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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-5 触れあう手たち
  Story5-6 モノトーンの思考

シャオンside


ラフコフ討伐戦は、ちょっとしたBoss戦よりも大変な戦いだった。

「ヒャッハハハ!」

「オラ死ねやぁっ!」

一番大変だったのは、敵の躊躇の無さだった。
やっぱり、攻略組の面々は動きがぎこちない。

まぁ、当然だ。止めを刺せば、彼らは本当に死ぬのだから。


そんな中、俺は麻痺で笑う棺桶の奴らを順調に監獄送りにしていた。





パリィィィン






突然響いた、儚い消滅音。

それは討伐隊のメンバーのものだった。
当然だ。討伐隊のメンバーは殺すことをためらっているのだから。



俺の注意が逸れる。

すると、ラフコフからの罵りが降ってくる。

「死ねぇ!」

コリドーが切れたので、武器を戻して相手の左腕ごと吹っ飛ばし、そのまま斬り捨てておく。


次々と襲いかかる棺桶の住人を、ある時は武器破壊、ある時は腕をポリゴンの欠片にして無力化していった。



俺の相棒が鮮やかな光と共に、俺の周りにポリゴンの光を散らせていく。

「…………」

「ぬわぁっ……!」

「なんだあのアマ……!」

片手剣スキル6連撃技〔コメットストライク〕のスキルが終了し、技硬直を食らうも動体視力と反射神経をもってかわし、自分の後方に追随するパーティーメンバーを見る。

「てめぇ……!」

短剣で一気に詰め寄るラフコフメンバー。

「…………」

モーションに入り、片手剣スキル7連撃技〔エンドリバース〕で身体を洞窟の壁に叩きつける。

死にはしないと思うけど、当分動けないだろうな。

「あいつ……なんなんだよ!」

笑う棺桶のメンバーは恐れたような声でいう。

……なんなんだよ、って?




俺は……プレイヤーだ。

…………攻略組の最速の、だけどな。

「等しく命は尊い。けど……倫理から外れたお前らの行動は…………絶対許さない」




蒼き閃光、再び走る……

俺の剣が再び色を灯し、オレンジプレイヤーたちに向かっていった。
















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆















洞窟の中はひどい混戦状態となっていた。
敵味方構わずソードスキルが放たれている。


シャオン目の前のオレンジからの斧攻撃をエンドレスアクセルで弾き、後退させる。

パリィィィン


――またかよ…………その音は聞きたくないんだ。

その時、嫌な悲鳴が聞こえた。

「ぐあっ……!」

その先では味方プレイヤーが脚を斬られ、行動不能となっていた。
ラフコフメンバーは2人。救出はできる。



シャオンは神速剣スキル2連撃技〔ライトスマッシュ〕で道を開き、プレイヤーの救出に行こうとした。


パリィィィン


そのプレイヤーは、シャオンの目の前でその体を四散させた。




――…………またか……



周りを見ると…………皆押されていた。

HPがレッドゾーンにまで落ちたオレンジプレイヤーに。





パリィィィン




――また…………なのか?


パリィィィン



――あの時みたいに…………俺の伸ばした手は…………誰にも届かないのか…………




パリィィィン


――もう……嫌なんだ……俺の仲間が死んでいくのは………




『嫌なんだ』





シャオンは自分でも分かった。

自身の思考がモノトーンに変わっていくのを。




白く焼き切れた思考と、黒く闇に沈んだ思考。



それが示すのは…………思考の停止。




シャオンは無意識にSEEDを発動していた。



「うおあああああっ!!!!!」

何も考えない。考えられない。


オレンジプレイヤーだけを切り結んでいく。


シャオン以外のプレイヤーはその圧倒的な速さに驚きを隠せない。



ただ、シャオンには力加減が出来なかった。



パリィィィン パリィィィン


オレンジプレイヤーがその体を四散させていく。




「せらあああああっ!!!」



シャオンは……ただ、オレンジプレイヤーを斬っていく。


斬られたものは……あるものは動けなくなり、あるものは四散する。




そこで聞こえる途切れ途切れのオレンジの言葉。
手には針剣。
かなりのレベルだろう、近くの味方のHPは既にレッドゾーンだ。

「蒼の、剣閃、か」

「黙れ……」

赤目のオレンジプレイヤーと対峙する。

「ふん……俺は、ザザ。赤目の、ザザ、だ」

「知ったことか!」

そこでくるザザからの不意打ち。






…………シャオンにとっては不意打ちも遅いのだが。

「速いな、お前……!?」

ガキン ガキン ガキン

「しゃべんな、頭に来る」

軽業スキルの補正を使い、片手剣スキルと体術スキルとを連続で繰り出す。

「なに……?」

攻略組でも対応できないであろう圧倒的なスピード。

「そこら辺でずっと寝とけ!」

エンドレスアクセルによる神速剣スキル2連撃技〔ライトスマッシュ〕は、ザザの両腕を切断する。

「ぐっ……おっ……!」

「…………」





「シャオン!」

「…………」

「こいつ…………ラフコフの幹部だ!」

「…………」

「何か言えよ! シャ…………」

そこまで言ったところで、キリトの身体が不自然に揺れながら倒れていく。

「!?」





「ワーン、ダーウン!」

場に似つかわしくない、底抜けに明るい声。

その声がシャオンの怒りを加速させていく。

「気を付けろシャオン……!
あいつはジョニー・ブラック……麻痺毒のエキスパートだ……!」

「あれー?黒の剣士さんはもう終わりですかー?」

「…………」

ガスッ

「なっ…………」

シャオンの剣による突きがジョニーの体に刺さる。

「てめぇみたいな無邪気に人殺せるオレンジプレイヤーが…………俺は一番嫌いなんだよ!!」

「おにーさん、こわいなぁ……!」

と言いつつも接近しているシャオンに向かって短剣を振り下ろす。





パリーン

「!?」

ジョニーの短剣は柄から先が折れていた。

柄から先は……ジョニーの背後に落ちていた。



「…………」

シャオンは剣を引き抜いて短剣をへし折ったのだ。


あの一瞬の時間で。

「おもしろいね、おにーさん!」

「…………」


ガス ガスッ

片手剣スキル3連撃技〔トライ・スラント〕

ジョニーの両腕を切り飛ばし、相手を蹴り飛ばす。


「…………!?」

暗闇から再び剣が投げ込まれた。

シャオンは難なく避けて辺りを見回す。

包丁のような剣を携えたオレンジプレイヤーがいた。

「…………PoHか」

「Wow……何故俺の名前を?」

歌うような疑問符。

「…………」

「……フン、答える気はないってことか」



その場に異様な空気が漂った。
















Story5-6 END 
 

 
後書き
シャオンがキレた…………それも過去最悪レベルで。

普段のシャオンからは考えられないほど、無口で、しゃべっても口悪いです。

普段のシャオンの方が好きな人は…………読まない方がいいかもしれないです。

じゃあ……

フローラ「次回も、私たちの冒険に! ひとっ走り……付き合ってね♪」 
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