を手に入れる為、私達は幽霊船を目指してます。

ロマリア港を出港して3日…
私達の前方に薄気味悪い船影が見えてきました。
やっべ…ちょっと怖いかも…
思わずウルフに抱き付いてしまう…

すると彼は私を左手で抱き寄せ、そのまま乳を揉み出した。
え、こんな時に!?
思わずジト目で見上げると、爽やかな笑顔でウィンクし、サムズアップで答えてくれた。
あぁ、ワザとか…チャラけて落ち着かせてくれたのか…
本当にお父さんに似てきたなぁ…


「めんどくせー!僕はお船を守る係に徹するよ!」
流石は私のお父さん…気の抜ける声でサボタージュ宣言!
「アナタの娘さんの我が儘に付き合うのですよ!しかもアナタまで推奨したではないですか!!責任を取って下さい!」
そんな事は許さないのが女勇者のアルルさん。
半ば強引に幽霊船へと乗り移る。


「そう言えばビアンカは、もうお化けは怖くないの?」
あぁ…そう言えば幼い頃のお母さんは、そう言う設定だったなぁ…
「………何時の話をしてるのよ!」
「ついこの間…猫さんパンツを見ちゃった時」
何だパンツ見たって?どんなシチュエーション?
「もう!………まだ怖いから手を繋いでてね♡」
つか、薄暗い幽霊船内でイチャつかれるとガチでイラつくんですけど!?
お前等帰れよ!って言いたくなる…

しかし此処はダンジョンなのだ…
幽霊の人もチラホラ居るが、モンスターの人もガッツリ居る!
明確な理由を提示出来ないまま、私が幽霊船まで導いた手前、戦闘を手抜きするワケにもいかず、私とウルフは一生懸命戦っている。

暫く戦闘をこなし幽霊の人に話しかけてみると…
「多分、僕はもう君には会えない…誰かオリビアに伝えて欲しい…愛していると…この船底に隠した思い出のペンダントと共に…誰か伝えてくれ…僕とオリビアの愛の思い出を…」
と、ブツブツ独り言を言う暗い男に出会しました。

うん。間違いなくコイツが『エリック』だ。
つーことは間違いなく何処かに『愛の思い出』があるはずね。
「お父さん…私達の探す物は、エリックさんとオリビアさんの『愛の思い出』よ!きっと何処かに、奴隷達の寝床があるはず…其処に行きましょう!」
言うが早いかさっさと歩き出す私。
勿論ついてきてくれるのはウルフ…
私を守る様に付き従ってくれる。
今夜は寝かさないわよ♥


船内を探索する事数10分…
何だか小汚い部屋を発見しました。
多分…きっと…ここが奴隷の人達の寝床だと思う…

それ程広くない室内を探し回り、床の隙間にペンダントの様な物を発見しました。
「やった!!これよこれ!これが『愛の思い出』よ!これでオリビアのヒスも収まるはずよ!」
よっしゃぁー!
これさえあれば『オリビアの岬』も大丈夫!

「…なぁマリー…『オリビアのヒス』って何?」
少しばかりはしゃぎすぎたのか、お兄ちゃんが疑問を投げかけてきた…
う~ん…マズッたかしら?

「…あ!………っと…え~とぉ…や、やだぁ~、お兄様のえっちぃ!!」
ちょっと強引に話を終わらせる。
だって“ゲームでやったから!”って言える訳無いじゃん!
「え!?あ…ご、ごめん!そんなつもりじゃ………」
うん。上手く誤魔化せるとは思ってなかったよ。
逆にビックリッス!


「きゃー!ダレかタスケてー!!」
そして私の誤魔化しに追い打ちをかける様に、どことなくわざとらしい悲鳴が部屋の外から聞こえてくる。
取り敢えず悲鳴の聞こえてくる方へと向かう私達。

其処にはフードを頭に被り女の子っぽい恰好をしたミニデーモンと、襲いかかるフリをする腐った死体が2体…
何やってんだ?

「なぁティミー…アレ、何やってるんだと思う?」
「さぁ…僕には分かりませんが…父さんの方が詳しいのでは?モンスターや女の子の事なら得意分野でしょう!」
満場一致で何をやっているのか分からない…
私達は呆然と眺めているだけ。

「襲われるぅ~!タスケて~!」
何だ、お遊戯会か?
それともコントか?
タイトルは『襲われるぅ~』って感じ?

「ねぇリュカさん…どうすれば良いんでしょうか?歴戦の冒険者として、良い対処法があるのでは?」
「………放っとかね、こんな奴等!?」
うん、それが良いと思うわ。
でもコントを中断し、ミニデーモンが私達に近付き怒鳴り出す。
「ちょっと、助けなさいよ!か弱い女の子が、凶悪なモンスターに襲われてるんだからね!」

女の子?
口調はそうだけど…そうは見えないなぁ…
どうしたいの?

「お前もモンスターだろが!見逃してやるから、あっち行って友達と遊んでろ!」
流石お父さん…モンスターの扱いに慣れてるわぁ~
「さ、流石は勇者一行だな!俺様の完璧な作戦を見破るとは…」
えぇ~…あのコントのどの辺が作戦だったの?

