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東方魔法録~Witches fell in love with him.

作者:枝瀬 景
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55.入口~The Miko is brute of a woman.

 
前書き
実は受験生でした。
 

 
―stage3―

湖の周辺を捜索していると、真っ紅に染まったお世辞にも趣味がいいとは言えない西洋の館が建っていた。いつの間にか幻想郷に現れたその館は妖しさ満点。
霊夢と魔理沙はその館を目指した。
紫と言えば何時ものように、いつの間にかいなくなっていた。

「ここだここ。私は最初からここが妖しいと思ってたんだ」
「ふーん。確かに紅い霧はここから出ているようね」

館は高い塀に囲まれていて、豪勢な門の前には一人の女性が腕組みをして立っていた。立ったまま寝てるように見えなくもないかもしれない。

「どうする霊夢?」
「わざわざ律儀に入口から入る必要なんてないわ。飛んで中に入りましょ。幸い見張りは寝てるようだし」
「寝てないってば!」

眠たそうな目をしながら二人の邪魔をしに来た中華の服を見に纏った赤髪の女性。

彼女の名前は紅美鈴。しがない門番である。
彼女は例の、成長したので銀髪少女、が働き者なので仕事が減って暇なのが最近の悩み事。
あまりにも暇な時間は、趣味?である睡魔との格闘に時間を当てているとかなんとか。だが、格闘術が得意な彼女でも、実体を持たない悪魔とは戦い辛いらしく無惨にも敗北する、みっともない姿をさらす時があるとかないとか。

まぁ、寝ているとも言う。

「いいや、寝てたね」
「あ、涎の跡が」
「だから!寝てませんって!」

ごしごしと口元を擦りながら「謀りましたね!?」と言いつつ、美鈴はカラフルな弾幕を張って攻撃をする。
それと美鈴はアクマでも寝てないと言い張るようです。

「…っと、流石にそこらの雑魚とは違うわね」
「眠れる獅子を起こしたらどうなるか教えてあげましょう!」
「やっぱ寝てたじゃん」


華符 「セラギネラ9」


まるでコスモスの花のような形をした弾幕の張り方で、次々と弾を撒き散らしていく。

「違います!寝てません!」
「いや、絶対に……。もうどうでもいいぜ…。」
「じゃあ私が寝かせてあげるわ!」


霊符「夢想封印」


霊夢がスペルカードを宣言すると沢山の強力な霊力の塊が、美鈴の出した弾をいとも容易く消しながら進み、美鈴を追尾して行く。
そして、美鈴に着弾すると共に激しく破裂した。

「いたた…。こうなったら背水の陣だ!」
「あんた一人で『陣』なのか?」
「なにかと言うと敗北必至かな?」


    *  *  *


館の中に逃げた美鈴を追って霊夢と魔理沙は、ついに今回の異変の主が住まう館に足を踏み入れた。
二人が入って来ると、待っていた、逃がさないとばかりに都合よく扉が閉まった。
唯一の光源が閉ざされたと思うと同時に、入口から奥にかけて次々と、一人でに蝋燭に火が灯る。

道は一本しかないようなので、仕方なく、二人は襲いかかる妖精メイドの猛攻を躱しつつ奥へと進んで行った。
やがて、先程出会った紅美鈴と、見慣れないもう一人の赤毛の女性がいた。

「ついてくるなよ~」
「ついて来たんじゃないわ。私の行く先に貴女がいただけ」

「おっと、赤毛がもう一匹増えてるぜ」
「私は動物か何かじゃないですよ~!。…あれ?悪魔の助数詞ってなんでしたっけ?」

彼女は小悪魔である。名前は定かではない。この館にある書庫の司書で、本を整理する毎日を送っている。
彼女だけスペルカードがないのは不憫なので、可哀想に思った作者がスペルカードを用意してもらって内心小躍りしていたりする。

「じゃあ、今から逃げても追いませんか?逃げるつもりはないですけど」
「いいや、地底の果てまで追っかけてボコるね」

「悪魔って生物(せいぶつ)じゃないのか?」
「うーん、どうでしょう。少なくとも生物(なまもの)ではありませんね」


虹符「彩虹の風鈴」
小符「プリティーデビル」


美鈴は七色の弾幕を薙ぐようにして張り、小悪魔はピンク色のハート形をしたハート弾を飛ばしていく。
美鈴は霊夢、小悪魔は魔理沙と戦うようだ。
しかし弾幕は周辺に撒くので、意図しない流れ弾が両者を襲う。実質一、一対一、一というわけのわからない構造になっていた。

「この…。なかなか厄介ね」
「まあ、一応それを狙った『陣』ですので」
「ぐぬぬ(←なにも言い返せなかった)」

「あざといけど…なかなかやるねぇ」
「小悪魔ですから。それと小符の読み方は『こふ』です。『娼婦』じゃありませんよいいですね?」
「アッハイ」

けれども、弾幕ごっこが得意な霊夢と魔理沙は通常弾幕でその攻撃を破った。

――SpellBrake!!――

「やりますね」
「次はこれですー!」


幻符「華想夢葛」
司符「整理整頓」


美鈴は自身の回りを紫色の中玉で囲い、そこから紫色の小玉を撒き散らす。
小悪魔は紫色の小玉をランダムに撒き散らし、その後小玉で升目を作るように規則正しく並ばせたりする。

「同じ色の弾幕張らないでよー!」
「ややこしいぜ」

二人はあくせくと動きながらも、しっかり玉の起動を読み取り、予想し、回避する。

――SpellBrake!!――

「これなら!」
「行きますよー!」


彩符「彩雨」
書符「ライブイラ」


美鈴は雨を降らすように七色の小弾を撒き、小悪魔は五冊の本を設置して、本から緑色の小さな弾と玉を放出させる。

「うわー。そこの悪魔の出すスペル私苦手かも」
「私も…って、うわっ!」

小悪魔が設置した本から出る弾幕に気を取られていた魔理沙が、美鈴の放つ虹色の弾に被弾した。

「よし!先ずは一機!」
「やりましたです!」


魔符「スターダストレヴァリエ」


「とおぉりゃぁ!」
「「え…!?」」

赤、青、緑色をした特大の星々が魔理沙を起点として周囲に広がって行った。
広がるごとに薄くなっていくが、大きくもなっている為、美鈴と小悪魔は避ける術もなく被弾する。

魔理沙がしたのは喰らいボム。
被弾してから数フレーム間(1フレームは60分の1秒)にスペルカードを発動させると、被弾を無かったことに出来る東方project伝統のシステムである。

数フレームというのは、だいたい0.05秒から0.1秒程度。これを狙って発動させるのは至難の業である。
しかし、たまたまではあるが、魔理沙はそれをやってのけた。

「あ、危なかったぜ…」
「折角一機減らせたと思ったのに」
「これで最後です!」


彩符「極彩颱風」
本符「ブックワーム」


美鈴はとにかく沢山、弾を出してそれを風に吹かれたみたいにして斜めに降らす。
小悪魔は開いた本の縁を型どったレーザーの中から、小玉を芋虫みたいに繋げて発射する。

「洒落くさいわー!」


霊符「夢想封印」


めんどくさくなったのか、霊夢はスペルカードを宣言する。
宣言すると、無敵状態になった霊夢は美鈴と小悪魔との距離を詰め、至近距離でそれを放った。

「ち、ちょっとちょっと!」
「きゃぁぁあ!」
「問答無用!」


―ピチューン―


「さあ、勝負ありよ。道案内しなさい」
「ひ、非道いです…」
「鬼畜です、鬼巫女です…」 
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