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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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告白された罪は半ば許される


告白された罪は半ば許される。
—ジョン・レイ—

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告白された罪は半ば許される

◆◇◆サスケ◇◆◇








ねたみ コンといえば自分の同期だ

少しばかり・・・いやどう言い繕うとも虚弱で、どうあがいても忍びになれないだろうとアカデミー時代からよく思った

やる気と努力が空回りしているとも思った

実技授業を率先して受けようとするのに、その体質によって見学を余儀なくされ

1人立ち尽くす姿をよく見かけた

コンが転入してきてから、初めてのテストの結果が、座学トップの座を欲しいままにしていたサクラを押しのけ——
全問正解模範解答でトップの座を掻っ攫っていったのも印象的だった

何らかの事情でナルトと同居していると聞き、本人が知れば憤慨するだろうがコンもウスラトンカチの同族だったのかと呆れていた

そんな思いが手伝ってか、志村イカリと仲が良くなったコンを、恥ずかしながら敵視していたこともある

復讐者として、誰それが好きだとかそんな恋愛感情に現を抜かしている場合ではなかったというのに


連想ゲームの様に次々と溢れ出る思い出が、自分が以外とコンと関わりを持っていたと理解した


———あの男は今も尚、午後三時の告白とやらを続けているのだろうか

———彼女は、そんな男をコンと共に眺めているのだろうか


思い出すのは、修行場からの帰路で見たあの光景

呆れたようなコンと、アカデミーでは見たことのない笑みを浮かべるイカリの姿

そして、愛を語り叫ぶシュロの誇らしげな姿


ナルト達七班への想いは断ち切ったはずなのに、どうして六班の事をこうも想ってしまうのだろう




シュロが誘った、家族とやらに心魅かれ、拒絶した、罰だろうか

一族に誇れるのかと問うたイカリに、ただ声を荒げて無様な姿を晒した、罰だろうか

全身から血を流して、五人衆最強と謳われた君麻呂という男を踏破してまで———

止めないと言ったコンの姿を恐れてしまった、罰だろうか



これが、ふりかえるということなのか

復讐の道を進むと決めたオレに、何を振り返れというのか、何を忘れるなというのか



そうだ

忘れることなんて出来やしない

シュロも、イカリも、コンも・・・サクラも、カカシも

何よりも忘れてはいけない奴がいる


シュロに家族になるかと誘われて、ナルトとも兄弟になるというあの冗談を言われた時


無性に、嬉しかったんだ


忘れるものか


忘れてたまるものか


だけど、あいつらにオレの復讐の邪魔はさせない



決意を胸に、背を向けて書物を読みふける大蛇丸の質問に応える



「・・・ねたみコンは、虚弱体質の、ただの下忍だ」


「ふうん?
 長いこと考えていたわりに、随分な評価ね?」


・・・コン自体に、大それた評価はない

座学の成績が良かったぐらいだ


ただ


ただ全てがコンを中心にしている

六班の中心はコンだ

コンから六班の繋がりは始まって、さまざまな人間を呼び寄せた

伝説の三忍・自来也、中忍試験の不審な下忍たち、霧隠れの抜け忍再不斬、雨隠れの抜け忍ペイン長門とかいう輩たち

・・・そして、目の前の大蛇丸のような人間すら呼び寄せる


「・・・ねたみコンと言えば、なんて聞かれて、どう答えろってんだ・・・?」

「なんでもいいのよ
 あの仔について知ってる事を教えてくれれば、それで良いの」


転生したという今も尚、大蛇丸の腕は火傷で覆われている
カブトが処方する痛み止めで日常をおくっているようだが、薬の切れる前後は酷く荒れている

大蛇丸にとって、ねたみコンは復讐の対象なのだろうか

「私はね、ただ知りたいの
 ・・・だって、今までこんな術見たことも聞いたこともないのよ
 綱手は何かを知っているようだけれど、それだって答えには程遠いことでしょう」

知識欲の塊、とでも言うべきか
部屋にうず高く積まれた書物はすべて火遁に関するもの
そんな大量の書物の中にも、火傷の情報はなかったのだろう

「・・・コンは、いつも火遁ではなく・・・狐火と言っていたな・・・」

見たこともない火遁
興味があって印を教えるよう迫ったことがある
そのたびに火遁ではないから教えられないと、狐火なのだと拒絶していた


火の何処に狐が関係するのか知らないが、オレも聞いたことのない術の全貌が気になっていた


コンには悪いが、オレも狐火の事が知りたい


下忍のコンを態々暗殺するような真似、いくらなんでもしないだろう
あんな噂が流れたと言えど、アイツにそんな実力はないのだから


「狐火・・・火・・・狐・・・
 ま・・・か・・・・・・・・・年前の、九・・・?」


ぶつぶつと呟き続ける大蛇丸から目を逸らし、脳裏に浮かぶコンに謝罪しておく













パキィン・・・

甲高い金属音が修練場に鳴り響く

その音を聞きつけて、稽古中の周囲が動きを止め静まり返る

そんな中、ただひたすら音の発生源を抱きかかえ、オレは項垂れた


「小刀さん・・・!」


下忍合格してから愛用し続けていた小刀が・・・真っ二つに裂けた 

縦に

通販雑誌にでも載っていそうな見事な断面

二つになった小刀を、徐に天に掲げて冥福の祈りを行おうと居住まいを正そうとする———


「隙あり」


一応稽古中であり、そんな行動が許されるわけもなかった
ダンゾウの容赦のない杖の一撃が、オレの眉間を強打する

止めて仮面割れる


「だ、だって小刀さんが・・・!小刀さんが・・・!」


なけなしの給料で買った初めての小刀さんが、御臨終の憂き目に・・・!


「・・・そこまで綺麗に裂けてるんだし、接着剤で直りそうじゃないか?」

「トルネ、王道は米粒だろう」

「鍛冶屋に持っていけばよかろう・・・」

「小刀さん・・・」



恨み辛みは、祟るもの

祟られたモノの末路は、御覧の通り

ただ、真っ直ぐ恨み辛みが届くとは限りません




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はい久しぶりの更新です!
まだちょっと更新速度は停滞したままですが、最低でも週一更新ってとこですかね

しばらくコンの日常及びシナイちゃんのやったことが暴露されるぜ話、あと閑話を数話に載せる予定



小刀さんは大蛇丸の恨みの犠牲のなったのだ・・・


 
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