「どうしようティミー…お前突っ込み得意だろ!突っ込んでやれよ!」
「嫌ですよ僕だって!こんなバカに関わりたくない!」
そうよねぇ…関わり合いたくないわよねぇ…

「えぇい、バレてしまっては仕方ない!お前達、やっておしまい!!」
お!演目が変わったぞ…コント『やられキャラ3人集』
“お仕置きだべさぁ~”って感じで腐った死体にメラを唱える。
ほぼ同時にウルフもメラミで腐った死体に攻撃をする。

「げ!?………瞬殺?」
いくら何でも瞬殺されるとは思っていなかったらしく、予想外の展開にブルってるミニデーモン。
ちょっと可愛いかも…

「リュカさん…どうしますか、コイツ」
そんな私の気持ちを解ってなのか、ウルフが意地悪く処遇を確認する。
「どうしよっか…?」

「ち、違うんッスよ!僕、本当は良い子なんです!でもさっきの奴等に脅されて、仕方なく協力させられてたんですよぉ!」
すげーなコイツ…今度は被害者面してるよ。
「でもさっき『俺様の完璧な作戦』って言ってたじゃん。お前がリーダーだろ?」
リュカは屈み、ミニデーモンと目線を合わせ語りかける。
「そ、そう言えって言われたんですぅ…許してくださいぃ…」

「………なるほど………でも、そうなると凄いな…あの腐った死体の作戦は!もう少しで引っかかるほどの高等戦術だったよね!いやぁ~天才だね!」
急にお父さんはミニデーモンの作戦を褒めだした…本気かしら?
「そうだろ、そうだろ!やっぱ俺様超天才!まぁ俺様ぐらいになると、あんな作戦を立案するのは朝飯前っつ~の?いやぁ~…自分の才能が怖い!なぁ~んつって!!わはっはっはっはっ!」

(ゴツン!)
「やっぱお前がリーダーじゃん!何、か弱いフリこいてんだ!」
何だ…この為か…
「あいた~!!………は!?ひ、卑怯だぞ…誘導尋問なんて!」
「誘導してねーよ、バ~カ!」

「まぁまぁリュカ…面白い子じゃない。連れて行きましょうよ!」
それこそ本気か?
「俺様は、高貴なる魔族だぞ!気安く触んじゃねー、ババアー!!」

(ゴス!!)
「っぐはぁぁぁ!!!」
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、ここまで馬鹿だとは…
お母さんにババアなんて…考えただけでも恐ろしい。

「次言ったら、その羽を毟り取るぞ!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!!もう言いません!許して下さい、美しいお姉様!」
あはははは、ちょ~おもしろーい!
ちょっと気に入っちゃった!

済し崩し的に連れて行くこととなったミニデーモン。
名前が長いのでミニモンって呼ぼうと思うけど、もっと他に名前があるのかな?
「私マリー。アナタの後頭部に、拳骨を落とした夫婦の娘よ!アナタのお名前は?」
私は極めて可愛らしくミニモン(仮)に話しかけてみる。
「ふん!下等な人間が、気安く俺様に話しかけるな!」
(ゴズ!!)

うん。予想の斜め下を行くお答えに、思わず手が出る8歳児。
「アナタのお名前は???」
再度笑顔で尋ねます。

「いたたたた…お前等親子は………ふん、俺様を呼ぶ時は『高等魔族のミニデーモン様』と呼べ!」
やっぱりミニモンだ!
「うん、分かった。ミニモンね!よろしくミニモン」

「ちょ、聞いてた!?高等魔族ミ「なげーんだよ!ミニモンで決定なんだよ!!」
なおもしつこく名前を名乗るミニモン…
有無を言わさず圧倒する私…うん、お父さんとお母さんの娘だね!

「調子に乗るなよ!」
それでも諦めないミニモンは、拳を握り締め私に詰め寄ってきた。
でもね…愛しの彼が私を守ってくれるの~♥
「俺の彼女に手を出すんじゃねぇ!」

「ふざけんな!そんなペチャパイブスに手を出すかボケェ!」
(ゴス!!)
「ぐはぁぁぁ………同じ所をポカポカ殴りやがって!」
ナイスウルフ!
ペチャは許してもブスは許せん!
「次言ったら、その舌引っこ抜くぞこの野郎!」
そうよ、オッパイはこれから大きくなるんだからね!


こんな私達のやり取りを見て、離れた所でお兄ちゃんとアルルさんがイチャイチャ・ラブってる。
「何だ…お前等男同士でイチャつくゲイかと思ったら、こっちの野郎は牝だったか…胸が無いから男かと思ったぜ!」
(ゴスン!)(ドガッ!)
「だはぁぁぁぁ………!」
う~ん…黙っていれば良いのに…懲りない馬鹿ねぇ…

「お前、余計な一言が多くて友達居ないだろ」
お父さんがミニモンを抱き上げ、ベホイミで優しく治療してあげている。
「ふん!友達など要らん!俺様は高貴なる魔族だぞ…」
まだ言ってるし…
「ふふふ…じゃぁ僕が友達になってやるから、もう少し仲良くしようぜ…お前の実力じゃ、僕の仲間には勝てないのだから、面と向かって悪口を言わない事!良いね?」
ホント…お父さんって優しいわよね。

「くっそー………何時か見てろ。必ず…復讐して…やるからな………」
気付けばお父さんに抱っこされ、寝入っちゃてるミニモン。
「もうちょっと口の悪さを押さえられれば、面白い奴なのにね!」
うん。それに可愛い。

「お前とウルフで、今の内から予行練習をしておけよ。寝顔は可愛いだろ?」
はぁ?
連れて行くって言い出したのはアナタの嫁よ!
こっちに押し付けないでよ!

「ちょ…何で俺達なの!?優先順位的にはアルルとティミーさんが先だろ!?」
本当はそうだけど…まだムリっぽいし…
「いや、この二人は…其処まで達してないし…もっと手前で止まってるし!きっとお前等の方が先だと思うし!」
それを言われちゃうとねぇ…
むくれてるアルルさんとは対照的に、何を言われているのか解ってないお兄ちゃん…
はぁ…我慢するか…



 
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