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戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー

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第十二話 上田大尉!!どうでもいいがホークスしっかりしろ!!その十七

「吹けよ風!」
「そして俺達に勝利を!」
 こう言いつつだ、その左手に持っている団扇をだった。
 上田に向けて煽った、それで風を起こし。
 上田の筆、今丁渡書いているそれを動かしてだ。そしてだった。
 上田の筆の動きを狂わせた、それは微かではあるが。
 紙にも及び上田の毛筆が狂った、それで彼は書き終えてからだった。
 己の字を見てだ、苦々しい顔で言った。
「失敗した」
「し、しかしそれは」
 先生がその二人に言うのだった。
「今の二人の団扇で」
「失敗は失敗だ」
 清廉潔白な上田は先生にこう返す、無念の顔だが毅然としていた。
「突然のことにも動かず、それが誠の書道だというのに私は」
「その突然のことを起こすこともだよ!」
「戦いなんだよ!」
 二人は書き終えてからそれぞれの字を掲げて誇らしげに言う、パワードスーツは書道も完璧にさせていた。
「この字なら文句ないだろ!」
「完璧だよな!」
「おい先生、俺達の勝利だな!」
「間違いないな!」
 二人は先生にも言うのだった。
「ほら、どうだよ!」
「判定はどうなんだよ!」
「・・・・・・君達の勝ちだ」 
 先生は憮然としながらも二人に答えた。
「君達の字は完璧だ」
「それに対して大尉の字はな」
「微かにでも歪みがあるぜ」
 それこそゼロコンマ二十ミリという範囲内であるがだ、歪みは歪みだった。これは達人にのみわかる違いだ。
「それに対して俺達の字に歪みはない」
「まさに完璧だぜ」
「俺達の勝利だ」
「間違いなくな」
 二人はそれぞれの字を掲げつつ誇らしげに言い続ける、そして。
 白波の中の岩場にそれぞれ腕を組んでポーズをつけて立ちだ、旭日をバックにしてあの決め台詞を言った。
「正義は勝つ!」
「世も末だ」
 先生はその二人を見て溜息するばかりだった。
「これではな」
「おい、俺達が勝ったら駄目だってのか」
「何だよその台詞」
「本当に心の底から言いやがって」
「そこまでの代物かよ、俺達の勝ちは」
「この世に悪が栄えた試しはない」
 こうも言った先生だった。
「君達が成敗される日を心待ちにしている」
「ちっ、そこまで言うかよ」
「俺達は何だってんだ」
「アカメが斬る!の大臣クラスの扱いだな」
「幾ら何でもあそこまで非道じゃねえぞ」
 二人は先生に対して例によって悪態で返すのだった。
「まあな、後は清水寺観光してな」
「それから帰るか」
「折角観光名所に来たんだしな」
「それから吹石一恵さんの写真集とか買うか」
「とっとと出て行けや」
 観衆の一人の容赦ない言葉である。
「御前等二度とこの寺に来るなや」
「来るなって言われたら来たくなるな」
「それが人情ってものだよな」
 二人は性根もひねくれていた。
「また来るぜ!」
「アイシャルリターン!」
「お断りします」
 ここでネットにはこのアスキーアートが次々に貼られた。
「というか清水の舞台から飛び降りろよ」
「それでさっさと死ねよ」
「せめて墓は作ってやるからな」
「そこから地獄に落ちろ」
「俺達が行くのは天国に決まってるだろ」
「酒とご馳走と美女に囲まれた天国に行くんだよ」
 所謂酒池肉林である。
「そこに行くに決まってるだろ」
「絶対に地獄に行くかよ」
「それで清水寺また来るからな」
「楽しみに待ってろ」
 こう言ってだった、二人は罵声と石、空き缶を浴びながらとりあえずは去った。そしてそれから本来の姿で実際に清水寺に来たが誰も反応しなかった。素顔がわからないということは実に有り難いことだと実感することになった。
 ジャスティスカイザーの戦いは今回も終わった、しかし日帝衆の辞書に諦めるという言葉はない。二人の戦いは連載終了か打ち切りまで続く。戦えジャスティスカイザー、負けるなジャスティスカイザー!!


第十二話   完


                      2014・10・10 
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